伊豆高原ジオパーク研究会  

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2024.第1回 「川奈海岸線のクルージング」                                   (天候不良延期ツアーの再企画)                           

斎藤先生の熱い説明に聴き入る参加者のみなさん




■実施日:2025.3.15.(土) 曇り
■参加者数:24名

 船首に立ち、目の前の岩、彼方の山々を指さして
これは小室山から流れた溶岩、あれは箱根の駒ケ岳と
地形の歴史や海から望む陸の景色を解説するガイドの齋藤先生。
それはまるで海賊船の船長!

 自分は今からオレンジ色のライフジャケットを身につけた仲間たちと
大冒険に行くのだ!と勝手な妄想を繰り広げながら川奈港を出発。

ズーンと垂れ下がる雲と、ババーン、デーンッと
左右から交互に飛び出してくる波が
なんともドラマチックで気分を盛り上げてくれる。

手石島を目指し伊東港方面へすすむと、
まず目を引くのが、横瀬の絶壁に入った赤い筋。
それから海食洞、岩脈、かつて伊東の名勝地と言われた間通島と
自然のすごさと不思議さを感じさせる地形が
次々と目の前に現れる。

途中に、磯で岩の間を歩いている人が見え、
何をしているんでしょうね、と参加者の方から尋ねられたので
先生に聞くと、おそらく地元の人が海藻や貝を探しているんでしょうね、と。
こんな波のある日によく岩場を歩くなぁ、と思ったが、
そんな日にクルーズを楽しんでいる自分の言えたことではない。

汐吹岩を真正面からながめ、船は手石島へ向かったが
北からこちらへ向かってくる波が手ごわく、
安全のため、手石島を陸の反対から眺めるレア体験は断念し
富戸方面へUターン。

波を割りながら沖に出ると
今までのはなんだったんだ、というほど海面が穏やかに。

そして見えてきたのが、右に小室山、天城連山、富戸の岬、
左に大島。その先にうっすら利島も確認。


見慣れた伊豆の山々も、海から見るとその姿がまったく違う。
先生に説明されて「え、あれがそう!?」となる。

神崎の灯台、川奈ホテル、ゴルフ場の富士コース、大島コースを
先生の体験談や地元話を聞きながら沖から眺めた後
いよいよ今度は岸へ接近し、今来たコースをひき返す。

川奈南火山の端では、海に突き出した溶岩の谷間を、
まるで川のように海水が通り抜ける場所がある。
齋藤先生が「お堀のよう」という、まさにそのもの。
なんとも不思議な「海のお堀」だ。

紺青の海面は、海底に白砂がある場所では青磁色になっている。
美しく透き通った海、これが伊東の海。

海鮮が食べたくなるところだが、ものすごく寒かったので
頭に浮かんだのは、あおさの味噌汁だった。(w)

たっぷり2時間のクルーズはダイナミックで、
非日常の光景を体験し、そしてつきなみだが、
自然の大きさを実感する冒険旅行だった。

春夏秋冬、晴れの日も曇りの日も、
自然はいつも全く違った姿を楽しませてくれる、と
今回も思いました。


K.記

 

 



2023.第2回「大平山と水道山」                            

斎藤先生の解説に耳を傾ける参加者のみなさん




■実施日:2024.3.9.(土) 晴れ
■参加者数:14名

 本来なら今年度最後で4回目となるはずのツアーも2度のツアー中止が重なって、今回が実質2度目で最後の実施となりました。

精魂を込めて準備したこの日でしたが、神は見捨てず、この早春一番の好天を用意してくれました。暖かな日差しとほとんど無風という絶好のツアー日和です。

伊東市観光会館裏の駐車場に集合した一行は、まず、ここから大平山(おおびらやま)を遠望して伊東駅の裏側に連なる山々の成り立ちなどについて説明を聞き、各自の車でツアーに出発しました。

伊東駅の裏側からすぐ林道となり、片面は法面、反対側は沢。車道は舗装をしてあるとはいえ、あまり通行量がないと見えてコケが生えており、自動車運転教習所のコースを想い出すような狭い箇所も。

1本道を登りきると、そこに駐車場とトイレがあって、ここが大平山頂上に至る登り口となっています。

さて、ここから思い思いの荷物を背負って、柔らかな日差しの中をゆっくりゆっくりと山登りです。大室山とほぼ同じ高さの大平山ですが、頂上に近づくと、きれいに雪を被った富士山やアルプス、さらに丹沢方面などが手に取るように見えて、皆、歓声を上げながらパチパチとカメラのシャッターを切っています。

一方、頂上に近い所に立つと宇佐美方面から天城山方面までの東の海岸から大島、新島、式根島までが、そして小室山から鎌田地区辺りの市街地がはっきりと展望できます。

このジオラマのような風景を眺めながら、時代を追って出現した山々の説明を聞いていると、「これぞジオパーク」と感動し、壮大な自然の活動の中に身を置いている自分がまさにゴマつぶのようにちっぽけに思えてきます。

そして車で下山してくる途中、ポイント・ポイントに立ち寄り、化石湖や露頭を観察して、そこで展開された近辺の山々の噴火や変動する山塊の様子を想像しました。

なるほど、こうして伊東市民の大事な、そしておいしい水源が誕生したんだなと納得のいった一日でした。
H.記

 

 



2023.第1回「川奈の海岸線クルージング                              




■実施日:2023.5.22.(月) 晴れ
■参加者数:35名

 今年度最初のツアー「川奈の海岸線クルージング」は5月15日に実施予定でした。

数日前からその日の予報は雨。15日は晴れる事を祈りながら数時間おきにスマホの天気予報を眺めるスタッフでしたが状況は改善する兆しは見えません。

前日に船頭さんと会長、斎藤講師との話し合いで延期が決まりました。
そこからスタッフが手分けをしてお客様に連絡。予備日の22日は残念ながら参加出来ない方が9名いらっしゃいました。
船の編成も15日の予定では午前中に2隻、午後1隻だったのが、22日は船の関係で午前1隻午後2隻なのでこちらも組み直さないといけません。

そして迎えた22日。お天気も良く、気温も最適、そして波がない好条件が揃いました。
スタッフ全員の気持ちが天に届いたようです。

朝8時には、駐車場案内係、講座セッティング係、受付係に分かれてお客様受け入れ態勢が整いました。

お客様全員が9時前に揃い、座学の始まりです。船上ではエンジン音で説明が聞こえない事があるのでここでしっかり勉強をしていただかなくてはなりません。

地学に関して話をさせると少年のような目になり、ついつい話が長くなるジオ研の講師・斎藤先生が時間オーバーにならないよう、タイムキーパーは大変です。

お客様が予定より少し前に行動してくださるおかげで予定の10時より少し早い時刻に出港。船は港から日蓮上人像の近くを通って汐吹き海岸の方に回ります。

海食洞が複数見られるこの地域、高いところにある海食洞は昔海面が現在よりもっと高かった事の説明で納得します。今回は干潮で潮位が低いため潮を吹いている汐吹き岩は残念ながら見られません。

汐吹海岸の後は手石島の方に回りますが、手石島と岸の間は陸繋砂州(トンボロ)になりかかっているらしく浅瀬になっていて船は一旦沖に出ないと近寄れません。いつの日か手石島が堂ヶ島のようになる姿を想像しながらのクルージングです。

船上では海からの景色を写真に収めたり、ビデオに撮ったり、手石島辺りの海の色を見たりと皆思い思いに、今まで見た事がない景色を脳裏に焼き付けているようです。

船は向きを変え次に目指すのは川奈ホテルのゴルフ場を作っている大地。
小室山が噴火した時に溶岩はすぐ横の扇山から流れ出し今の川奈ホテルゴルフ場の大地を作りました。

大室山の溶岩が城ヶ崎海岸を作ったのは有名で、ピクニカルコース、自然研究路を散策しながら溶岩観察できますが、小室山はゴルフ場があるため海岸には容易に降りていけません。海から見られるこのような機会はとても貴重です。

ゴルフ場の手入れのされた絨毯のようなグリーン、そこから下に目をうつすと潮風をダイレクトに受けながら岩に張り付くようにして生えている自然のままの力強い植物達、そしてその下には1億5千年前の噴火で出来た様々の顔を持った溶岩の自然美と自然の歴史を感じます。

船が南下していくと小室山の溶岩から川奈南火山、三の原北火山、梅の木平火山と次々に溶岩の出所が代わってきます。梅の木平は交差点の名前だと思っていたとおっしゃっていたお客様がいらっしゃいましたが、そんなお客様には今回のツアーでの新しい発見だったと思います。

城ヶ崎海岸の郷戸浜を目前にして船はUターンして帰路へ。

帰りは少し沖の方を通って遠望を楽しむ予定だったのですが、霞がかかっていたため、島もぼんやり見える程度、山も大室山、遠笠山、万次郎,箒木山がシルエットになって墨絵のような状態でしたが、それはそれで趣があります。

定置網のブイで休んでいるカモメが間近で見られるのも船でなくては出来ない楽しみで、皆さんの楽しそうな顔にこちらまで笑顔になってしまいます。

今回のこのツアーは初めて実施するコースなので無事に終えられるかハラハラドキドキで臨みましたが、下船した後のお客様の「ありがとうございました」「楽しかった」「いい企画ですね」のお言葉は何ものにも変えられない1日の締めとなりました。

S.R.記

 

 

                               

2022.第2回「小室山と一碧湖の探訪                             

一碧湖見学に先立ち、その激しい誕生の歴史について解説する齊藤先生と
聴き入る参加者のみなさん   一碧湖(沼池)


■実施日:2022.6.4.(土) 曇り
■参加者数:16名

 梅雨の走りか、早朝の雨がすっかり上がり待望のジオ研天気となりました。

 出発前にメインガイドの斉藤先生から小室山火山の概観についての説明を聞きました。小室山というだけあって大室山の標高580mに比べると321mと低く溶岩流出面積もぐっと狭いけど、噴出量は断然多く約5億3千万トンで伊豆東部火山群で一番etcの話に「大室・小室まろやかに…」と並び称され可愛いけど凄い火山の訳に納得の面々。

 昨年までは扱わなかったけれど、小室山一帯は唐津藩寺沢志摩守の江戸城築城石の石帳場です。石に彫られた刻印は寺沢の「て」と「〇」と「△」、この三つが三角形に配されています。

 大量の溶岩を流出したと思われる窪地は今では一面の雑草に覆われ、1万5千年前の様子を伺い知ることはできませんが、別荘地になっている敷地の石積みに巨大な溶岩を確認できました。しかし、残念ながら石帳場の刻印は見つけることができませんでした。

 頂上への道すがら大きなホウノキの下で岡田ガイドがホウの葉の効能と活用についての説明。また、4千年前に大室山から飛来したスコリアの露頭の観察をしました。噴火年代の特定の一例の説明もあり、地学がグッと身近になりました。

 頂上では周囲を見渡しながら伊豆東部火山群などの説明を聞いたあと、小室神社の設立の由来を聞きました。
初代唐津藩主は外様大名で天草・島原の乱の後に改易になってしまうけど、次に藩主となった大久保氏は譜代大名でのちに小田原藩主となり小室神社を祀るようになる。築城石の採取に齷齪した外様と老中にもなった譜代との違いをこの小室山に見て封建の世の哀れさを感じました。

 午後は一碧湖。「伊豆の瞳」とロマンチックに呼ばれますが、実はマグマ水蒸気爆発という凄まじい噴火でできたマールというものなのです。まずは、爆発を物語る爆発角礫岩の露頭を観察して、合体した二つのマールの一つ沼池を一周します。

 マールとしては一碧湖側より大きいけど、半分以上を大室山溶岩に埋め立てられてしまい、その名の通り沼池と化しています。水生植物アシの説明や、吉田(ヨシダ・アシダ)への用水トンネルの取り入れ口での工事にまつわる話を聞きサワラ(椹)の並木へ。
 ここでは、ヒノキとサワラの見分け方のミニ実習。葉の裏側の白い斑点がY字型がヒノキ。X(H)型がサワラということです。「エッチ(H)ね?サワラないで?」の説明に一同爆笑。

 もう一つのマール・一碧湖では、大室山溶岩が流れ込んだ十二連島や赤牛伝説とお経島、八大龍王を祀る神社。伊豆、中でも一碧湖をこよなく愛した与謝野鉄幹と晶子夫妻の話で本日のツアーの締めくくりとなりました。

 ちょうど16時、お約束の時刻に解散することができました。ご参加の皆様、ご協力ありがとうございました。

S記 

 


2022.第1回「城ヶ崎海岸の探訪
                             

「これに会いたかったんだ!」憧れのポットホールに歓声
安全を確保しながら齊藤先生の解説に耳を傾ける参加者のみなさん


■実施日:2022.4.9.(土) 晴れ
■参加者数:19名

 実は2月に計画し、参加者の受付も全て完了していたこのツアー。直前になってコロナの感染が拡大したため、感染予防対策として実施を見送りました。
そんな事情もあって今回のメンバーの大半は2月のリベンジとばかり、期待に胸を膨らませての参加となり、その熱意は天に届いて、空は晴れ渡り気温も5月の陽気という絶好のツアー日和となりました。

集合場所のいがいが根駐車場からちょっと海の方向に入ると青々と広がる海原を背景に大きな岩の広場が出現しました。いがいが根です。
大室山から流れ下った溶岩が海に達し、そこで起こった諸々の地学的現象、さらに海の力が作用して出現した地形や津波の置き土産などなど、城ヶ崎海岸の成り立ちを探るうえで非常に興味深いところです。加えてここでは珍しい特有の植物を観察できます。
斎藤先生の説明を聞いたあと、全員で虫眼鏡を片手に思い思いに石の表面やクレーターのような穴ぼこを覗き込みました。

いがいが根を後にするとすぐに、皆の期待の的、ポットホールがあるかんのん浜に到着。
まず、浜に踏み入れる前に齊藤先生から厳しく危険防止のための注意がなされ、少なからず、みんなも緊張気味に。ゴロタ石の上を「格好よりも安全が第一」というスタッフの声を聞きながら慎重に浜に入っていきました。

努力は報われ、海岸の小山によじ登ると眼下にあの憧れのポットホールが!
沸き起こる歓声とバシャバシャとシャッターの鳴る音、音、音・・・・
全くの偶然がもたらした完璧な自然の芸術品=マンマルの直径70cmほどの石球。
参加者の中には「これを見たら、もう死んでもいい」などと大袈裟なことを言う方もおられました。
まだまだ先の行程があるので、みなさん、後ろ髪を引かれる思いで現場を後にしました。

トンボロで陸繋島となった大島ヶ根を右に見ながら進み、二丁に到着。
大室山溶岩流が横方向の力で縦に入った亀裂で先端から見下ろすといかにも荒々しい風景です。
ここで三々五々、海を眺め、波の音を足元に聴きながら和やかにお弁当の時間です。

さて、元気を取り戻して再び海岸線を歩き、歩道からはずれて茂みを抜けると沖で上り下りの2本の潮流が交わる「だせんば」に出ました。
吹き渡る風に帽子を飛ばされないよう手に手に帽子を押さえながら先生の解説に耳を傾ける顔・顔・顔・・・・

日蓮崎で常夜灯や俎岩の言い伝えを聞き、ビックリするような石喰いモチノキを見学して一行は今日のコースの北端・蓮着寺に到着。境内の国指定天然記念物ヤマモモを見たあと樹林を抜けて帰路につきました。

歩いた時間の割にはアップダウンが多く、足場も岩が露出した凸凹道で石段があったりで、結構疲れましたが、みなさん、みんな元気でスタート地点に戻ったその顔は明るく満足感に満ちていました。

H記 

 
2021.第5回「矢筈山の探訪
            (第4回はコロナ予防対策として中止しました)
    

矢筈山登山で白浜層?  斉藤先生からびっくり解説を聴く参加者のみなさん

 ■実施日:2021.12.11.(土) 晴れ
   ■参加者数:18名

  「げんこつ山」として伊東市民に親しまれ、伊東市内最高峰(標高816m)ですから、募集開始直後から申し込みが殺到して、受付係は嬉しい悲鳴を上げました。
急峻で登山道もあまり整備されておらず、地元の人たちでも実際に登った人は意外に多くないという健脚向きのコースのため、安全確保上、募集人員を15名と他のツアーよりも少なめに設定しました。瞬く間に定員に達して数名の方にキャンセル待ちをお願いし、その後は泣く泣くお断りするしかありませんでした。また、お問い合わせいただいたものの、健脚向きということでご自身の体力を考慮されて断念いただいた皆様、誠に申し訳ありませんでした。

 9時30分出発。事前にスタッフが張ったザイルを頼りに5分ほどで痩せ尾根に。ここは伊豆半島の分水嶺の一つで、進行方向左側に降った雨は池の田んぼを経て城ケ崎の対島の滝から相模湾へ直行、右側は大見川・狩野川を経て沼津で駿河湾へと流れ出る。しかし、別々の方向に流れ出た水はそれぞれ海流によって石廊崎の沖で出会う。ジオ研ツアーおなじみの斉藤先生の話に、一同から「わー、ロマンチック」との声が上がる。

 杉の倒木をくぐったり跨いだりしながら巨岩の空間へ。ここは矢筈山の双子の山である孔の山の裾で、苔むした巨岩が累々と続く、溶岩ドームから転がり落ちたものだ。苔の緑のすばらしさを堪能しながらも噴火の当時のすさまじさを思い描く顔と顔。中でも一際目を引く巨岩が数個。「これらも転がり落ちてきたものだろうか」という課題が斉藤先生から参加者に提示される。
 巨岩空間を通り抜けると、やがて低湿地へ出る。湧水の沢だ。天城の伏流水が湧き出し、再び孔の山の地下に吸い込まれて行く。皆で声を掛け合いながら小石伝いに渡る。

 緩い登りと下りで平らな植林地へ。広い窪地に植林された杉の幹が1m以上も土砂に埋まっている。豪雨の際に大きな池が出現しているのは間違いない。ジオ研では幻の池と呼んでいる。大きく育った杉の中には枯れている木があり発泡スチロールなどのごみも散見する。植林への夢と努力を裏切る土砂やゴミはどこから来たのだろうか。参加者が憤ることしきりであった。

 さて、ここには孔の山の大岩壁がある。ハンマーでサンプルを採取し、孔の山の組成は流紋岩であることを確認する。また、矢筈山登山口に続く池の出口には伊豆が浅い海であった頃の地層白浜層の露頭がある。2千万〜2百万年前の海でできた地層がこんな山の上にある不思議さに地殻変動のダイナミックさを感じていた。

 孔の山の裾を巡り矢筈山との鞍部が矢筈山登頂口となる。この辺りにも巨岩が散乱しているが、一際目を引く城壁のような巨岩がある。どう見ても転がり落ちてきたものとは思えない。溶岩ドーム本体とは別に脇から盛り上がった超小型の溶岩ドームであろう。これで、巨岩空間で提示された課題は解決。すっきりした気持ちで、いざ矢筈山山頂へ。

 ここからは九十九折れの急坂だ。皆で、躓きそうな根っこがあれば「根っこ注意」、頭がぶつかりそうな枝があれば「頭上注意」などと声を掛け合い、励まし合いながら懸命にひたすら登る。途中、ジオ研で富士見の坂と呼んでいるところで小休止。雄大な富士の左に南アルプスその手前に沼津アルプス。右には箱根から丹沢や大山、ずっと手前には伊東の市街地も一望でき、皆十分に英気を養った。

 しばらく登ると炭焼き窯の跡。こんな山の上で焼いた炭をどうやって降ろしたのであろうか。当時の人々の苦労を考えざるを得ない参加者であった。

 ここから山頂へは、溶岩ドーム独特の角ばった巨岩の上を歩く。岩にへばりつき、間をすり抜けてのスリル満点の登頂だ。どの顔も真剣そのものだ。注意しあい励ましあってやっとの思いで山頂到着。ある参加者の声「やっぱりこの山は連れてきてもらわなければ、とても来れる山ではないですね。ありがとうございます、念願がかないました」のお声をいただく。

 昼食後、三角点と池の水田と大室山方面が一望できる大岩の上へ。また、夏冷たく冬暖かく感じるいくつかの噴気孔に手をかざして不思議そうに首をかしげる人、うなずく人それぞれの表情が見られた。

 帰路も何事もなくツアーを終えることができました。参加の皆様、ご協力ありがとうございました。
 
 S記

  
  


2021.第3回「伊雄山溶岩地形の探訪
    

板状節理・凸面節理など興味深い地形の謎解きをする齊藤先生  もとせの浜

 ■実施日:2021.7.31.(土) 晴れ
   ■参加者数:20名

○早朝の激しい雷雨。5種類の天気予報で織り込み済みとはいえ、あまりの激しさに少々心配になった。実施判定は6時30分だが15分にメインガイドの斎藤先生と連絡を取る。今後の雨は心配ないが、コース上で降雨により滑りやすい箇所があるのが心配だ。そこでは時間をかけ十分に注意を払って通過するという確認のもとゴーサイン。

○7時45分には受け付け準備完了。いつもだと8時前から受付に列ができるのに今回は皆さんゆっくりだ。そうか今回の参加者は地元の八幡野と赤沢の人が多いからか。地元の参加者が多いことは「ジオの目でふるさと再発見」をうたうジオ研としては喜ばしいことだ。
とはいうものの前泊での横浜からの参加者はじめ伊東市外からの参加者もあることは有難いことだ。

○8時30分。開会挨拶、コース説明、諸注意、準備体操を済ませ9時出発。先ずはお釜、まつした、大灘(おおなだ)、もとせの浜と伊雄山の二つの溶岩台地の北側の浮山に溶岩と海がつくり出した造形を巡るコースだ。この間は、足場の悪い溶岩の上を歩く今回のツアーで最も難コースの部分でもある。

○溶岩と海がつくり出した絶景にもいろいろある。お釜は海食洞の天井部分が崩落したもの。降りてみれば龍宮窟に勝るとも劣らないといわれるが、安全確保のため残念ながら上から覗くだけ。参加者からここだけに時間をかけたツアーをぜひ組んで欲しいとの声あり。
 まつしたは、高温酸化した赤い溶岩層や板状節理、熱い溶岩が海水で急冷された水冷破砕岩、この地形ができた過程をしばし想像。潮溜まりでの小石の出入りなど現在も変化を続けている様子も観察した。
 大灘では眼下に見える淀(潮溜まり)、足元の溶岩皺そして礒釣りを楽しむ人々、洋上には大島、左手には出発点の一本松、右手はこれから行くもとせの浜と南側の溶岩台地が一望できた。涼しい海風を頬に受け一同しばしの休息。
 一旦、分譲地の舗装道路へ出て浮山橋の袂からもとせの浜へ。ここは浮山の南側溶岩台地と北側のそれとの合流点でゴロタ石の浜辺で伊能忠敬の地図では碁石濱と示されている。南北共に絶壁で、特に北側の壁には板状節理や凸面状のカーブミラーのような節理があり、カメラを向ける参加者が多かった。

○浮山橋に戻り、橋の中央から伊雄山スコリア丘の噴火口から流れ出た溶岩が二つの流れとなって海を埋め立て浮山の二つの溶岩台地をつくった様を実感。そこで、浮山在住20年の外国人Tさんが野生種のヤマモモの説明をかってでてくれた。山桃一升米一升といわれ八幡野と赤沢の住民にとっては貴重な財源であった話などをジオ研スッタフが補い、参加者とスッタフの一体感をかもし出した場面であった。
 昔山桃、今別荘。溶岩台地上の浮山別荘地内の舗装道路をルネッサ赤沢目指して進む。国道をくぐり、伊豆急の跨線橋を渡り旧国道へ。平安末期に大見小藤太と八幡三郎が河津三郎に遠矢を射たという椎の木三本を経て、昼食場所にお約束の11時55分ぴたりに到着。参加者から「グッド」のお声をいただく。

○昼食休憩。思い思いに冷たい飲み物やアイスで英気を養い、イザ午後の部へ。
 徒歩5分、伊雄山の南側溶岩流の右岸へ。急斜面を激しく流れ降る溶岩流の両端は中央より温度が下がって粘り気を増して堤防状に固まる。横2・30メートル高さ10メートル以上の溶岩堤防に一同驚嘆。さらに左岸の溶岩堤防に登り大きさを実感。また、溶岩堤防の延長か判然としないが、巨大スコリアラフト?を見学。

○二つの溶岩流が海を埋め残した窪地である夕間(ゆうま)へ。ここは、旧国道開通前の主要道路である伊豆東浦路。幕末には、かの吉田松陰も下田の黒船目指して駆け抜けたという。窪地の一番低い所に、河津三郎の血塚。三大仇討の曽我物語発祥の地との説明に地形と歴史とのかかわりに暫し感銘する。この部分は伊雄山でなく天城の地質であると岩を割って説明する斎藤先生の姿に「ほんとにジオが好きなんだなあ」とのつぶやき。

○浮山の分譲地を通り抜けて出発地の一本松へ。帰路、皆さんからの運営がしっかりしている、連携がいい、気配りがいい、スタッフが各々の分野に精通している等のお言葉に気をよくした会長でした。予定通りの帰着。
  
S記

  




2021.第2回「小室山と一碧湖の探訪
    

一碧湖の自然や文学、伝説などを聞く一行  一碧湖湖畔

 ■実施日:2021.6.5.(土) 晴れ
   ■参加者数:25名

  例年より3週間も早く突入した今年の梅雨。10日前からこの日の天気予報の「雨」のマークが消えることが無かったのに、2日前から前後日の「雨」に挟まれて、なんと、この日だけは「雨」マークが消えました。
ちょっとずれれば「雨」となってしまうという際どい状況下でスタッフ一同、前日4日の強雨を気を揉みながら耐えました。
しかし! 当日朝、催行最終決断をすべく空を見上げた会長は、文句のつけようのない天気を見て「よし、やるぞ!」と、勇躍、予定時刻よりまだ早いのに全スタッフに「GOサイン」を発したのでした。

前にもご紹介しましたが、滅法強い我がジオ研の天気運。この天気を人呼んで、「ジオ研天気」と申します。

さて、コロナ禍と不安な天気から解放されて、参加者の皆さんも晴れ晴れした顔・顔で小室山の駐車場に集合され、元気よく小室山頂上を目指して出発しました。

溶岩流出口と推測される窪地は夥しい雑草に覆われ、当時の激しい様子を想像することはできませんが、その他別荘地となっている敷地の内外に巨大な溶岩を確認できました。
小室山の1万5千年前に比べるとわずか4千年前という噴火歴の若造・大室山から飛来した火山灰が確かに小室山の地層に被さっていることを確認できる露頭があって身近に「地学」の面白さを感じます。

頂上から周囲の山々や海の情景を見ながら伊豆東部火山群のジオ説明を聞き、小室神社の由来などを学んで子供たちの歓声が飛び交う恐竜広場でお弁当を楽しみました。

午後の部は一碧湖。スコリア丘の小室山とは一変、ここは超・激しい水蒸気爆発で出来た噴火口。静かに満々と水をたたえたその姿から「伊豆の瞳」とロマンチックな名前で呼ばれるその美しさからはとても想像できない、激しい気性の女性(?)だったのです。

周囲を取り巻いて垂直に切り立った爆発の跡、その爆発を物語る爆発角礫岩の露頭を観察して、「一碧湖」構成の一つ、「沼地」側を一周します。水生植物・葦と沼池に生息する大きな鯉の大群に迎えられながら、吉田用水取水口に至り、その建設にまつわる伝説を聞いて次々に出くわす水生植物について学びました。サワラ並木の下では、サワラとヒノキの見分け方を学び、賑やかに「判定」を実習しました。

 続いて、もう一つの湖・いわゆる「一碧湖」。大室山が溶岩を流し込んで一碧湖形成に関係した十二連島、お経島の由来や赤牛伝説を聞きいて与謝野鉄幹・晶子の碑の前へ。
かつて湖畔の小学校で子供たちの先生として日を送ったことのある現会長の思いのこもった説明には説得力があり、伊東の地元住民とも深く交わって、一碧湖を愛し多くの短歌に詠んだ与謝野鉄幹・晶子夫妻の姿が彷彿と偲ばれました。

大きなエノキの木の下ではエノキがその大きく目立つことを活かして一里塚に植えられて目印となり、その木陰は旅人の脚を休ませる場ともなった話、ナンキンハゼの木の下ではハゼ同様和蝋燭の原料となる話などを聞き、大室山の溶岩・水冷破砕溶岩の説明を最後に楽しい1日のツアーを終了しました。

  一緒に歩いたある高齢の参加者が興奮しながら発せられた歓声「伊豆はすごい、伊東はすばらしい。ここまでスゴイとは知らなかった。伊豆半島が南からやってきた?いやー、全く知らなかった。スゴイ、スゴイ。あなたたち、こんな面倒を見てくれるスタッフもすごい」」

こんな言葉を聞かされると、私たちスタッフは涙が出るほど嬉しいものです。
私たちもボランティアとしての活動に、一段とやりがいを感じます。

すばらしい参加者の皆様方、今日も有難うございました! 
 
H記

  

2021.第1回「大室山と池地区探訪 &  ジオの基礎講座」
    

真剣に講座に聴き入る参加者のみなさん  桜美林学園伊豆高原クラブ

 ■実施日:2021.4.10.(土) 晴れ
   ■参加者数:30名

天気予報が大きく外れ、集合時刻前には大室山隣の講座会場(桜美林学園伊豆高原クラブ)付近はミゾレが降る寒さです。
それでも昼からは晴れるという予報を信じて講座が始まりました。

 本年度は特にジオの初心者に焦点を当てて、年度のはじめに基礎知識を得て1年間のツアーを楽しんで頂くこうと第1回目に地学・植物・鳥類などの講座をセットしました。

 講座Tは芹澤安正ジオ研会長の「伊豆半島の成り立ちと伊豆高原の成り立ち」。
伊豆の2000万年をかけた800kmの旅路、伊豆半島となった経緯。最近20万年の伊豆東部火山群の活動。そして大地・生態系・人間活動のかかわりの中でジオパークの基本的な考え方が語られました。
 講座Uは伊豆野鳥愛好会渡辺高助事務局長による「伊豆高原の野鳥たち」。
山・里・海岸・海に生息する野鳥の特徴や生態についてのお話は身近の鳥たちに改めて関心を持たせてくれました。さすが50年以上もの長期にわたる観察に基づいた講座でした。
 講座Vは環境カウンセラー山口康裕先生の「伊豆高原の植物たち」。
伊豆の成り立ちに関わる伊豆特有の植物や昆虫などとの生態系について、神話や伝承、時には科学的な分析に基づく先生独特の楽しい語り口を聴衆は堪能させて頂きました。

 講座終了後、思い思いにお弁当を済ませてリフトで大室山の頂上へ。
この時にはすでに空は晴れ渡り、まさにジオ研が誇る「ジオ研天気」となって360度の絶景が私たちを迎えてくれました。
大室山浅間神社を経て頂上を一周しながら祀られている地蔵尊等を見学し、遠く近くに見えるジオの地形を確認して下山、一行は池地区の池会館に向かいました。

 池地区は独特の地学的発祥の特徴と伊豆半島でも珍しい田園風景を有しながら、あまりツアーが組まれない所で、多くの参加者が期待されていた地域です。
 徒歩で先ずは水門と排水トンネルへ。大室山室の腰からの溶岩流Tが天城からの渓流を堰き止めて出来た「池」を干拓して水田にするために明治初年に掘られたものです。「平安都城の碑」は完成記念碑。令和元年9月の台風でトンネル脇の山が崩れてトンネルを塞ぎ150年前の「池」に逆戻りしました。山崩れの凄まじさと150年前の人々の努力に感嘆した一行でした。
 続いてトンネルに繋がる排水路を遡り、水神社と山神社へ。溶岩流と「池」との境で4000年前の池の出現の様子と干拓されて水田になった様子をつぶさに観察。矢筈山や台の山についても説明がありました。

こうして全員が楽しい田園ハイキングをして、今日一日のツアーが終了しました。

 まだまだコロナの警戒を緩めることのできない状況ですが、コロナ対策に気を遣いながら、なんとか無事にツアーができて良かったと思っています。
今後もツアー開催にはコロナ対策は怠りませんが、一日も早く、そんなことを気にしないでツアーを楽しめる日が来ることを願って止みません。

H記

  

2020.第1回「海から見る伊豆高原と城ヶ崎海岸」
    (4月・6月・8月のツアーはコロナ感染予防対策で中止)

デカデカと伊豆新聞の1面と最終面を使って掲載された
10月24日のクルージング風景 

■実施日:2020.10.24.(土) 晴れ
               2020.11.04.(水) 晴れ
■参加者数:37名

<10月24日>
 斎藤先生の座学後乗船。
 爽やかな秋の陽に透けた湾内の水はキラキラと輝いて、ミニクルーズへの期待が高まりました。
 いざ出港・・・前方には伊豆諸島の島々が、振り返ると大室山の流した溶岩の動きが手に取るように見て取れました。「払火山の存在がハンパない」というのが海から眺めた感想です。
 かぐら根や岩脈も陸からでは想像が難しい迫力でした。
 遠望で島々や山々、そして富戸、城ケ崎、浮山(赤沢)の海岸を堪能した後は出来る限り岸近くを通り、細部を観察、要所要所で運航をストップさせて下さる船長さんの腕に感服!伊豆大島と新島、大室山と矢筈山等形成過程の違いも歴然!海上からの観察はとても分かりやすいことに気が付きました。
 時には潮を浴び健康浴も!
 事前研修が功を奏し、ガイドの一言一言への反応が皆さんのうなずく動作に見て取れ、コロナ問題がなければもっと華やかなお声が聞けたのではと少々残念。
 ガイドの歴史的な話や経験談も交え盛りだくさんの内容に「楽しかった」のお声を沢山頂けました。

 陸では絶好の行楽日和であっても海は荒れている・・・これが秋のクルージングの難しさなのでしょうか。残念ながら10月31日は実施できませんでした。

そして <11月4日>
 前夜の風が嘘のように静まり文句なしの快晴の中、今季2回目のミニクルーズが富戸港を出発。定員ぎりぎりだった前回に比べ、船足も軽々と進みます。快適この上ないコンディションではありますが、やはりコロナが頭をよぎり、お客様は全員紳士淑女!お互いに気を使い、粛々と進行。お陰で内容の充実した「大人のイベント=新しいタイプのイベント」を行うことが出来ました。 
 そんな中から辛うじて拾えたお客様の反応は
  ・普段と異なる体験ができた
  ・船ならではの観察が出来た(しっかり写真撮影)
  ・いろいろな話が聞けた
  ・ストレス解消になった  
  ・ジオって楽しい
 などでした。
 最近この地へいらした方、土地っ子の方、退職後伊東での暮らしを満喫中の方、現役バリバリの方など様々なお客様が参加され、遊覧船廃止となった今このイベントに参加できたことをラッキーと喜んでいただけたようです。

H記

  

2019.第6回「稲取火山と細野高原の探訪

高台から広大な景色を見下ろしながら、斎藤先生や地元認定ジオガイドから
稲取の街の地形や成り立ちについて説明を受ける
稲取ふれあいの森公園 

■実施日:2020.02.01(土) 晴れ時々曇り
               ■参加者数:12名

 「晴れ」の天気予報が外れ、二度ほど極く小さな雨滴がパラつきましたが、行程には影響がなく風も無かったので、ともすると,うっすらと汗ばむほどの天気となりました。 

スタート直後、森の坂道を登って高台に抜け出た途端、そこに展開する大きな海原と伊豆七島群、足元に広がる稲取の街と港の絶景に一同「わああっ、凄い」の歓声。中には「これはいい!今日はもう、これを見ただけで充分!」などと随分気の早いことを叫ぶ人も。

私達の研究会は伊豆高原を中心に地元のメンバーで構成していますから,今日はご当地・稲取に生まれ育った公式認定ジオガイドが斎藤先生とタッグを組んでガイドをします。
さすがにご当地ガイド、「オラが町」の地形や成り立ちについて、言い伝えや自分が実体験した昔の風景などを織り込んで,熱がこもります。

浅間山の登り口で,稲取火山がもたらした露頭を見学,浅間山では尾根道伝いに「山歩き」。
天城山の山体崩壊によって偶然に出来たのであろう巨岩の岩室に祀られる神社を見学して頂上へ。
ここまで上り詰めると筆舌に尽くせない一大パノラマが360度に展開します。

背後には天城連山と山体が崩壊しかけている地形が手に取るように観察できます。
右手にはその一角、三筋山が聳え、そこから海に向かって山が崩れ落ちていった様子が今は広大な草原をなして容易に想像できます。

その先端・稲取のはるか南に爪木崎を望み、そこから足下を経て左端(北)は城ヶ崎海岸まで打ち寄せる白波が続いています。沖には大島は勿論、伊豆七島群が悠然と横たわっています。

城ヶ崎海岸から左の山の方へ稜線を辿ると、そこにはあの独特の形をした大室山や伊雄山がくっきりと見え、逆に海岸へ下りのスロープを追いかけると、まさに溶岩がゆっくりと流れ下った様がはっきりと確認できます。

浅間山から降りて風車の下では東伊豆町が運営する風力発電について,町役場の担当の方から苦労話も含めて熱心な説明を聞かせて頂きました。

丁度昼食という時に折悪しく小さな通り雨に遭い、みんなは夫々の車の屋根の下でお弁当を食べましたが、雨はすぐに上がったので再び外に出て、今度は四阿(あずまや)の展望台から先生の解説を聞きました。何と! この時先生が指さす城ヶ崎海岸の先端にきれいな虹がかかりました。
こんな偶然は今日の気象状況のなせる業でしょうが,本来、晴れ男・女の集団である我がジオ研の「転んでも只では起きないジオ研天気,面目躍如」と当会会長は大喜びでした。

浅間山から今度は桃野湿原までの車列。先頭車から末尾に至るまで、どんなに長くても信号で切り離されることはありません。何故かって?だって、ほら、そこはそれ、今日のルートは山の中。
信号機なんてどこにも無いのです。

ゆっくりと安全運転で桃野湿原に着くと先生の話を聞きながら「にわか鑑定士」が思い思いに小石を拾い集めては草原をかき分けます。

そして細野高原駐車場に駐車した後、最後のすすきの原ハイキング。本日、目にした広大な景色の総仕上げ。細野高原は箱根・仙石原のすすき野の7倍だといいます。すすきの穂先の合間から眼下に光り広がる海原と伊豆七島群を眺めながら駐車場に戻って今日の探訪を終了しました。
本日の最年少参加者は9歳の少年でしたが、この少年が発した「山って不思議だね」という歓声が心に響きました。

H記

  


2019.第5回「溶岩ドーム矢筈山の探訪

■実施日:2019.12.07.(土) 雨天のため中止
■参加者数:名
 全国的に12月7日は雨天となり、今回のコースは特に安全上の注意を要する登山であったため、ツアーを翌週に延期することとしました。
しかし、1週間後の予備日では多くの参加応募者の都合が合わず、催行最低人数に達しなかったため、残念ながら本第5回ジオツアーは中止と致しました。

ツアーを期待していただきながら、ご案内できなかった参加希望の皆様、本当にごめんなさい。
当会は参加の皆様の安全を何よりも一番に考えております。どうかご理解下さい。

2019.第4回「大室山とその周辺の探訪

こんな身近にも大室山噴火の歴史を語る証が・・・・ 伊豆高原桜並木
■実施日:2019.10.26.(土) 晴れ
■参加者数:12名

 地球温暖化の影響だと言われていますが,今年は台風が多く、しかも大きいのが襲来して、日本各地を荒らし回っています。
幸運にもしばらくの間、色々の災害から逃れ続けてきた当地・伊豆半島伊東市も今年ばかりはついに捕まり、15号・19号と立て続けにやってきた台風、特に15号の被害は大変なものでした。

 わけても大きな災害が池地区を襲いました。15号の雨が引き金となって,対島川に通じる排水口における土砂崩れが排水路を完全に遮断し、降りしきる雨がもたらす大量の水をせき止めて、結果、池地区の風景をまさしくその地名の発祥そのものの「池」に戻してしまったのです。

 何と皮肉なことか。今回の大室山ジオツアーは「大室山が湧出した溶岩が何処からどのように流れ重なったかを探ろう」と従来のコースを再検討して,この池地区にも実際に足を踏み入れるコース設定をしておりました。
それが、復旧作業のために忙しく行き交うダンプの合間から変わり果てた水門と崖崩れの山肌を見せつけられることになろうとは・・・・

 この台風群は私達のツアー実施にも「災害」をもたらしました。
続いて発生した21号がはるか南の海上にありながら、前線を刺激して又しても豪雨を降らせ、本来の実施日19日を待たず、18日にして中止と判断せざるを得ない状況に追い込まれました。

このため予備日の26日では都合が悪く、ツアーを断念する方々が出たことは残念でなりません。

 とまれ、こうして予備日の26日は前夜までの雨も上がって朝から気持ちよく晴れ渡りました。
まず最初に登った大室山の山頂からは青空を背景に雪を冠した富士山は勿論、白い南アルプスや房総半島、伊豆七島の島影まで遠望することができました。

 一行は山頂を一周しながら、足元の大室山の土や火山弾などを観察し、周りに点在するジオの数々について説明を受けました。南側から池地区を見下ろしながら,その昔、水を満々とたたえた池の情景を想像する一方、つい数日前まで災害のために水に浸された池地区の姿が重なって何とも複雑な気持ちになりました。

 山から下山すると其々のクルマに分乗、早速,麓に散在するポイントを探る旅に出ました。
今日のテーマは「大室山は何処から溶岩を流し、どのように流れ下って行ったのか。流れ出した湧出口は結局どこに幾つあったのだろう?」です。

「捜索隊」はさくらの里からオークランド別荘地を経て池の山神社、水門を見て伊豆急の別荘地から伊豆高原桜並木と溶岩が流れた跡を辿りました。最初に流れた溶岩の上を、ある時は横を,時を経て違った溶岩が流れ落ちていった・・・・なんとも雄大な話です。

 最後に伊豆高原駅に至って、池から流れ出て来たあの水がここでは人工の川となって、果てはあの「対島の滝」となって城ヶ崎海岸に落ちていくその流れを眺めながら今日のツアーは終わりとなりました。

H記

 

2019.第3回「伊雄山溶岩地形の探訪

「お釜」の中から打ち寄せる波を眺める参加者


■実施日:2019.08.17.(土) 晴れ
■参加者数:11名

 全国的に記録的猛暑が続く中、のろのろ大型台風10号の進路がやっとはっきりしたものの,それは日本列島直撃となり、この影響で数日前から間歇的な雨とともに強い風が吹き出しました。

開催の前日は猛暑に加え突風を警戒、私達スタッフはツアーの安全確保に全神経を集中させました。
この自然条件を考慮の上でしょう,数名のキャンセルが発生しましたが、会としては「十分な注意をすれば大丈夫」と本日のツアー実施を最終決定しました。

 8時半に八幡野港の一本松駐車場に集合しましたが、海岸の高台とあってさすがに風が強く、お蔭で涼しいけど帽子が飛ばされるのが心配という状況でした。

しかし、晴れ渡った青空の下の海岸の景色は素晴らしく、青い海と打ち寄せる白い波、海岸の深い緑と吹き抜ける涼しい風が印象的でした。

 いきなり生い茂る林をかき分けてツアーはスタート。観光化されず,人があまり訪れることのないこの海岸は伊東市で最も若い火山・伊雄山だけに,かろうじてつながるけもの道のような「道」は荒々しく,岩をまたぎ踏み外すと遥か下の海に落下するような所を周りの木にしがみつきながら進みました。

 こうして最初に現れたのが大きな海蝕洞、通称「お釜」。約2700年前、伊雄山から流れ落ちた溶岩が海に達し海を埋めながら前進、現在の浮山別荘地を中心に海岸線を形成したのですが、一部が長い年月の間に波に砕かれ洞を作って、最後には天井部分が崩落して、南伊豆の龍宮窟と同じ地形となったものです。

今回は参加者が少なかったので,スタッフの目が届き安全確保ができると判断して、いつもは上から覗き込むだけのこの穴に降りることにしました。
上からの観察に留める数名の方を除いて、慎重にロープにつかまったりしながら「地底」に降り立ちました。海蝕洞ですから当然のことですが、そこから洞の先を見ると、そこには白い波がドーンと打ち寄せています。その先の青々とした海の向こうには伊豆大島がゆったりと横たわっています。

溶岩と波とが創り上げたこの大きな穴に立って逆光の中にこの景色を見ていると自然の圧倒的な力を感じます。
斎藤先生の熱心な説明を受けて、再び崖に挑戦。懸命にもとの道まで這い上がりました。

 かくて、「ジャングル」の道は続き、新しい溶岩と波の様子が猛々しい まつした や珍しい曲面節理が観察できる もとせの浜 を見て浮山別荘地の高さまで戻りました。

 血塚、旧下田街道を経て汗びっしょりになって昼食のため敷地の一部をお借りしている伊豆急・赤沢ルネッサに到着。思い思いに冷たい飲み物やアイスキャンディーなどを補給して、木陰でそよ風を顔に受けながらそれぞれのお弁当を賑やかに頂きました。

 今日は天候のコンデションに配慮して、会として特別にツアーに見え隠れして走る「伴走車」を用意しました。昼食時にはこの伴走車のスタッフが冷たい水や氷をサービスし、参加者のみなさんに大いに喜ばれました。

 昼の休憩で一躍元気を取り戻した一行は、このあと、伊雄山の溶岩流が形成した珍しい溶岩堤防やスコリアラフトとみられる巨大な岩、しいのき3本などを見学して駐車場まで戻ってきました。

 暑い中,結構な道程を歩きましたが、参加のみなさんは楽し気に話もはずみ、私達スタッフとしては、今日がみなさんのこの夏の良い思い出の一つになってくれればいいなと思いつつ、お別れを致しました。

H記

 

2019.第2回「(北部)城ヶ崎海岸を探る

「かどかけ」の海蝕洞を覗き込む


■実施日:2019.06.08.(土) 晴れ
■参加者数:14名

 ツアーの前日は大雨やら洪水警報が出るほどの雷を伴う大荒れの天気。
数ある天気予報、どのアプリを見ても翌日は冷ややかに雨又は小雨の予報。いくつかの予報では昼間のわずかなツアーの時間帯のみを曇りと表示しているが、「参加者の安全第一」がモットーの主催者側にとっては何とも頼りなく情けない予報には変更はなく、ただ時間が経過していく。
そんな状況でも、夜半に雨さえ上がれば今回のコースは危険度が低いことから,主催者として、ギリギリの朝まで様子を見ることに。
しかし、我々の切なる思いとは裏腹に夜になって一段と雨脚は強く,冷ややかに雨音が響き渡ります。

2時か3時頃には雨が上がると予想していた「頼みの綱」の2〜3の予報を踏みにじり、まだ雨がしとしとと降り続きます。やっと、4時頃に雨音が止み、6つの天気予報のうち、2つが何と、昼頃に太陽が覗くマークを!しかし2つはぶっ通しの雨マーク。複数の天気アプリが真反対の予報をするとは!!

朝6時、主催者協議して、最後の判断をする。
中止するなら一刻も早く参加者の皆様にご連絡せねば・・・・

少なくとも雨は上がったこと。2つの天気予報が一時回復を報じていること。実行するのは知る人ぞ知る天気男・女のジオ研であること、雨さえ上がれば今日のコースは安全と判断できること、などから「今日のツアーは実施」と決定。

伊豆高原の駅の集合時刻になると、なんとなんと空は見る見る明るくなって、青空までが・・・・
そして富戸駅から溶岩扇状地の上を歩いて海岸に向かう頃にはもう、汗汗汗・・・・・

宇根の展望台から青い水平線と美しい城ヶ崎海岸を見渡す頃には今朝までの天気予報との闘いなど完全に忘れ去っていました。

紺碧の海に心地よい風がもたらす白い波を見ながら晴れ晴れとしたトレッキングが始まりました。

大勢のダイバーで賑わう富戸漁港を抜け,富戸ホール・魚見小屋を経てボラ納屋へ。

雨に洗われ、一段とつややかに鮮やかな新緑をくぐって「まえかど」に到着。

宇根展望台・富戸港・魚見小屋・ぼら納屋と海岸線が手に取るように見渡せる広い岩場で地質の解説に加え、かつてこの一帯で行われたぼら漁について図を見ながらの説明、そして城ヶ崎海岸一帯に広がる照葉樹とその偉大な効用についての説明と斎藤先生や湯井認定ジオガイドが熱弁を奮いました。

岩場のすぐ下で潜水を楽しむダイバーの様子やゴツゴツと荒々しくも美しい海岸の様子を見,頬に気持ち良い風を感じながら思い思いに弁当を開きました。

宇根展望台近くの産衣石に次ぎ、幕末の砲台跡では芹沢認定ジオガイドが解説を加えながら,「ふたまた」・「もずがね」と軽快なトレッキングが続きます。

「かどかけ」では再度遊歩道から下に降りて貴重な海蝕洞(溶岩トンネル)やポットホールを見学、岩場をよじ登ってつばくろ島展望台へ。

今日のつばくろ島ではアマツバメの飛翔がしっかり確認できましたが、ちょうどこの辺りにミズナギドリの群れが小魚を追って飛来して、海面を飛ぶ珍しい光景を目にすることができました。

一人の”高所恐怖症”の参加者を女性ガイド等が介助しながら揺れる吊り橋を渡り門脇灯台へ。
灯台に登って眺望を楽しんだあと、木陰の森のトンネルを抜けてゴールの四季の花公園へ。

楽しかったトレッキングの終点で伊豆高原駅行のバスを待つ間に好き好きにソフトクリームを食べる皆さんの姿がまた、楽しそうでした。

H記

 

2019.第1回「海から見る伊豆高原と城ヶ崎海岸

川奈の方向に北上する船団(?)


■実施日:2019.04.13.(土) 晴れ
■参加者数:20名

天気は絶好。朝6時に船頭さんと今日の海上の状況をチェック。
釣りやダイバーなら気にしない程度の波はあるが「大丈夫だろう」という判断で今日のツアーを予定通りに実行することを決定しました。

ところが集合時刻のころになると急に風が出て、沖には白波がチラホラ。
船の運航や安全には何の心配もないが,船の揺れに慣れない参加者の方々にとって、船酔いや転倒事故などトラブルは大丈夫か・・・・と運航を担当する漁協や船頭さんとジオ研の会長が懸命に状況の分析や対応策を検討、先行して開始した座学(今日のコースを順にスライドで紹介し、ジオ的説明をする)の間にギリギリで船出を決定しました。

問題は船酔いであることを参加者の皆さんに説明し、全員が「頑張る。船出しよう」ということになり、酔い止め薬など思い思いに対策をして3隻に分かれて乗船しました。

出港して定置網の近くを抜けて折り返しの川奈の南端あたりまではさすがに波もあって時折潮が風に舞ったりする場面もありましたが、沖に出て海岸沿いに南下を始めると風は順風にもなって,天城や遠笠山、大室山をはじめ、東伊豆の「東部火山群」が手に取るように居並ぶ姿が展開しました。
いつもは徒歩で探っているジオサイトが今日は左右に前後に展開して、まさに「昨日は木を見て、今日は森を見ている」感じです。
船のあちこちから「わあ、素敵!」と感嘆の声が湧き立ちます。

赤沢の沖まで南下した船はここで伊雄山や大室山の溶岩が流れ落ちた海岸線に再び接近。今度は綺麗な柱状節理や海蝕洞が連なる荒々しい海岸を観察しながら北上します。この頃にはもう海はすっかりのどかな風景となって,青い海の岩場に立って釣り人達が竿を上げ下げしている前を通過して行きます。

今月の初めには到着していたアマツバメが、今日はどこか他へ餌を求め飛んで行って留守にしているようで、つばくろ島に接近して探しましたが、残念ながら姿を見ることは出来ませんでした。
座学の時にお配りしたコースに沿ってポイントとなるスポットを配した写真を片手に忙しく現地を確認しながらジオを楽しんでいるうちに、アッという間に2時間のクルージングは終了してしまいました。

下船してみたら、「参加者・スタッフとも全員が船酔いゼロ」だったようで、出港をめぐる船出までの真剣な検討が杞憂に終わったことが何よりだったとつくずく思いました。

H記


2018.第6回「稲取火山と細野高原の探訪

四阿(あずまや)付近からの大パノラマに歓声をあげ、自然の造形美に目を見張る。


■実施日:2019.02.03.(日) 晴れ
■参加者数:13名

 一週間ほど前の天気予報では、この当日だけが雨模様という最悪の予想。
そんな筈はない。やはり予報は見事に外れて、写真のような雲一つない暖かな行楽日和。
これぞ、私たちが誇る天気男と女の「ジオ研天気」。
歩き出すと同時に重ね着を一枚・二枚とリュックに収める姿があちこちに見られるような陽気となりました。

 稲取ふれあいの森展望台から稲取の町や沖に並ぶ伊豆の島々を展望しながら、稲取の土地っ子ママさん認定ジオガイド・鈴木さんによるわが町・稲取やその成り立ちを示す地形の熱っぽい説明でツアーが開始されました。

 白田浅間神社の頂上では、天城山が山体崩壊して巨大泥流がかけ下り、残された巨岩が物語る意味や細野高原出現の壮大なスペクタクルを想像してみました。

 東伊豆町町営の風車を見上げ、その意外な大きさに驚きながら四阿(あずまや)まで来ると、パッと広がる360度の大パノラマに息をのみました。
そこには「本物のジオラマ」が展開して後方には天城連山がそして海に向かって天城山・伊雄山・大室山が流した溶岩の有様が何の説明もいらないように手に取るように広がっています。
ここで年代を追って斎藤先生から伊豆半島東海岸形成のドラマを聞いて雄大な気分に浸りました。

 ここで広げたお弁当のまたおいしいこと。爽やかな風、暖かい陽光、青い空、碧い海、水平線に浮かぶ伊豆七島(今回は霞んで全部は見えませんでしたが)、光を受けて明るく輝く天城の山々。
今、ここでみんなと楽しくお弁当を頂けることを本当に幸せだと感じました。

 午後は山を下って細野高原へ。
細野高原に湿原があることや水源地があることの意味を聞き、今はシーズンオフながら咲き乱れる野の花々を想いつつ、桃野湿原を巡り、すすきの原を散策して解散しました。

H記


2018.第5回「溶岩ドーム矢筈山の探訪

斉藤先生の説明に聞き入る参加者のみなさん  幻の池


■実施日:2018.12.08.(土) 晴れ
■参加者数:27名

 昔話に登場するようなあの独特の可愛らしい、どこか懐かしい形をしたお山、げんこつ山=矢筈山。伊東市民の多くの方々が「矢筈山」は知らなくても「げんこつ山」は知っています。
伊東に生まれ育った人々も、そして伊東に移り住んできた人々も、誰もが一度は登ってみたい親しみ深い山。それに加えて、ジオに関心を持つ人々は伊東に限らず伊豆半島内、いやもっと遠くから、この山を知りたいと遠くから朝の集合に駆けつけて来られます。

今回も下は9歳の可愛い少女から上は80歳を超えるお年寄りまでが9時前から三々五々、集合地・鹿路庭峠の駐車場に集まりました。

 このツアーは人気のツアーコースとあって、参加者はご案内するスタッフが安全を確保するのにギリギリの数を上回るご応募があり、受付期間の途中で応募に応じられなくなって多数の方に辛い思いをさせてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
これもボランティアで活動する当会の限られたスタッフがツアーの安全を第一とするモットーを守るためということなので、どうかご理解ください。

 さて、私達のボランティアグループが1年の準備期間を経て平成24年から実施してきたジオツアーも今回で延べ参加者が1000人に達しました。
そこで、1000人目の参加者となった伊東市の小玉俊雄さんに感謝をこめてを表彰致しました。
併せて、このツアーに足しげく通って頂いた方々の中でもダントツの参加回数(今回が23回目)の
南伊豆町の佐藤 正さんに心からの表彰をさせて頂きました。


今日まで当会の活動を支えて頂きました多くの参加者の皆様、誠にありがとうございました。
これからも、どうかよろしくお願いいたします。


 というわけで、スタートの前から和やかな雰囲気となった私達はメインガイドの斉藤先生を先頭に鹿路庭峠から登山を開始しました。

登山開始前の説明で、弊会長から「今日の登山は甘く見ないで」としつこく「警告」したり、斉藤先生から登山に当たっての「注意事項」が話されたりして、若干、参加者の皆さんに真剣な表情が窺えましたが、そこはそれ、募集のポスターなどにも「健脚者向き」のコースとしているのを承知で応募してきたみなさん、元気いっぱい、きれいな秋景色を眺めながらの山行となりました。

矢筈山の溶岩ドームという独特の生い立ちについて岩石の成分にまで及ぶ説明を聞き、不定期に池が出現しては土砂が堆積を繰り返す「幻の池」を経て、いよいよ矢筈山登山らしい急坂に取り付きます。

途中のビューポイントからは残念ながら雲に隠れて富士山の美しい姿は望めませんでしたが、矢筈に登らない限り絶対に目にすることのできない伊東市を見下ろし山々が富士さんへと連なる風景ときれいな紅葉に、あちこちから歓声が上がりました。

なおも落石に注意しながら、石を落とさぬよう注意しながら斜面の細い道をよじ登ると、昔はこんなところで炭を焼いたのかとびっくりする炭焼きの跡に。

ここで一部の「一休み」とスタッフを置いて、いよいよ最後の頂上までの最後の挑戦。
岩また岩を跨いで辿り着くげんこつ山の頂上からは夢の眺望が待っていました。頂上からは、あの大室山が完全に目の下で伊東市外地は勿論、伊豆半島東海岸の南方までが見渡せました。残念ながら海上は条件が悪く、伊豆七島は姿を隠していましたが、眺望の素晴らしさにまたまた歓声が沸き上がりました。

山頂近くの岩間から噴き出る湯気は温泉を思わせる暖かさを感じ、夏場は周りの温度条件が逆転するので反対に冷気を感じるようになるとの説明に、自然現象の面白さに感心した様子があちこちに。

こうして登山の苦労とご褒美とを体いっぱいに感じつつ、みんな元気に下山、予定通り15:00頃に解散しました。

H記


2018.第3回「小室山と一碧湖の探訪

一碧湖誕生の説明を聞く参加者の皆さん  一碧湖・与謝野晶子歌碑前


■実施日:2018.08.04.(土) 晴れ
■参加者数:12名

 近年の地球温暖化やそれに伴う異常気象には地球上の動植物をも巻き添えにして世界の人々を悩ませていますが、今年の日本列島は一体、どうなっているのでしょうか。

梅雨期があったのか無かったのか、早々と梅雨が明けたかと思えば猛暑に次ぐ猛暑。恵みの雨かと思えばそれは大豪雨となって多くの人命を奪い、やっと上がったと見るや又も記録的な最高気温の連続。

しばらくはギラギラ太陽の天気マークがずっと並んで「今度のツアーは辛そうだな」と思いきや、突如南の海上に現れた低気圧は風を孕んで雲を呼び、あっという間に台風となり、日本の東の海上を抜けて行くかと思えば突如西向きに方向転換。よりによって我がツアー日に合わせるように日本上陸。

何とも悔しいこの台風12号、東京・隅田川の花火大会その他各地の夏の行事をことごとく蹴散らして、しつこくもつい先日の豪雨被災地に再び雨を降らせたのでした。

ジオ研が誇る「天気ツアー」も、さすがにこれほどの無法天気にはなす術もなく次週へ延期とはなってしまいました。
辛いのは単に日程が延期になってしまうだけではなく、1週間後では別のスケジュールと重なって参加出来なくなる方々が多くいらっしゃること。いつものことですが、今回もこの「法則」がずばり的中して、予備日の8月4日に参加できたのは約半数の12名の方々となってしまいました。

 さて、台風が過ぎればまた猛暑の連続。「今日も暑そうですね。熱中症対策を怠らず、注意して歩きましょう」と9時半前に小室山の大駐車場を出発しました。

振り返ってみると、今日は思いの他に風があり、風通しの良い日陰に入ると吹き抜ける風が噴き出した汗を取り払ってくれるような心地よさも味わいました。

小室山の頂上までの道には小室山そのものの噴火を物語る重要な脇役・扇山の溶岩湧出口をはじめ、小室山形成の後に大室山が噴火したことを示してくれる地層の露頭などがあり、ゆるゆると登ると頂上です。
近くで採取された地層の剥ぎ取り標本などで歴代の噴火の歴史を学んで展望台の屋上へ。

眼下に青い海が広がる展望台からは360度の大自然の眺望が展開して1万5千年前の小室山噴火の前や後の地球の息吹が感じられ、海岸から内陸に向かうきれいな火山列も確認されます。

あの名門コース・川奈ホテルのゴルフコースが実は扇山から流れ下った溶岩によって形成され、機械によらず、全て人力で作り上げられたと思うと、大自然の力とそこに共生する人間の営みが感じられてその美しい緑の景色が愛おしくなってきます。

下山途中の恐竜広場・四阿(あずまや)で日差しを避け、気持ちの良い風を肌に感じながら、参加者の皆さんもスタッフたちも一緒に輪になって和気藹々の楽しい昼食。笑いの絶えない楽しい会話のひとときでした。

昼食が終わると駐車場に戻り、めいめいの車で一碧湖に移動。今度は風景が一変して湖畔を巡るハイキングとなります。午後には気温が一層上がっているはずですが、さすがに森の木陰を行く湖畔の散策。
さほどには暑さを感じることもなく、この静かな湖の歴史は壮絶な爆裂だったことを忘れさせます。

そして、水辺には珍しい植物が多く、花々や水生植物、大樹などの説明が多くなるのもこの一碧湖の一大特色です。
我がジオ研が誇る「植物の岡田」が熱弁をふるい、小室山も含めて「歴史の芹沢」が説明に力をこめた1日とはなりました。

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2018.第2回「城ヶ崎海岸の探訪

トンボロなど珍しい地形出現の説明を聞く一行  大島ヶ根


■実施日:2018.06.02.(土) 晴れ
■参加者数:20名

 今日もジオ研天気で空には青空がいっぱい。
海岸に出ると汗ばみますが、森の木陰の道では駆け抜ける風が心地よく、まさに海と山とを同時に楽しみながら歩く城ヶ崎海岸を代表する楽しいツアーです。
今日の参加者は9歳の少女からお元気な84歳までの20名。海岸の凸凹道や石段をお互いに和やかに話ながら歩きました。

 伊豆高原の駅からバスで海洋公園へ。コースの説明を聞き、準備体操をして早速出発。
出発した途端に見どころが展開します。夏になると小さな子供たちが大はしゃぎする天然の海水プールの側面が実は典型的な水冷破砕溶岩です。孫を連れて裸足で歩いた岩肌が痛かったが、いやいや、これが大室山から海に流れ込んだ溶岩が破砕した貴重な地形だったとは・・・と地元の人も、あらためてビックリ。
隣り合う蓮着寺。日蓮が漁師に助けられ”漂着”したと言われるこのお寺の境内に堂々と聳える樹齢千年のヤマモモの巨木や何とも不思議な石喰いモチの木を観察していよいよ海岸の茂みの中へ。
海岸に降りて話を聞き、森の中で説明を聞きして、やがて大島ヶ根に到着。

好過ぎる天気に日陰を探すのに苦労しながら楽しい昼食。思い思いに大きなゴロゴロ岩の間を探索したら午後の部がスタート。

 さて、みなさんが楽しみにしていた かんのん浜のポットホール。
完璧な丸くて大きな石の玉。どんな場所にどんな風に存在するのか、ひと目この眼で確かめるためにこのツアーに参加した人も大勢。近くにある未完成のポットホールを見て、自然現象の不思議さと、偶然性への驚きを一段と強く感じる自然芸術品の陳列場です。
そして、皆さんをガイドする私たちは「こんな歩きにくい、観察しにくい足場を何とかせねば」という思いと、「いや、こんな自然の現場なればこそ。自然をそのままに。いじってはいけない。」という思いが交錯して複雑な気分になる現場ではあります。

いがいが根はまた、溶岩皺をはじめいろいろ見るべきものがたくさん並ぶ広々溶岩原。
ひと休憩のあと、海岸線を歩いて出発地・伊豆高原駅に戻りました。

長い「山の道のり」を歩き通した満足感の溢れる顔と顔が笑顔で別れを惜しみました。

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2018.第1回「伊雄山溶岩地形の探訪

誕生真新しいゴツゴツした岩盤の浜で自然の驚異に触れながら説明を聞く一行  まつした


■実施日:2018.04.14.(土) 曇り
■参加者数:19名

 ツアー終了の夕刻から雨風が吹き荒れ、夜中には「非常に激しい雨」の「防災速報」が出るほどの嵐となりましたが、今回も我が晴れ男女集団は辛くもその直前にツアーを終了するという離れ業で難を逃れました。
何と言っても昨年、10月に企画したこのツアー、2度も雨に阻まれて中止となっただけに、満を持した参加者の方々は勿論、我々スタッフも並々ならぬ決意で臨んだ今回のツアーでした。

 さて、今回も朝早い集合ではありましたが一番電車でご参加の熱心な参加者お二人を含め、皆さん、元気に集合。スタート直後からの足場の悪い難コースに備えて念入りな準備体操で身体をほぐし、早速、伊雄山の溶岩が海に流れ落ちた荒々しい海岸の超凸凹道から「登山」を開始。観光地のきれいに整備された海岸の道とは程遠い「原生林」に分け入りました。
岩に手を添え、木につかまり、蔦に足をとられながら歩くうちに眼下にあっと驚く大きな穴ぼこ。
これぞ、南伊豆の有名な竜宮窟に勝るとも劣らない海蝕洞・崩落穴の「お釜」です。

 これからやや過ぎて、ロープや木にしがみつきながら崖を降りるとパッと眼前に広がるのが写真の「まつした」。伊雄山が火山の歴史としてまだまだ新しいだけに露出する岩肌は風化が大して進んでおらず、ゴツゴツギザギザした岩の表面は素手で触るとケガをしそうな大迫力です。
海の波が打ち上げ、あるいは流し去ることによって中小のゴロゴロ石が堆積して形状が変化する潮だまりは今日は風もなく、色とりどりの参加者の姿をその水面にきれいに映していました。
 その後も海岸線の格闘を続け、次に降り立ったのが、このHPのトップの写真となっている「もとせの浜」。二手に分かれて流れ下った伊雄山の溶岩がこの浜で再び出会うことになったという劇的な現場に自然のドラマの壮大さに目を見張り、斎藤先生の説明に聞き入ります。

 古い天城の地層の上に伊雄山の溶岩が流れかかったというちょうどその辺りにあるのが三大仇討ちの一つ「曽我物語」の話の起源となった河津三郎が遠矢で射落とされた現場とされる「血塚」。歴史的な現場も溶岩の流れと谷間との位置的関係などを頭に入れて眺めるとまた感興一入。

 昼食後は伊雄山の特色の一つ、溶岩流により形成され、はっきりと識別できる溶岩堤防を目と足で確認。溶岩が河のように流れ、それが右岸と左岸を築き上げた様がよく理解できます。

 そしてお邪魔したのが、土地にお住いの方の敷地内に鎮座する巨大な山のような「庭石」。
「断定までは至っていないが、伊雄山の溶岩流に乗って流れ落ちて来た巨大なスコリアラフトである可能性が極めて高い」と、その論拠を熱っぽく語る斎藤先生のその姿はまさに地質学者の逞しい想像力と理論の組み立てを目の当たりにする感があり、参加者も引きずり込まれて思わず俄か地質学者になって一緒に思考にふけります。

 最後に「血塚」に向かって矢を射下したとされる「しいの木三本」に立ち寄りましたが、そのすぐ足元に荒れ放題の大きな穴がありました。
これはこの山の上部に建設されようと計画中のメガソーラーが作業用に一部山林を伐採したために、雨が降ると土砂がすさまじい勢いで流れ落ち、この部分で瀧となって出来上がった言わば、滝つぼです。
昨年の夏ごろからの僅かな時間で、もう、この惨状です。
単に「しいの木三本」の現場を維持するためだけではなく、無謀な森林伐採がとんでもない自然破壊とそれに伴う土砂災害、ひいては人命への脅威・漁業への大被害をもたらすことは明白です。

私達はジオパークの立場からも、何の調査もせず、ひたすら突き進む商業主義のメガソーラー建設計画の白紙撤回を求めて、止むことなく運動を続けて参ります。

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2017.第6回「稲取火山と細野高原の探訪

雄大な細野高原(桃野湿原)を行く一行


■実施日:2018.02.11.(土) 晴れ
■参加者数:30名

 夜中に降った雨も天気予報通り、明け方にはすっかり晴れ渡りました。(これぞ、晴れ集団・ジオ研の底力)しかし、この冬は日本全体を歴史的な寒波が襲い各地に豪雪をもたらして、今日も北陸地方の方々は朝から屋根の雪下ろしや家の周りの雪かきに格闘しておられることでしょう。
ここ伊豆半島では一部の山地を除けばそんな苦労はなく、今日も隣町河津では早咲きで有名な河津桜のシーズンがオープン、多くの観光客を集めていました。北陸の皆さんには申し訳ありませんが、こうしてツアーが楽しめる幸せにつくずく感謝せずにはいられません。

 さて、今日のツアーは伊豆高原のすぐ隣の東伊豆町に設定した新企画で、偉大な天城山の歴史に重なり、しかも雄大な海とすすきの原の景色が望める新コースです。

 ふれあいの森駐車場に集合した参加者は体調不良など1名のキャンセルもない30名。
まずは近くのふれあいの森展望台へ。地元稲取に生まれ育ち、当地で母となり、しかも伊豆半島ジオパークの認定ガイドとして頑張る当会のスタッフ・鈴木がほのぼのと眼前に広がる稲取の町の地形や歴史・産業等を説明してツアーが始まりました。

 その後、稲取火山の噴火の状況を語る地層の露頭を確認して細野高原を見下ろす山頂へ。
ハイキング気分でしばらく歩いて浅間神社に到着。斉藤先生から天城山の一部が山体崩壊して細野高原の出現につながる大規模土石流の解説があり、浅間神社の巨岩が代表する土石流の跡を確認しながら東伊豆町が運営する風力発電の風車へ。

 東伊豆町役場のご協力で地の利を生かした発電所設営の経緯や稼働状況などの説明をいただきました。

 一方、この辺りから望む360度の展望は絶景で、北は遠く房総半島から大室山、伊雄山の溶岩流が海に流れ落ちた様子が一目で理解できる雄大な風景と海際に広がる城ヶ崎海岸や浮山の緑が、東には大島や利島、新島、神津島・・・・伊豆の七島を構成する島々が展開し、南は下田の爪木崎方面まで、西にかけては雄大な天城連山が広がります。
ただ、残念なことに、今回はかすかに海の方向が霞んだため、房総半島や遠い位置にある島々は望めませんでした。
もう一つ、残念だったのは2週間ほど前の関東から北陸にかけての大雪の影響を受けて大室山に積もった雪が根雪となったため、例年2月第2日曜日に行われる大室山の山焼きが翌18日に延期されました。
ツアーでは山焼きを大展望の一部として昼食を摂りながら眺める計画だったため残念無念でした。
ところで、昼前から風が出てお天気は最高、気温も上がったのに山頂を吹き抜ける風にあおられ、みなさん、お弁当時間は苦労しました。

昼食後は裏道を抜けて細野高原へ。
細野高原出現の解説を聞いて、桃野湿原では絶滅危惧種が数多く自生する植物の話。それぞれが水辺に咲く四季を想像しながらツアーを終了しました。

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2017.第5回「溶岩ドーム矢筈山の探訪



■実施日:2017.12.02.(土) 晴れ
■参加者数:16名

 朝方の黒い重たそうな雲が集合時刻頃になるときれいに晴れて穏やかな天気が皆を迎えてくれました。一度は登ってみたいという希望がかない、集まった参加者の皆さんの明るい顔・顔・顔・・・
「健脚者向き」という案内を承知で参加した皆さん。さすがに足取り軽く鹿路庭の登り口から登山開始です。

斎藤先生の説明を聴いたので近くの大室山や伊雄山とは山の成り立ちが違うことが理解できて、「矢筈山は溶岩ドームだからこんなに勾配がきついんだな」とか「溶岩ドームが崩れてこんな大きな岩がゴロゴロしてるんだな」とか「こんな所に白浜層があって,ちょっと岩や土の感じが違うんだな」などと話ながら楽しい登山です。

多量の降雨があると出現する「幻の池」が天城の別荘地開発の後,流されてきた土砂で1m近く埋まった姿を見て自然のバランスの偉大さと開発などでバランスを崩した時の恐ろしさなどを痛感しました。

観光開発が殆どなされていない山だけに,自然の荒々しさと美しさを体感するとともに、分かりにくい登山道を目の当たりにして,安易な矢筈山登山が極めて危険なこともよく理解できて、下山道ではみんなが古くからの知り合いのように笑顔で語り合い,満足感溢れる1日となりました。

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2017.第4回「伊雄山溶岩地形の探訪


■実施日:2017.10.28.(土) 雨   雨天により中止
■参加者数:名

 私達ジオ研のツアーは天気に滅法強い実績を誇ってきました。6年間のツアーで延期になったのは今回を含めてもほんの5・6回。それも、当日が雨天のためというのは2回くらいだと記憶しています。あとは、天気は好いが波が高くて船が出せない(海から見る伊豆高原と城ヶ崎海岸)とか数日前に降り積もった雪が融けない(伊雄山溶岩地形の探訪)とか。

そんな「天気男・女」のジオ研も予定の10月21日が雨となり今年だけで3度目の延期。やはり異常気象?
必至で迎えた予備日の10月28日。1週間ほど前の天気予報ではどこにもなかった雨のマークが28日を前に急に現れ,そのまま変わらず。

コースの安全性を考えて前日夕刻についにギブアップ。参加予定の方々に「参加者の安全が第一」という当会の最優先の基本方針をご説明し、ご理解を得た上で慙愧の思いで中止といたしました。

ついに当会としては考えられない新記録・今年4度目の延期=中止とは相成りました。
悔しいことこの上ありませんが、やはり当会は「参加者の安全」が最高位のモットーです。

参加予定のみなさん、ご免なさい。

次回、青い大空の下に矢筈山に登りたいと心からそう思います。

2017.第3回「海から見る伊豆高原と城ヶ崎海岸

門脇の吊り橋の下まで接近、アマツバメで知られるつばくろ島を観察する。


■実施日:2017.09.10.(日) 晴れ
■参加者数:26名

 7月29日に予定した本ツアーはのろのろ台風5号の南海上からのウネリに阻まれ、予備日の8月5日も再び台風5号の襲来に邪魔をされて,ついに中止となりました。
しかし、当初、参加を希望しておられた多くの方々から再挑戦の強い要望が寄せられ、ジオ研は奮い立って体制を整え再々挑戦をすることになりました。

お陰様で,今度は正反対の波静かな好天に恵まれ,雪辱を晴らすことが出来ました。
もともとジオ研は「晴れ男・晴れ女集団」なのですが,天気は良くとも,海のイベントは波を鎮める必要があり、ここまで手が回らなかったことを深く反省しています。

さて、今日はいとう漁協富戸支部さんの手厚い応援を頂き、諸施設を利用させて頂きました。
富戸港に集合した後、事務所の会議室で座学を行いました。出港の前にクルージングの予備知識を得て頂くためです。
講師の斉藤先生がスクリーンに映し出される風景や海岸の地形を見ながらコースをたどり,期待で胸膨らんだところで,すぐ足元の船着き場から出港です。

穏やかな海上を滑るように船は進み、日本でも有数の定置網の仕掛けを見ながら海岸に沿って北上、払火山を経て郷戸の浜の北端でターン、今度は一転して大きく沖へ出ました。沖からは伊豆半島の東海岸が一望できて、小室山方面から南の天城連山までが手に取るように見渡せます。天城の連山から遠笠山,矢筈山、伊雄山そして大室山。その山々から海まで流れ下った溶岩の様子が一目で理解できます。

やがて、コースの南端、赤沢港の辺りで再び北に向かって方向転換。ここで船は海岸線に最接近。次々に出現する伊豆半島東岸のまだ歴史の新しい火山性の荒々しい風景が連続。説明をするガイドも大忙しです。

かくして、船は城ヶ崎海岸の吊り橋・つばくろ島を経てぼら漁の遺跡・魚見小屋の前を通って富戸港に帰着。2時間の船旅も、あっと言う間に終了しました。
メモを手に、カメラを手に,十分に堪能した風景を脳裏に収めながらみんな笑顔で岸壁に上がりました。

今回も、遠く静岡方面や伊豆半島の北・西・南・中など各所からご参加頂き、ありがとうございました。

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2017.第3回「海から見る伊豆高原と城ヶ崎海岸

■実施日:2017.08.06.(土) 台風   中止
■参加者数:名



海から見る伊豆高原と城ヶ崎海岸」は台風の影響を受けて中止となりました。

しかし、「只今募集中 」でご案内のとおり、再募集・再実施いたします。



2017.第2回「大室山とその周辺の探訪



■実施日:2017.06.03.(土) 晴れ
■参加者数:8名

 1週間ほど前には「一時雨」のマークがついていたこの日の天気予報は見事に外れ。
梅雨期を前にして絶好のハイキング日和となりました。
これぞ晴れ男と晴れ女がひしめくジオ研の面目躍如,こういう天気を称して「ジオ天」という,とジオ研の会長も上機嫌です。

 いつものように参加者の皆さんは早めに集合されたので,スムーズに座学を開始。
今回はジオパークの基礎と大室山の成り立ちを知る「伊豆高原の成り立ち(単成火山群を学ぶ)」。
大室山の誕生時期を決定づける決め手となった炭化木の発見者でもあるジオ研のメインガイド・斎藤先生が炭化木発見当時の苦労話などを織り込んで丁寧に解説され、参加された方々も熱心に傾聴しておられました。

 さて、頭で学んだ後は斎藤先生の誘導質問などですっかり火山学者になったつもりで実地検証。
地層の上下関係や厚みなどから,その地層のできた時期や年数などを推理し、含まれる砂つぶや小石,粘土質の火山灰などの大きさや色の違いに疑問を感じて先生に鋭い質問をする「研究者」も。

 スタッフの厳しい交通安全管理の下で道端に露呈している神津島から飛んできた火山灰層を観察したり、大室山山頂では360度に広がる伊東市の,伊豆半島のジオサイトを心地よい風に吹かれながら遠望したり、火口に降りてはそこに存在したであろう灼熱の溶岩湖を想像したり・・・・。

 さくらの里では噴火や溶岩の流出に伴ってできたと考えられるスコリアと溶岩の"オムライス”=スコリアラフトや大蛇が棲む穴の伝説を生んだ穴の原=溶岩洞穴を巡って,最後は隣接する別荘地内にくっきりと露呈している大室山噴火の歴史を語る火山灰露頭を観察して、大室山がどんな過程をたどって噴火し、伊豆高原近隣の地形をどのように変化させ今の地形に造形していったのかと、遠い昔に夢を巡らせながら1日の学習ハイキングを終了しました。

 それにしても、残念極まりないのは、大室山からの絶景を致命的に損ない、自然災害や海資源に多大なる損害を与えることが明白な広大なソーラー発電所の建設が計画されていることです。
私達はまさに地元のジオパークを愛する者としてこのとんでもない計画の中止を強く求めています。

(写真は近隣別荘地・オークランドに貴重な大室山噴火遺産として手を加えず残されている火山灰露頭で,顕微鏡片手に火山灰観察をする「火山学者」たち)

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2017.第1回「(北部)城ヶ崎海岸を探る



■実施日:2017.02.01.(土) 晴れ
■参加者数:17名

 不順な天気が続きましたが,ツアー当日はまたしても暖かい行楽日和となりました。
今回は三島からジオパーク研究の同好会の一部10名の方々も加わって賑やかなツアーとなりました。

富戸駅を出発して、のっけから釣りのマニアしか知らない崖をロープを頼りに下って溶岩だらけの海岸に。これだけで、もうすっかり、ジオを探索しているんだという実感に包まれます。
海面から5mの高い位置にあるポットホールが物語る地形の歴史がジオマン・ジオガールたちの想像力を掻き立てます。この辺りが大室山の溶岩が海に流れ落ちた最北端・畑尻(ハタジリ)。

今度は崖をよじ登って海岸沿いに南下。頼朝にまつわると言われる産衣石やボラ漁の遺跡、海岸に放置されたままの築城石などを見ながら歩きます。地形を巧みに利用したイルカ漁で有名な富戸港を経てボラ漁のシンボル・魚見小屋・ボラ納屋を見学して「まえかど」へ。
広々とした海岸線を見渡しながら和やかにお弁当。

江戸期から昭和の時代まで続いたボラ漁の解説やあたりの地質・地形の説明を聞いて、再び海岸線を南下しました。「ふたまた」「もずがね」を経て、また「かどかけ」に降りて海蝕洞・ポットホールを見学、アマツバメで有名なつばくろ島に対峙。今年は飛来がおくれていましたが、それでも数羽が空を舞う姿を見つけて歓声が上がりました。

観光地として有名になった門脇の吊り橋を渡って,最後は城ヶ崎海岸駅までの長い登坂。
しかし、実はこれが今日一日頑張った我々へのご褒美。

駅まで続く長い桜のトンネル。開花が遅れたソメイヨシノがぎりぎりまで散り落ちずに頑張ってくれて、時折吹く風に花吹雪を散らします。一方ではソメイヨシノの後に咲くはずの八重桜が今や遅しと蕾からはじけています。ソメイヨシノと八重桜の競演。これらに混じって珍しい御衣黄(ギョイコウ)桜が高貴な緑色の花を咲かせています。あちこちでパチパチ・ガシャガシャとシャッターを切る音が駅まで続きました。

春の陽気に恵まれて楽しく賑やかなハイキング気分の一日でした。

(写真は畑尻の海岸で斉藤先生の解説に耳を傾ける参加者のみなさん=海面上5mのポットホール)

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2016.第6回「伊雄山溶岩地形の探訪



■実施日:2017.03.19.(土) 晴れ
■参加者数:14名

 肌寒い日が続いていましたが、そこは天気に強い我がジオ研。見事に晴れ渡った空からは暖かい日差しが降り注ぎ,歩いていると汗ばむほどの好天気に恵まれて,ジオの勉強をしながら楽しい春先のハイキングということになりました。森の中を歩くとうぐいす他可愛い小鳥たちの鳴き声が、まだ新しい溶岩の海岸に降り立つと爽やかな波の音が聞こえます。樹々にはしっかり膨らんだ若々しい新芽がそして花が春の訪れを謳歌しているようです。
朝の出発後はすぐに岩場を乗り越えて海岸線の森の中を抜けますが、苦労はすぐに報われました。
海中の手石海丘を除けば伊東市内で最も若い火山・伊雄山(459m・2700年前の噴火)の溶岩が海に流れ込んだ現場は荒々しく,伊東市にもこんな所があったのかと多くの参加者から感激の声が上がりました。
この後、伊雄山から二手に分かれて流れ出した溶岩が形成した溶岩堤防によじ登ったり,岩石をルーペで観察したり、和気藹々の楽しい一日を過ごしました。

これを以て2016年度の6回のツアーを全て事故もなく無事に終了いたしました。
ご参加いただいた大勢の参加者のみなさま、お疲れ様でした。
また、来年度も新しい企画を用意してスタッフ一同お待ち申し上げております。

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2016.第5回「(南部)城ヶ崎海岸を探る



■実施日:2017.01.22.(日) 晴れ
■参加者数:6名

 海岸を歩くにはちょっと涼しすぎると思われたか,例年よりやや少なめの応募者数でしたが、流行中の風邪にやられた方が続発、キャンセルにキャンセルが折り重なり、歩き出した時には参加者は僅か6名となっていました。これは当会の超最低記録です。
年末年始の煩雑期にPRが紛れることを危惧して当初の「年間スケジュール」を1週間ずらしたことも、結果的に,予めスケジュールに沿って予定をしていた方々にご迷惑をおかけしたようで,誠に申し訳なく事務局として深く反省しております。
また、風邪のため無念のキャンセルとなった多くの方々には次回,是非元気なお姿で参加して頂きたく、お見舞いを申し上げます。

 さて、参加者が僅か6名となった今回は、逆にその利を活かして,よりアットホームに,斉藤先生も一段と丁寧に細かく説明をされ、先生と参加者が会話の濃度も濃く楽しいツアーとなりました。

 今回は例年の見学ポイントに加え、<せいじゃあな>の崖道を降りて巨大な溶岩洞窟に目を見張り、<おたついそ>を海岸まで降りて大きな柱状節理などに手を触れて自然現象の壮大さを実感しました。。また新装なった<対島の滝展望台>からは水量豊かに轟音とともに海に流れ落ちる滝を鑑賞し,降りかかる滝と潮のしぶきを浴びながら対島川の生い立ちから、上流・下流の住民の生活との絡みや歴史などを細かく勉強しました。

 ちょっと風が強く吹きましたが、その分、海岸に打ち寄せる大きな波と白い泡,沖の島々と海面いっぱいの白波がこのコース特有の綺麗な柱状節理や松の緑に映えて,参加者の中からはカメラのシャッター音が絶えない一日でした。

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2016.第4回「溶岩ドーム矢筈山の探訪



■実施日:2016.11.20.(日) 晴れ
■参加者数:21名

 前日に 相当量の雨量の雨が降り、仮に天気が回復しても登山の足場は大丈夫かと懸念されました。
しかし、一夜明けると一面の青空です。安全登山を期して朝まで様子を見ていましたが、比較的に水はけのよい矢筈山の特性を考慮して,ツアーの実施を決定しました。

今日は地元の若い4人家族も,日頃目にしているゲンコツ山に登るんだと張り切って参加しました。
凛心(りこ)ちゃん(8),蓮之丞(れんのすけ)くん(12)は軽々と急坂を登って行きました。
他の参加者のみなさんも負けじと頑張りました。

途中で矢筈山誕生について、また構成岩石の特徴などについても学びました。
大量の降水のあった時に出現する通称「まぼろしの池」では水深が大人の身長程にも達することを聞いて参加者のみなさんはびっくりしながらあらためて周りを見渡していました。(写真:まぼろしの池で説明をする斉藤俊仁先生=左はし と参加者たち)

山頂から少し下のところに「ビューポイント」と呼ばれる富士山がよく見える地点がありますが、今日,ここに通りかかった時はきれいに晴れ渡り、くっきりと雪をいただいた富士山を見ることができ、歓声とともにカメラのシャッター音がしばし鳴りやみませんでした。

運悪く、頂上に立った時に霧が発生し,最高点からの眺望を楽しむことはできませんでしたが、みなさん、伊東市で一番高い急峻な岩山に登ったという満足感にひたっておられました。

今日も一人のケガもなく,紅葉の秋の登山を楽しんで頂きました。

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2016.第3回「城ヶ崎海岸の探訪



■実施日:2016.09.25.(日) 晴れ
■参加者数:13名

 予定の9月18日が雨で延期。
そのため残念ながらほぼ半数の方々が予備日の本日には参加不能に。
それでも13名の参加者が元気に城ヶ崎海岸を探索しました。
最も遠くの参加は静岡県清水区からお迎えし,メインガイドの斉藤先生も一段と案内に力がこもりました。
「伊東市の天然記念物・ポットホールを是非見たい」という方も多く、和気藹々のうちに楽しいジオの勉強会を終了しました。

ジオの知識とともに、斉藤先生からルーペを使った観察の仕方やゴロゴロした石の上の歩き方、傾斜面の上り方下り方なども学びました。

写真:小グループに分かれて安全確保
   こわごわ見下ろしながら説明を受ける伊東市の天然記念物
   ・奇跡のポットホール

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2016.第2回「海から見る伊豆高原と城ヶ崎海岸



■実施日:2016.07.18.(祝) 晴れ
■参加者数:33名

 まさに「海の日」。何よりも気になる海上の状況。やや,霞がかかったような天気ですが、全くの無風状態。台風の影響などによるうねりも、もちろん波もなく、まるで鏡の面を行くようなクルージング(富戸港発着)でした。
 船酔いゼロは記録かも。漁船の利をいかして極力海岸線に接近して観る溶岩洞窟や海蝕洞。
海上から見る伊豆高原は大室山や伊雄山などが流した溶岩が現在の海岸まで流れ下った様子を想像させ、参加者からは感動の歓声が上がりました。

午前中の座学では次の三つの講義で勉強しました。

1.「地魚とジオ」:伊豆・いとう地魚大国 メンバー、静岡県定置網協会会長 日吉 直人氏

2.「Great Ocean(素晴らしい海)」:ダイブハウス富戸 代表・伊豆半島認定ジオガイド 西谷 雅治氏

3.クルーズの事前解説:大室山火山研究者・伊豆城ケ崎ネイチャースクール代表・伊豆半島認定ジオガイド 斉藤俊仁氏

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2016.第1回「大室山とその周辺の探訪



■実施日:2016.05.15.(日) 薄曇り
■参加者数:23名

 快晴で大室山からの眺望100%という具合にはいきませんでしたが,富士山の遠望を除けば,眺めたい近郊のジオサイトは十分に確認できました。
さくらの里で開催の自由マーケットと重なり、静かな昼食というわけにはいきませんでしたが、三々五々、野外の美味しいお弁当を楽しみました。

午後はすぐ近くの桜美林学園伊豆高原クラブに会場を移して二つの講義を聞きました。

1.「植物たちの生き残り作戦(植物の知恵比べ)」
    :環境省 環境カウンセラー  山口 康弘氏

2.「伊豆半島ジオパーク」
    :大室山火山研究者・伊豆城ケ崎ネイチャースクール代
     表・伊豆半島認定ジオガイド 斉藤俊仁氏
H記