ビクトリノックスその8 私は必買仕事人編


はじめに (ごあいさつ)
その1
  (ルーズベルト、リュトリ、スイスアート)
その2  (プルーナー各種)
その3  (もれ刻印、パテント、面白ツール)
その4  (MP3、スイスツール限定、700年未入荷、ポルシェ)
その5  (A&G、72AP、雲母、イミテーションタートル、古川)
その6  (SA-16、AK、ジャッキーチェン)
その7   (前世紀最大の謎???)
その8  (ソルジャー、125周年)
その9  (書籍等)
その10 (その他)
拘りの小部屋(年代の判別と時代ネタ)
その12  (更なる進撃)
戻る    (365日、備忘録)



<ビクトリノックス125周年>

   
<左>
 120周年より125周年が盛り上がるスイスが今一つ解らない。
 左写真の上は、通常のクラシック125で、125周年の統一ロゴが入る。

 同写真の下は、バーゼルの時計展のビクトリノックスのブースで、
業者用に配られた、より稀少性の高いクラシック。因みに、
昨年は、クラシックのエーデルワイスプリントハンドル。
 手に入れる事が出来るのは、プレスやバイヤーのみ。
シリアルNOは無し。

<右>
 125周年のアーミーナイフのラインは、クラシック、トラベラー、
サイバーツールとオリジナルソルジャー。クラシックとトラベラーには、
シリアルNOが入っていないが、サイバーツールには、入っている。
総数と刻印の有無の理由に関しては、不明。
その他にスイスカードがある。

 因みに、国内では四国のオーヤスヤさんが、店舗ベースでの入荷が
一番だったが、ヤフオクでは、時計のプレス関係者が、
「時計」のサイトで既に出品していた。
その他にも、業者用のDVD等も出ている。

 125周年自体も、各国の現地法人で対応が異なり、
バンクーバーの経済誌によると、アメリカの現地法人では、
作文コンテスト「このナイフを何に使うか教えて」や、
3月から6ヶ月間かけて、Airstream社のキャンピングカーに
200アイテムを搭載し、北米の八大都市等をまわるロードツアーを
行っている。

 日本では、伝統企業のコラボのクラシックが先行。
その後各地を廻るロードショー(製作実演あり)開催。
 スイスのHPも、オリジナルソルジャーの告知は遅かった。

<ビクトリノックス ソルジャー08と沿革と?>

 事の発端は、スイス軍の広報官フェリックス・エンドリッヒ氏が
ドイツ語のスイスラジオでプラスドライバーの必要性や、
ロック機能の付加、のこぎりの追加の検討を語った。

 以下2007年07月21日のスイスの新聞誌上での発表である。
「48年使い続けたソルジャーナイフを新しくする」
「発注は、6万5千個で一本1800円」
「世界自由貿易機構(WTO)の加盟国より公募」
「すでにドイツ軍に納入している物をベースに、ビクトリノックスより
20種類のプロトが出ているが、だからといってビクトリノックスが
有利ではない」とのこと。

 当然スイスは大騒ぎ。スイス連邦国防省に弁護士をたてたり、
全州議会の議員も「スイス軍はスイス製」を訴えた。
(以上スイスの新聞記事の日本版より)
 最終的に、7社から、4社に絞られフィールドテスト、
クラッシュテストを行い決定し、2009年3月10日付けで
前年生産分と合わせての納入となった。

 3月末では、市販は検討段階だったとのことだが、
ビクトリノックス ジャパンのカタログには、
昨年末より価格未定で掲載されている。



   
<左>
 上が、もとネタのドイツ軍現仕様。2006年6月に入手。
これ以前にも「ワンハンドファイアーマン(現行のレスキューとは違う)」
「ワンハンドトレッカー」があった。

ドイツ軍仕様は、ソーイングアイ、ピンセット、ツースピックを除いた
市販品の改良版である。
 赤いハンドルは、通常市販品(サファリ)で、1980年代には
ドイツ軍の採用品としてモノショップで売られていた
(ただしハンドルはグリーンで、鷲のマーク。)
<右>
 上は、同じワンハンドトレッカーのブラックブレード#54884。
下は、アメリカで1000本限定で先行発売されたニューソルジャー。
「08」の刻印が入るが、一般の市販は、「09」になるのか?

 スパイダルコの特許切れの影響か、サムホールは丸に近い。
スイス軍は、ビクトリノックスに20本の試作品を作らせているが、
ブラックブレードもその一つか?

 ソルジャー系には、ソーイングアイ、ピンセット、爪楊枝は付かない。
 ブレードの波刃も、08の方は、初期のベンチメイドタイプ。
波の先端が丸い。
 2008年には、14,000個が生産され、10,000個をスイス軍用にし、
1000個がアメリカで先行販売。残り3000個の内60個を
ジャパンが確保し、復刻版を買った人向けのキャンペーンに使用。



   

<左>
 一番左は、99年のストックNoをもつエレクトリッシャンで、
白十字のハンドル。通信兵用か?サープラスの店で購入。

 真中は、71年製のソルジャー。十字のデザインが違う。
1980年のカタログは、このモデルが写っているが、国内では
このハンドルは見かけなかった。

 その上は、2ブレードのパイオニア(日本未入荷ライン)で、
03年のストックNoだが、士官用か?
ビクトリノックスの社標が入るので、PX納入品かもしれない。
市販のモデルは、ここは無刻印。
80年代中盤に埼玉の業者が、金色のソルジャーを売っていたが、
今となっては詳細不明。
 年号入りは、軍納入の余剰品との説もある。

<右>
 パイオニアのソロに電工刃の付いたモデル「0.8027.27」と、
ソルジャーの缶切りが、マイナスドライバーになった物
テクニシアンと言う名称らしい「0.8100.27」。
ただし刻印は、「Vi」。箱は、エンジ色の小さな物。

 前の持ち主は、「10年位前は、スイスでは、普通に売ってましたよ。」
とのこと。試作でも何でも無い型落ち商品。

 真中は、かなり古いモデルで、「VICTORIA」併記。
ヤフオクで購入。
何時頃日本に入ってきたかは不明。これを買えた人は、
極少数だと思う。しかもAKシリーズの大きさ。


   

<左>
 遂に発売されました。「ソルジャーナイフ1891復刻モデル」!!!
ジャパンのHPによると、1884×4地区(日本はⅢ)の限定。
ウィリアムヘンリー等の数本の限定になれていると、
「沢山あるじゃん!」と思ってしまうが、ビクトリノックスに
とっては、千本単位は、「少量」なのであろう。

 1983年に始まった歴史シリーズは、「9999本」。
 通常4色のエスノナイフは、限定版の赤と黒が各「999本」別にある。
百周年は、一万本以上(確認不可能)生産された。

<右>
 三世代のソルジャー。
 真中が、現行のソルジャー。

前述のスイス新聞誌上によると
 「このタイプのモデルは、プラスドライバーが付かないので、
今の装備に合わなくなり、ロックが無いので、ケガをする
兵士が多い。」とのことだが、かつて、三宝商事の再三の
要請も「ロックは、必要無し。」と言って承諾しなかった
(ウェンガーは要請に応じ商品化された)。
ビクトリノックスも時代と共に変化していく。
もっとも現行モデルは、ロックは依然として付かない。


 まず、オリジナルは、3.5ミリの厚さのブレードにビビル。
 パンチは、フラット面とカーブ面の、大八丁型(これで解る?)。
現行の様にエッヂは付かない。

 マイナスドライバーは、同じく3.5ミリの厚さ。
 缶切りは、古いタイプ。
 出来は、素晴らしい。1891年当時、私がスイスにいて、
この様な物が支給されたら、ナイフ欲しさに入隊したと思う
(もっとも、兵役があるので、否応なく入隊するのだが)。

 だが、ここであえて言いたい放題言うと。

 <箱が、必要以上にデカイ!>
250~300本の在庫を抱える私としては、置き場に困る。
 <本数が少し多い> 
世界3000本位で、その他にパールや
スタッグ等を入れて合計5000本位が妥当だと思うのだが。)
 <価格が・・・う~ん?>
店頭で手にとって、6万円・・・多分引く。
7000本ある価格としては、かなり高い。)
 <発売が遅い>
どうせ1年あるのだから、早くから発売して
もう2~3種類出して欲しかった。)

 較べて申し訳ないし、甚だ不遜であることは承知だが、
あえてこれと同等の物を、カスタムナイフメーカーに
作っていただいたら?多分6万円では納まらない。
これは、ビクトリノックスの、カスタムなのである!
従来のラインと互換性の有る物は、
存在しないのである。

 更に冷静に考えると、

 「使い道ねー。」

(使うな!という意見大多数!大瀧さんや奥田さんにも
言われました。)

 エッヂの付いていないニードル
 大きすぎるマイナスドライバー
 旧式の缶切り
 だが、ブレードは、超素晴らしい!!!
閉めた時の音なんかもう  く~!(←酔っ払いか?)

 ここ一週間は、何処へ行くにも一緒!
わざわざ缶入りの紅茶葉や缶入りドロップなんか
買っちゃって、ワザとらしくマイナスドライバーで
開ける始末。皮ケースまで自作する始末。
 だから在庫が増えるんだよ。クラシックだって、
何本持ってるんだよ!


 私が、刃物にハマリ出した1980年代。
何処の刃物メーカーも
「孫に譲れるナイフ」を標榜していた。1990年に入って、
「孫に自分の使っていたナイフを譲る祖父は、非常に
少数である。」と言い出したのが、スパイダルコであった。
正しい分析だと思う。
 今回のこのファーストソルジャーは、久々に
「孫に譲れるナイフ」を見た気がしたのは、私だけであろうか?
何か忘れ去ろうとしていた物を思い出した気がした。

 有難うビクトリノックス!!!
 これからも宜しくビクトリノックスよ!
 馬鹿な私に付き合ってくれてありがとう!
 私の人生の風景の中に、常にビクトリノックスが在った。
今も これからも!
 

  2022年6月10日(金)1897年モデルの
復刻版発売。
ブレードが細く、バネテンション弱い。
素敵なパッケージに入って発売。
向かって右は、同じブレード刻印の
次期年代モデル。

 前回のソルジャー程の感動は無く、ただ買った感が強い。
前回の行われた、「08ソルジャープレゼント」の様な

キャンペーンが有る訳でもないし、シリアルNoの希望も当然無理。
まあ、良いけど。
販売もネットは28日から、店頭は10日からと時差販売。
ロマン充分にあるのだが、ブレードが細くて、酷使出来ないので、
得意の限定2本目買いは考えてしまう。

オールド仲間
一番上のモデルの背中側から出ているのは、
爪やすり付きのランヤードシャックル。
缶切りには、「✙PAT」刻印。
真ん中のモデルは、ピンがハンドルに出ている
古いタイプ。
下から2番目は、85mmのシリーズ。


 

左から
北米先行販売08年刻印
オリジナルソルジャー買い上げ者のみ日本60本限定08刻印
スイス軍納入開始の09刻印
2012年のダマスカス限定
2015年刻印の商品サンプル
UNやPeace Support Switzerland支給の年号なしのCV仕様

他にも元ネタのドイツ軍仕様や、旧タイプ、プロトもあるけど、
載せきらないので、6本のみ写真。(後は上記事参照)

 

左かから
2nd(炭素鋼)43年製
3rd(ステンレス)55年製
73年製(ELSENER刻印)
85年製
08年製last5000本限定
復刻版
2010年2010本限定パイオニア



左から
68年製ELSENER刻印
97年製支給品
97年製キーリング付き
スイス国鉄支給エレクトリッシャン
ELINOX刻印のベイル付き
 (VICTORINOX併記)



 

向かって左から
 スイスツールのエルズナーサイン入り
(シリアルナンバー有り)

 ノルウェー軍別注品
(2002年販売)
 スイス軍納入余剰品
(2010年300本限定販売)
 メガトロン限定90本。





布切仁左衛門と申します (書籍等)