<その5>

東京ナイフについてお断り
その1(スチレットファースト・19丁他)
その2(彫金2丁、オールド、山卯?、べっ甲八丁、19丁他)
その3(コイン、シルバー他)
その4(大きさの比較)
その5(5丁、紙タグ、輸出シール他)
その6(鹿山赤堀、鹿山No1、鹿山久山、電工他)
その7(モアディープ)
考察1(ペーパーナイフ、ドル挟み、他)
戻る  (得物)



   

 銀貼りの5丁出し。「ORIENTAL」と「JAPAN」の刻印。
あまり見た事の無いデザインとパーツ構成。
メインブレードの峰側の削りが大きく、もしかして「山卯」?
ただし缶切りのゲージは#23と同じなので、「藤本」か?
ループリングの形が藤本と違うので、また堂々廻りの
自問が続く。
 同型の「羽根F」がヤフオクに出品されたので、
9割方藤本。
 「STERLING」の方が、「SILVER」より古いのは、
経年変化により明らかである。
 ここらを元にした総合判断が、実に微妙な所で、
落款的な物証に乏しい現存の個体
(それ自体の確保も難航を極めるのだが)を鑑みるに、
決定的なゲージ差が無いと判別の付け様が無いのは
いかんともし難い。
 他より広く意見を集め、後世に伝える為に当HPを
立ち上げた次第だが、掴み所の無い話で、
掴みかけたと思うや更に深い奈落が口を開けている。
 これら多徳ナイフは、かつては生活に密着していた
訳である。オークション等に出てくるのも、
圧倒的に多いであろう石目より、
ノベリティー頻度の高い銀貼りが目立つ事から推察するに、
使う人は、安い石目や木ハンドルをガンガンに使い、
そして捨てる。
使わない人が、貰った物をタンスの奥に仕舞い込み、
孫等らがオークションで叩き売っているのが実情では
ないだろうか。
 本来、藤本製作所でも、40人からの職人を
抱えていたわけなので、全ての個体が「=藤本」では
ないのである。
そして、彼らとて、それで生計を立てていたのだから、
当時の手間賃の換算からすると、相当な数を作らなくては、
飯は食えないのである。
 鹿山氏の回顧録には、作業着のまま寝て、
夜中に起きてまた作るとの記述があったが、
当時はそうして数をこなしたのであろう。
 昨今の価格の高騰は、むしろ価格の正常化であって、
私がライブで見てきた
「豆八丁15,000円」がむしろ異常であった。
業者の言葉をかりれば、
「増える事は無いですから。」に集約される気がする。


   
<左>
 輸出用のナイフに付けられるタグ。紙の貼り合わせ。

<右>
 輸出用のナイフの箱の裏に貼られたストックナンバーと正札。


   
<左>
 銀貼りの3丁出し。ブレードには、「STAINLESS」と
アーチ状に打たれ、その下に「ORIENTAL」と入る。
裏に「JAPAN」と刻印されている。
鋏は絶品だが、ブレードの入れ込みが、今一つ。
それにしても、銀貼りは、キャスティングなのか?
一本づつ彫っているのか?
単一個体が複数無いので、判断しかねる。

<右>
 銀貼りの豆3丁と鋏、キリ付きの3丁の大きさの比較。
作動は、良好。


   
<左>
 豆八丁よりかなり小さい。ハンドル長3.3センチ。
銀貼りには、珍しい菱形のネームスペース。

<右>
 「正鋼」のYAXの#180。かなり良い!ブルーイングすると、
本当に真っ青になる。
ただしハンドルが・・・。この粗い彫りとチープな着色。
これが、サンバーか花梨だったら良いのだが、
それなら私の手の中には無いでしょう。
これも、会社でガンガンに使っているので、結構擦れています。
 紐通しと一体の背バネもスチール。



 

これは、藤本製作所の中でも
かなり珍しいタイプ。
多分、輸出用のモデルで、
2010年以降に、
ネット上でもみられるようになったが、
1900年代では、
幻のモデルだった。


  

 東京銀座で、第一回カスタムナイフショーが開催された。
銀座菊秀様をもってして、「だめだこりゃあ。」と
言わしめた一本。
回述では、アメリカのホーン氏のモデルお見せたら、
黙ってしまい、
「これと同じのつくれますか?」と聞くと、「作れる!」と
言ったとの事。
 不具合があったのか、ライナーを無理に広げてある。



の6(鹿山赤堀、鹿山No1、鹿山久山、電工他)

参考 (山卯?他)