食品の保存技術

 

 太古の昔、人類は荒野を駆け回り、季節の木の実や草を採り、魚や小動物等、狩りをして自給自足の生計を立て、食糧を追って移動して生活していたと考えられる。しかし、天候不順で長雨が続いたり、日照りの年があったり、豊漁・豊作だったりして、食品を長期間保存する必要に迫られた。当時は、狩りをして食べきれない肉や魚を天日に干して乾燥させただけのようである。今からおよそ13,000年前の石器時代に、人類は火を使うことを覚え、生食から加熱・調理を行うようになり、更に炎から出る煙によって乾燥(燻乾)することで、食材の長期保存が可能になった。これが保存技術の始まりと考えられる。

 

○食品加工と保存性

食品加工とは、単に食品を加工することだけではなく、原料の受け入れ、衛生管理、工程管理、殺菌・保存、冷凍技術、包装技術まで非常に幅広い技術の集合である。

食品は、食べた人の役に立つものでなければなりません。そのためには、食品の安全性(Safety、微生物を含めた有害物質を含まないこと)と保存性(Soundness、悪変しないこと)を確保することが必須条件となる。

食品加工工場における食品の保存性向上を考える上に於いて、先ず食品が保存できない原因を突き止め、如何にしてその原因を取り除く或いは回避・または発生を遅延させるかが重要である。

 

食品変敗の主な要因

           劣 化 現 象                                        主な要因

腐敗

(褐変、緑変、退色…)

白濁(重合…)

におい(油くさい、生臭い)

(苦い、酸っぱい…)

テクスチャー(ぼそぼそ、ネバネバ)

栄養素破壊(V.C…)

その他

          

 

 

 

 

 

 

生物学的要因

・微生物的要因

・酵素的要因

・生理的要因

化学的要因

物理的要因

 


T.生物学的な要因

・微生物的要因

  産業への利用:酒、みそ、醤油、パン、クサヤ、漬け物、納豆、ヨーグルト、チーズ、臭豆腐、鰹節など

  品質の劣化: 一般生菌、病原性細菌等に起因する腐敗、変敗、発酵・膨張、カビの発生など

・酵素的要因

産業への利用:糖類の製造、調味料製造、白濁防止、椎茸香りなど

品質の劣化: カスタードクリームの苦み発生、ゼリーの軟化、マイタケ入り茶碗蒸しの未凝固

・生理学的要因

  産業への応用:バナナ、キウイなどの追熟(EOガスなど)

 

U.化学反応に要因

 一般に、重合・酸化・分解反応に起因する

・ポリフェノールの変色

   鉄イオンによるタンニンの変色

   ポリフェノールによる濁り

   クロロフィルの変色

・糖とアミノ酸(アミノカルボニル反応)

・油脂の酸化

・その他

 

V.物理的な要因

糊化、老化、固化、軟化、粘度低下、乾燥、吸湿、破壊など食品の持っている物性(レオロジー)喪失による変質や香りの飛散による変質

デンプンの糊化と老化

               ミセル構造の変化

食品中の水分移動、香り成分の飛散

            →包装技術による保存性向上

生物学的要因

ゲル化剤・増粘剤の種類と特徴 糖類・甘味料の種類と特徴
酸味料の種類と特徴 (工事中)
熱力学的特性
(呼吸熱、凍結温度、比熱、熱伝導率)
(工事中)

食品素材とその特徴

物理学的要因

食品の科学