緑の地球ネットワーク
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雲岡石窟 第20窟
“Green Earth Network緑の地球ネットワーク(中国名:緑色地球網絡)” は1992年から中国山西省大同市の黄土高原で緑化協力活動を続ける日本のNGOである。 事務局長は高見邦雄氏(1948生れ)で,当初からこの活動の牽引車として活躍している。 中国側のカウンターパートは大同市総工会(労働組合連合会)に所属している“緑色地球網絡大同事務所”である。
大同市は北京の西方約330kmにある。 山西省の北端にあり,万里長城が北の境界線をなしている。 現在山西省の省都太原に次ぐ省内二番目の都市である。 大同は北京・天津の水源であり,風砂の吹出し口でもあることから,中国政府も集中的に投資して緑化を進めている。 しかしその大同の平均年間降雨量はわずか400mmで,その70%は夏に集中し,播種期の4月には少ない。 旱魃の年には250mmにも満たない。 日本の年間平均降雨量1,700〜1,800mmと比較すると四分の一足らずである。
歴史地図を見ると,大同は秦時代に既に“平城”という地名で現れる。 以後漢・三国時代・晋・南北朝まで “平城” と呼ばれる。 隋・唐時代になってからは雲内・雲州と呼ばれた。 大同という名称に変わるのは遼・北宋時代以降のことである。 当地が最も繁栄したのは南北朝時代の北魏(386年〜534年)の首府であった時代である。 遼・金時代には副都になっている。 古来この北辺の地域は緑豊かな地方であったし,明代までは森林がまだ多く残っていたという。 まさに森は文明を産み,文明は森を滅ぼすといえる<文明之前有森林,文明之後剰沙漠>。 但し “平城” の位置は現在の大同市市街地よりも北東寄りである。 西の郊外には中国三大石窟(雲岡・龍門・敦煌)の一つ雲岡石窟がある。 雲岡・龍門とも北魏朝の創設になるものであり,龍門は唐時代に最盛期を迎える。 奈良の大仏はこの龍門の石仏を模して鋳造された。 日本の奈良の都「平城京」も北魏の首府の名前に倣ったもの。 北魏の第6代皇帝高祖孝文帝(元宏、在位471年〜499年)は漢化政策を進め自分の姓も「拓跋」から「元」に変え,493年には慌ただしく都を南の洛陽に移した。 そして,その地の龍門の伊河の河岸に再び石窟寺院を造り始めるのである。
“GEN緑の地球ネットワーク”の現地に溶け込んだ活動は中国でも高く評価されており,2001年に中国政府から「友誼奨(賞)」,2002年には中華全国青年聯合会などから「母なる河を守る国際合作奨(協力賞)」,大同市政府の「環境緑化奨」,豊かな環境づくり大阪府民会議の「おおさか環境賞・大賞」,2003年には朝日新聞社から「明日への環境賞」を受賞している。
高見氏とその同志の人脈から得られた日本の植物学・園芸学・緑化の専門技術者や大学の環境専門学者らの協力体制と,現地でのよきパートナーと優れた人材のスカウト・養成などによって,活動は苦難の道を経て軌道に乗ったと言えるが,生命線でもある日本での資金集めには苦労が絶えないと聞く。 高見氏は大同に年間約100日滞在するが,残りは日本国内で講演会などを通してのPRと資金集めに東奔西走する毎日という。 環境破壊と貧困の悪循環というのは高見さんの持論である。 この活動の特徴は単なる植樹に止まらず,貧困の解決・環境改善にも踏み込んでいる点である。
ワーキングツアーの歴史は10年以上になる。 春休み・夏休みの年2回の一般向けツアーのほか,大中小企業の労組や青年会議所などのツアーを加えると年間20余の団体ツアーが労力提供と会費の形での資金提供をしていることになる。 今回私が参加したのは春の一般向けツアーである。
この活動の経過を知るには,高見邦雄著『ぼくらの村にアンズが実った_中国・植林プロジェクトの10年』日本経済新聞社2003年5月刊行 が最適である。
※今回の日程の中には「万人坑」の参観が含まれていない。 改修中との理由と聞いたが,別の理由があるようだ。 今までは日程に入っていても,実際のところは,現地の館長は日本人に対してどこまで説明したらよいか困惑するので,“勝手に見てくれ”といわれ,高見さんが案内役となってツアー一行を案内していたと聞いた。 高見さん自身も「正直見たくないが,その理由の一つは日本での研究が殆どなされていない点です」 ともおっしゃっている。
月 日 曜日 行 事 宿泊先 3月25日 土 CA928便 関空14:00発_北京16:20着
CA926便 成田14:55発_北京18:00着 空港で合流
空港からバスで北京市内へ。 北京市内で夕食
北京西站 23:29発 夜行列車で 06:45大同火車站着夜行列車泊 3月26日 日 07:30 雲岡国際酒店で朝食
08:30 渾源縣呉城村へ向かう(途中 桑干河と三嶺村を見る)
呉城仁用杏基地を参観
呉城村小学校参観及び記念植樹
12:00〜14:00 呉城村農家で昼食,交流
懸空寺を参観
霊丘縣縣城へ向かう
16:30 平型関賓館にて夕食平型関賓館 3月27日 月 07:30 平型関賓館で朝食
08:30 霊丘縣上寨鎮南庄の霊丘自然植物園へ向かう
09:15〜16:30 自然植物園にて植樹作業と参観
自然植物園にて昼食(携帯食)
16:30 霊丘縣紅石楞[本字は木偏でなく土偏}郷上北泉村へ
上北泉村農家に分宿,夕食上北泉村農家 3月28日 火 07:30 農家で朝食
08:30〜11:30 上北泉村にて活動
@“希望果園”を参観
A 植樹作業(新疆楊樹<新疆ポプラ>)
12:00〜13:30 宿泊先農家で昼食
13:30〜14:30 上北泉村小学校にて交流
14:30〜18:00 大同市区へ
18:30 雲岡国際酒店にて晩餐雲岡国際酒店 3月29日 水 07:30 雲岡国際酒店で朝食
08:30〜09:00 大同縣周士庄鎮の白登育苗基地(白登苗圃)へ
09:00〜12:00 白登苗圃見学と植樹作業
12:00〜13:30 白登苗圃で昼食
13:30〜17:00 大同縣聚樂郷
@“地球環境林”を参観
A“カササギの森<喜鵲林>”を参観 植樹作業
17:00 大同市区へ
18:30 “孫子家 [彡+刷]羊肉”にて晩餐雲岡国際酒店 3月30日 木 07:30 雲岡国際酒店で朝食
08:30〜12:00 雲岡石窟を見学
12:00〜13:30 南郊区平旺郷平旺村の環境林センターにて昼食
13:30〜17:00 環境林センター
@ 地球環境林センターを参観
A 生産活動(枝垂れ楡の苗掘起こし)
B 緑化協力事業のビデオ鑑賞
17:00 大同市区へ
18:30 市総工会の歓送夕食会
夜行列車で北京西站へ夜行列車泊 3月31日 金 06:30 北京西站着
08:00〜09:30 富豪賓館にて朝食・休憩
09:30〜18:00頃 観光(万里長城又は自由行動)
“郭林家常菜”にて夕食
富豪賓館
(王府井大街)4月01日 土 帰国
CA927便 北京09:20発_関空12:55着―実際は出発40分遅れ
CA925便 北京09:40発_成田13:55着
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