東京ナイフについてお断り
その1(スチレットファースト・19丁他)
その2(彫金2丁、オールド、山卯?、べっ甲八丁、19丁他)
その3(コイン、シルバー他)
その4(大きさの比較)
その5(5丁、紙タグ、輸出シール他)
その6(鹿山赤堀、鹿山No1、鹿山久山、電工他)
その7(モアディープ)
考察1(ペーパーナイフ、ドル挟み、他)
戻る  (得物)

     
<左>
 上は、東京銀座の宮本商行の箱に入ったペーパーナイフ。
「GRAND OPENING1957」と入っている。岐阜県にて入手。
このゴルフボール状の握りから、刃の出る物も
ある。
 下は、三越の箱に入ったペーパーナイフ。
裏に「叙勲記念」と彫金されている。
かなり薄くてペカペカである。東京にて入手。
こちらは、宮本商行の単体で、
藤本製作所は、からんで無いかもしれない。
<右>
 同じく宮本商行の箱に入った、#23。耳掻き付きの7丁出。
 箱の表には、「昭和28年 東洋汽船 増資記念」と
金文字が入る。
山梨県にて入手。
ブレードには、「STAINLESS ORIENTAL」とのみ入る。
カンきりのピンは鉄製。

   
<左>
 定番#45のドルばさみである。「ESSO]の
メダルの入る方は、「STERING」。
左上の方は、「SILVER」とはいる。
多分「ESSO」の方が古いが、この
ドルばさみは商品なのか、ノベリティーなのか。
銀板の固定方法も違う。
<右> 
丸にYAXの刻印の入る8丁出。
下が鹿山の青2の大8丁だから、いかに巨大かがわかる。
ニギニギしくリベットの打たれた本皮のケースに入っている。
 本体の分割がないので、スプーンとフォークを使う
食事はしづらい。
のこぎりまで付けてあるのは、強引の感がある。
 この手のモデルは、大半が使い倒されている為、
生産量の割りには銀貼りや石目以上に稀少である。
 他のページに掲載したスプーン付きの銀貼りも、
基本的には大8丁と同じ大きさなので、
いかに桁外れの大きさかが解る。
 当時は、藤本製作所には、30~40人の工員が
いたので、東京ナイフではあるが、「=藤本」では無い。
ただし、ブレードがライナーに当たらない様に、
ライナーに削り込みがしてある所を
みると、かなり上位の工員の作と見うけられる。

 

<左>
 藤本製だと思うのだが、酒向にも似ている。
 ボルスター部に後からグラインドをかけて、リューターで
何か彫ってあるが判読不能。
上の#45のエッソじゃない方と同じ巻き込みの固定方法で、
ハンドルの銀板が止めてある。
<右>
 試作か別誂か特注かで価値の分かれるモデル。
 しんかいさんにて入手。
藤井さんも、「今まで、このデザインは、見た事が無い。
別誂じゃないでしょうか。」とのこと。
スタッグは上質。ハンドガードも、大きさ、デザイン共に
格別の造り込み!
 ロマンタクティカルよりやや実用向きの「昭和タクティカル」の分類。
 作りは、後年の作で、バードナイフ同様「作ってはみたものの・・・」と
言った処か?それとも、何処かの好事家の特注か?
いずれにせよ、この20年間秘蔵されてきた訳である。
しかも「DA001」である!当時鹿角は、今より重きのあった時代で、
在る意味「実用の最上級」。サンバースタッグは、象牙や貝系とも
別扱いで、「特に良質の物は、無くなりつつある・・・」と、
貴重品扱いであった。A&Fの赤津氏の「スポーツナイフ大研究」や、
他の文献でも、「パールやアイボリーは、実用的でなく・・・」と、
どちらかと言うと実用主義のディーラーの書いた文献が多かった当時
(1980年代)は、マイカルタやスタッグハンドルをガンガンに使うのが
良しとされた。当然カスタムナイフメーカーは、まず質の良いスタッグで
仕上げるのが、当然の流れで、次にマイカルタ、ウッドと続くのが
自然に感じた。ラブレスや、ランドール等のカスタムは当然のことで、
ファクトリーモデルに関しても、買うのなら鹿角が奨められた。

 もし、氏が、もう少し長生きをされていれば、「W001」「MA001」なる
同型の物が見れたと思うと、残念で仕方がない。それとも、
まだ何処かに秘蔵されているのだろうか。 
カスタムナイフメーカー故に、一本物は、数多く存在する。
であるが故に、多作されたモデルのシリアル№1はより価値がある。
当然異論もあろうと思う。


<中間考察>
 藤本氏が、宮本商行に銀細工を頼んでいたのか。それとも宮本商行が、
藤本氏に仕事を出していたのか。謎は、深まるばかりである。
他のページに載せた#96に彫金が、入っているので、藤本氏が
請け負っていた可能性もあるが、ベルトバックルの存在が、腑に落ちない。
他にも、櫛やジンタンケース等が、ヤフオク上に散見され、和光や、
三越のWネームになっている。
 他のページに掲載した3丁出の銀板彫刻無しを見る限りでは、彫金は、
一番最後に入れている様である。1999年12月号P107にも、
彫金の無いハートペンダントが載っている。
 成美堂の取材では、「0.5ミリの銀板は、銀細工職人により
丁寧に模様が刻まれ・・・」と、外注をにおわせている。
生産年月も多年に渡るので当然の事だが、彫金の職人も、
明らかに3人(3タイプ)いる。

<特別付録>

   

 東京都台東区駒形のYAX発行の、藤本製作所の多徳ナイフカタログ。
看板モデルは、11丁の石目とべっ甲(プラスチック)。
スプーン付きも(860/SF)として紹介されている。
八丁は、「大」の「中」「小」3タイプ。豆八丁や、銀貼り、
ドル挟み、ネクタイピンや19丁以上は載っていない。
 松井モデルとは、品番が違う。
カタログが現存しているとは思わなかった。


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