11月のマアジ釣り  外洋の釣果  カカリ釣り  シマアジ釣り  マアジ釣り  カレイ釣り カサゴ釣り サバ釣り  戻りガツオ釣り 初ガツオ釣り マアジの成魚釣り 春のマアジ 10月のマアジ
 11月1日(土)朝15時出航、夕まず目時を狙っての出航です。日中の釣行を終えて帰港してきた隣船の釣友は、湖内はさっぱりだと諦め顔です。半日竿を振ってカワハギ1尾ではどうもならんとしきりに頭をひねっています。確かにここ1ヶ月、浜名湖では異常な事態が起こっています。水温は高めで、その為、キスの釣期がいつまでも続いたり、いきなりカワハギが南下したりと、釣り師の常識を覆す出来事が続いていました。10月中旬まで続いた赤潮はサヨリシーズンを台無しにしたし、その後続いた急激な水温低下はいきなりカレイシーズンへと釣り師をいざなっています。これまでの経験が通用しないのですから、ぼやきが出ても致し方ありません。
「今から出掛けるのかね。」
「前の魚礁まで。」

 穏やかな波が呼んでいます。広がる海原は想像通りの美しさです。陸での様々な思いは吹き飛んでワイルドな自然人に自分を脱ぎ換えさせます。彼方の水平線の向こうに船団を確認すると、
「よっしゃー。」
と叫び一直線でそこへと急がせます。しかし、今日はやけに波の影響を受け進路を保てません。船底に異常を感じジグザグ運転となりながらポイントへと向かいました。ポイントに到着するともう太陽は西に傾き、夕暮れ時が迫っています。
 仕掛け作りに入ります。道具を取り出す為に船底を開けてびっくりしました。船底になみなみと水が満ち溢れているのです。舵が利かなかったのはこれが原因でした。先日の大雨がどうしたことか隙間から流れ込んで溜まった様です。これでは重心が移動して舵が思う様に利かない筈です。10分程掛けてバケツで汲み出しようやく船底のお荷物を取り除きました。出鼻をくじかれて、
「ま、今日はストレス解消でいいか。」
と、急ぐ事なくゆっくりと仕掛けを下ろしました。

 仕掛けは、片天秤に30cmのクッションゴムを介した吹き流し風サビキ仕掛けとします。2、25mのモトス5号に15cmの3号ハリス6本、針は手作りの疑似餌です。先端の擬餌針だけにオキアミを付けます。コマセは解凍せずにかち割り氷の様にしたものを用います。こうすると素早い装填が可能で棚までコマセをバラけさせず送り届ける事が出来ます。海底を狙ってサビくと間もなくアタリがありました。狙い通りのアジの成魚です。サバと見間違う程に見事に肥えた立派なアジでした。
 夕闇が迫り周りの遊漁船が1隻1隻と帰港していきます。最後まで残っていた遊漁船が錨を揚げ別れの挨拶をして去っていくと、辺りは急激に光りを失っていきます。取り残されて胸がキュンとなると自然人の本当の良さが分かってきます。この一時を大切にしたいものです。藍色の天空に徐々に咲き始めていく星をぼんやりと眺めます。黄色の半月とその東に昇った赤い火星、そのバランスの良さに惚れ込み、目を閉じそしてまた開いてはその存在を心と体で確かめます。
 強烈なアタリが2回ありました。ハリスを2本も切られています。それを確認すると感傷タイムは終わりです。海面下への期待値が跳ね上がって海面上の事は目に入らなくなります。30分程眼下の魚と真剣勝負、高感度になった指先にビンビンと魚信が伝わってきます。乗ったと思って揚げるとスカ、これはと思って揚げると手の平大のマダイ。なかなか思うに任せません。先程の強烈なアタリの主はついに現れず仕舞いとなりました。
「今日はこれまで。」
 灯台の灯りを頼りに帰港しました。

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