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富士宮市の脳神経外科、外科、内科クリニック。加藤脳神経外科です。

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健康コラムHealth Column

健康コラム第7回 頭痛の症状別チェックシート

頭痛をお持ちの方がそれぞれの症状別に自分の頭痛の原因を簡易セルフチェック出来るシートを公開します。ただし頭痛の原因は多岐に渡りますので自己判断はせずに症状が辛い場合には専門医への受診をお勧めします。各疾患の簡単な説明をコラムの後ろに載せておきます。

1)解離性動脈瘤

突然、片側の首筋から後頭部にかけての痛みが生じ、加えてめまいを感じる。40代〜50代の男性に多く、首を回したりすると起きやすい動脈の3層構造の内側の膜が剥がれて、隙間に血液が入り込んで血管に瘤が出来る。脳梗塞、クモ膜下出血の原因となる。

2)小脳出血

クモ膜下出血とよく似た、頭をバットで殴られたような激しい頭痛が生じる。加えてめまいを伴うのが特徴、生命活動を支配している場所での出血なので、早急に病院で正しい処置を受ける必要がある。

3)クモ膜下出血

突然、頭をバットで殴られたような激しい頭痛が生じる。同時に強い吐気を催して、実際に嘔吐することも多い。脳の動脈に出来た動脈瘤が破裂して、くも膜下腔とよばれる空間に出血することで発症する。

症状が重い場合には意識消失をおこすことも稀ではない。しかし症状が軽いと風邪や高血圧による頭痛と誤診されやすい。症状が軽くても動脈瘤が再度破裂する確率は24時間以内で20%と高く、放置すれば75%が最終的に死亡に至る。出血したばかりならば、CTスキャンを行うことでクモ膜下出血とほぼ確定出来るので、上記の症状のある方は直ぐに専門医を受診することをお勧めします。

4)慢性硬膜下血腫

以前に頭をぶつけて、その後数週間〜数ヶ月かけて徐々に頭が痛くなってきた。またお年寄りで転んでから痴呆の症状が進んだように感じる。このような場合慢性硬膜下血腫が疑われます。脳を保護している三層の膜の一番外側にある硬膜の下に血が溜まることで脳が圧迫されて頭痛の症状が出現します。この病気の特徴は発症までに時間がかかるということです。特にアルコール好きの方やお年寄りは、自分が転んで頭を打ったことを自覚していないことがあるので注意が必要です。痴呆だと思っていたお年寄りも原因がこの病気であれば血腫を取り除くことで劇的に痴呆が改善することがあります。この病気もCTスキャンを撮影すればほぼ確定出来ます。

5)脳腫瘍等の占拠性病変

数週間〜数ヶ月の期間をかけて、徐々に頭が痛くなってきた。朝起きた時が一番頭痛がひどくて吐くと少し楽になった。このような症状の頭痛の場合、脳腫瘍などの脳を圧迫する病変が考えられます。脳の隙間の部分には髄液という液体が充満しており、腫瘍が大きくなると脳を圧迫して髄液の圧力が高くなります。すると脳が圧迫されて痛みを感じるようになります。朝一番は脳の圧力が一番高いので、特に痛みが強くなります。脳圧亢進による痛みは、吐くと脳圧が下がるので楽になるのが特徴です。このような症状が見られる場合には専門医でMRIや造影CTを受けることをお勧めします。

6)後頭神経痛

発作的、間欠的に頭皮にピリピリと電気刺激のような痛みが走る。頭皮の感覚神経は頚髄(首の神経)から分岐しているので、神経が通る孔である首の骨の神経孔が変形すると、神経が圧迫されることで痛みが生じる。頚椎のレントゲンを撮れば椎間孔の圧迫が診断出来ます。

7)偏頭痛

発作的に、数時間続く頭痛が起きる。痛みの特徴は血管の収縮に合わせて「ズキンズキン」と痛む。発作は4〜72時間程度続き、発作後数日から数週間後にまた偏頭痛発作を起こす。痛みの原因は血管が広がることによって引き起こされる。偏頭痛がおこる前に前兆現象として視界がギラギラする、物が青白く見える、視野が欠ける、等の症状がおこることが多い。緊張から開放された時におきやすく、休日前などに多く発症する。偏頭痛は遺伝性があり、家族に偏頭痛持ちが居ると発症しやすい。特に女性に遺伝しやすく母親が偏頭痛持ちであれば、その娘は70%の確率で遺伝する。また30才までに必ず発症し、それまでに発症が無ければそれ以降発症しない。偏頭痛を持っていても30才以降は症状が軽減していく。発作中は光や音の刺激に敏感になり、痛みが増幅される特徴もある。また発作中に頭を冷やしたり、こめかみを押さえたりすることで症状が軽減する特徴を持っている。偏頭痛には市販の痛み止め(アスピリン)等は効き目が無く血管を収縮させる薬を頓服にて服用することで症状を改善することができる。偏頭痛は偏頭痛であることが診断されれば有効な対処が出来るので、「ズキンズキン」とした痛みが続くのならば、一度専門の病院を受診することをお勧めします。

8)副鼻腔炎

俯いたり、屈んだりすると痛むのが特徴、鼻の周りにある副鼻腔と呼ばれる空洞に炎症がおこって膿が溜まるのが原因。風邪の後に発症したりもするが、風邪と関係なく発症することも多い。鼻水がドロっとしているのも特徴。顎の周り、おでこ、目の奥が痛いような症状には耳鼻科専門医を受診するのがお勧めです。

9)三叉神経痛or帯状疱疹

発作的、間欠的に針で刺すような鋭い痛みが走る。痛みの長さは数秒程度だが、数秒から数分の間繰り返し同じ痛みが生じる。また数分のインターバルをおいて発作を繰り返すのが特徴です。

三叉神経痛は動脈硬化が進行することで、血管が神経に触ることが原因となります。そのため動脈硬化が進行した50代〜60代の人に起こりやすいです。また両方の血管が左右の神経に同時に触れることは稀なので、痛みは片側中心に起きることも特徴です。顔に触っただけで、あるいは風に当たっただけで発作が引き起こされます。根本治療を望むのであれば、手術で血管を三叉神経から離して、圧迫を解除してあげることが必要ですが、内服薬で症状を改善することも出来ます。

注意しなくてはならないのは、帯状疱疹の初期が三叉神経痛と良く似た痛みを引き起こすということです。帯状疱疹はヘルペスウィルスの感染によって引き起こされますが、治療が遅れると一生収まらない神経痛が残ってしまいます。三叉神経痛と違うのは発症して数日後に額に疱疹ができることです。髪の毛の下に出来たりすると、確認が困難であり発見が遅れてしまうことがありえます。おでこ、耳の後ろ、耳の周りに痛みを感じたり、顔の麻痺を伴うこともあるので、当てはまるようならば、早急に専門医への受診をお勧めします。

10)慢性発作性変則頭痛

就寝後1時間以内に発作的に片側の眼の奥から額にかけて針を刺すような激痛が起きます。群発頭痛と症状が類似しており、目の充血、発赤、落涙等の自律神経症状を伴うのが特徴です。群発頭痛と異なるのは発作時間が数分から長くても45分くらいと短く、代わりに発作の回数が1日5回程度と多いことです。群発頭痛とは逆に女性の罹患者が多く、治療薬も群発頭痛とは異なります。

11)群発頭痛

就寝後1〜2時間以内に、発作的に片側の眼の奥から額にかけて針で刺すような激痛が起きます。目の充血、皮膚の発赤、落涙等の自律神経症状を伴います。発作は1〜2時間続き、1日に何度か発作がおこることもあります。群発期とよばれる期間に集中して発作を起こすのが特徴で、群発期間の2〜3週間は毎晩発作に悩まされる事になります。耐え難い痛みを感じるので、拳銃の普及している海外では痛みのあまり自殺するといったケースもあります。発作の起きる前に前兆症状を自覚することが多く、ぼーっとする、首すじが張る、目の前が霞むなどが自覚されます。アルコール摂取や気圧の変化で誘発されるので、群発期のアルコール摂取、登山、飛行機の旅行は控えたほうが懸命でしょう。またこの頭痛は男性に多く発症します。上記のような症状が現れた場合、必ず専門医を受診して、適切な処置を受けて下さい。

12)薬剤誘発性頭痛

日頃から頭痛に悩まされている方が、頻繁に市販の頭痛薬や鎮静剤を服用することで、耐性がついてしまって却って頻繁に頭痛を起こすようになることを、薬剤誘発性頭痛といいます。月に10回以上鎮痛剤を服用される方は特に注意をして下さい。頭痛を抑えるために更に鎮痛剤を服用して、さらに頭痛を起こしやすくなる。悪循環に陥ってしまいます。頭痛にも様々な種類があり適切な対処法が異なりますので、安易に市販の鎮痛剤に頼らずに、専門医を受診して正しい治療を行うことをお勧めします。

13)低髄液圧性頭痛

頭全体がじんわりと痛むような頭痛、場合によってはズキンズキンと拍動を感じることもあります。起き上がると痛みが増して、横になると楽になる特徴があります。腰椎穿刺という髄液を腰から摂取する検査を行うと30%くらいの確率でこのような頭痛を起こし、数日間症状は続きます。穿刺によって針を刺すことで、髄液が漏れてしまって、圧力が下がるのが頭痛の原因です。

交通事故で硬膜に傷がついて髄液が漏れてしまう場合と、もともと髄液の産出量が少なくて圧力が下がってしまう場合とがあります。後者の場合痩せて、低血圧の人が発症しやすいです。血圧が高くなると症状は改善する特徴があるので、血圧の低い朝が一番症状が悪くなります。治療は体内の水分を増やすために点滴を行ったりします。外傷性でなかなか硬膜の傷が塞がらない場合、自分の血液を硬膜外に注射するブラッドパッチと呼ばれる治療を行うことも有ります。交通事故後にこのような頭痛が現れた場合には、正しい診断のできる専門医を受診して下さい。

14)緊張性頭痛

ダラダラと慢性的に頭が締め付けられるように痛むような頭痛。一日中痛みが続きますが、終業間際の夕方時、休み前の金曜日に痛みが特にひどくなるのが特徴です。またデスクワークが多い方や、下を向いて仕事をしている方、あるいはストレスを感じている方に多く見られます。

このタイプの頭痛の原因は頭を支える筋肉の緊張つまり筋肉の凝りから来ているものです。肩が凝った、首筋が凝ったと同じように頭が凝ったという状態が緊張型頭痛です。頭は身体の部位の中でもとても大きく、それを首の筋肉だけで支えなくてはなりません。姿勢が悪かったり、下を向いていると筋肉は凝って痛みを生じます。現代人は座って下を向いて作業することが多いので、緊張型頭痛を発症しやすい環境と言えます。

対処法としては、リラックスして筋肉を和らげる、マッサージを受ける、ストレスを解消する。といった行為が挙げられます。全ての頭痛の原因の8割がこの頭痛だと言われるくらいに多いです。病院を受診すれば、肩の凝りを取る薬や、電気マッサージや牽引などの理学療法を受けることで症状が劇的に改善するので、お悩みの方は是非お近くの専門医を受診することをお勧めします。

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