質問あれこれ

患者さんからの質問を私なりに、説明できればと思っています。少しづつ、記事を増やしていきたいと思います。

てんかんを疑う症状とはどのようなものですか

 けいれん(体の一部あるいは全身のけいれんが、ガクガクしたり、ぴくぴくしたり)や意識がぼんやりする症状をを繰り返すときにはてんかんを疑います。てんかんの発作にはたくさんの種類があります。動作が止まるだけの発作、表情が変化するだけの発作もあります。

てんかんの診断はどのようにしますか

 てんかんであることを確認すためには、①患者さんあるいは患者さんの家族から繰り返しおきている発作の内容をお聞きします。②脳の病気であることを確認するために脳波検査を行います。症状と脳波を検討の上で、てんかんかあるいはほかの病気なのかを検討します。

 同様の発作性の症状を繰り返し、脳波検査にてんかん性の発射(てんかんの患者さんに見られる突発的な波)があればてんかんと診断します。

てんかんの治療について教えてください

 てんかんの治療の原則は薬物治療です。発作のかたちにあった薬を選択します。具体的には、発作症状と脳波異常のパターンをもとに、患者様の発作全般発作と部分発作に分類します。以前には、全般発作にはバルプロ酸を中心とした薬を、部分発作にはカルバマゼピン中心とした薬を使ってきました。最近は、新規の抗てんかん薬をいちばん初めに使うこともあります。

外科手術について教えてください

 一部の症例では外科手術が可能です。田中神経クリニックに通院する患者さんの中にも、手術を受けられた患者さんがいます。手術後の発作がとまって生活や仕事に支障がない方もいます。術後の経過が良好な患者さんは、側頭葉の内側にてんかんの焦点があった患者さんや、脳内の小さい病変が見つかってその部位の手術を行った患者さんです。田中神経クリニックでは、外科の手術はしていませんが、てんかん手術に関する相談、たとえば、専門の施設に行って手術をうけるための検査をした方がよいのか等の相談に応じます。

てんかんとの区別が必要な症状や病気 

 熱性けいれん、心因発作、チック、常同行動、睡眠時ミオクローヌス、脳性まひの筋緊張、パニック障害などが、てんかんとの鑑別が必要になります。小児科、小児神経科、神経内科、精神科の先生が、上記の病気や症状を診療をされています。

てんかんがある人は夜勤は無理ですか

 当院に通院し夜勤をしている方がいます。夜勤のある福祉施設で働いたり、医療機関で働いている人もいます。

 睡眠不足のときに発作がおこりやすい人もいます、個人差があります。睡眠時間についても、個人差があります。

入浴は危険だと聞きましたが

 当院に通院している患者さんで、入浴中に発作をおこしておぼれた人がいます。一人で浴槽につかることは危険をともなうので、一人のときは湯舟につからないように説明してます。

修学旅行や宿泊学習に行けますか

 学校の先生や家族に、修学旅行や宿泊学習は、原則可能であると説明しています。必要に応じて、緊急時の対応を家族や学校の先生に説明しています。また、発作が多い人に対しては、旅先で発作が起きたときに必要となる医療機関への紹介状を書くようにしています。

 海外旅行についても原則可能です。

食べものや飲み物で注意することは

 カルバマゼピンを服用している人が、グレープフルーツを食べると血中濃度が上昇することが知られています。セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品と一緒に飲むとこの薬の作用が弱くなります。

薬の相互作用について

 当院で、カルバマゼピンを服用している人が、一部の抗生物質を服用したあとに、血中濃度上昇に伴って,めまいとふらつきが出現した経験があります。てんかん以外の薬を服用するときには、処方してくれる先生や薬剤師に、飲み合わせによる副作用について聞いてください。

 自分で調べるときには、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のホームページなどを参考に指定ください。

妊娠のするときに注意することは

 抗てんかん薬の種類を可能な限り減らしましょう。抗てんかん薬は単剤(1種類)が理想です。また、単剤であっても、服用量は可能な限り減らしましょう。抗てんかん薬をどこまで、減量できるかは、患者さんのてんかんによって違いがあります。減量には、主治医と十分に相談の上で行ってください。

 バルプロ酸を多く服用している女性から生まれてくる子に、健康障害が多いとの報告があります。バルプロ酸は一日に600mg以下を目安としてください。

 また妊娠3か月前から葉酸を服用するよう説明しています。

医師に発作を報告する方法を教えてください

 ①どのようなときに発作になったか(仕事中、歩行中、眠っているときなど具体的に)②観察者はどのようにして患者さんの発作に気づいたか(声がしたから、姿勢が崩れたからなど具体的に)③発作のときの患者さんの様子(体がガクガク・ピクピクしていたとか、呼びかけたときに返事がなかったとか、顔色が悪かったとか)④発作のあとの様子(すぐに元の動作に戻ったとか、発作のあとに1時間ほど眠ったとか。)などを、私たち専門医に伝えてくれると助かります。

ストレスがあると発作になりますか

 「学校の先生が代わったあとに発作が増えた。」「職場の上司が代わると聞いてから発作が増えた。」「就労支援施設の担当職員が代わったら発作が増えた」などの話を時々聞きます。これらの患者さんの話をもとに、ストレスが発作につながる可能性はあると、田中は考えています。。

 てんかんの患者さんも、ストレスを受けやすい人もいれば、ストレスに強い人もいます。何がストレスになるかは患者さんによって多様だと考えられます。ストレスに対する対処方法も、それぞれの患者さんによって異なります。

車の運転をできますか

 運転に支障を及ぼす発作が2年間なければ、運転免許の取得が可能になります。

田中神経クリニックの患者さんはどのような仕事をしていますか

 さまざまな仕事をされています。教諭や施設職員の方もいれば、企業で働く方もいます。医師や弁護士などの専門性の高い仕事をされている方もいます。

 てんかんの発作がとまらないために就労が困難な方や、知的障害などの合併障害があるために就労が困難な場合には、障害者枠での就労や、就労支援施設について、説明をしています。

年金の診断書を書いてもらえますか

 当院に通院している方については、必要があれば障害年金の診断書を書きます。当院に通院していない患者さんの年金診断書は書けません。

初診を受けるまでに3年かかるのは何故ですか

 神奈川県立こども医療センターや、神奈川県内にある大学病院や、静岡てんかん神経医療センターなどで治療を受けたにもかかわらず、発作がとまらない患者さんが当院を受診しています。積極的で合理的な治療にも関わらす発作がとまらない方は当院に継続して通院することになります。当院を卒業する患者さんの数が限られているために、新しく受診する患者さんをたくさん受けられません。そのために、予約を入れて頂いてから初診までに、3年近くかかります。