今回の健康コラムは、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血等、頻度の高い脳血管障害についてのお話です。
脳に生じる病気の多くは、脳を通過する血管のトラブルが原因で引き起こされます。血管以外では脳の組織に何らかの原因で腫瘍が出来て神経を圧迫することで、目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったりします。他にも色々と病気はありますが、やはり多いのは脳血管のトラブルであり、全体の死因のおよそ3割を占めている大変怖い病気です。
脳血管には動脈と静脈があります。動脈は酸素と栄養を脳の組織に送るための血管で、静脈は脳細胞からの排泄物を運び出すための血管です。血管は分り易く考えると、園芸ホースのようなものです。心臓が圧力をかけて送り出した、栄養豊富な血液が体中の組織に行き渡ることで生命活動を維持しています。人間の血管は柔らかく伸縮性があるので、もし血圧が上がってもある程度までは問題なく全身に血を行き渡らせる事ができます。しかし血圧が高い状態を放置しておくと、徐々に血管は硬くなって、柔軟性が失われてしまいます。このような病態を動脈硬化と呼びます。
動脈硬化は不可逆性、つまり一度動脈硬化と診断されたら、治療しても動脈硬化の進行を遅らせることは出来ても、血管を元に戻すことは出来ないということです。こうなってしまうと、血圧を下げる為に降圧剤の内服や、塩分制限等状態維持のために患者様に大きな負担がかかります。また脳梗塞や脳出血、心筋梗塞にかかる可能性がぐんと上がるので、そうならないように軽い運動や塩分を控えた適切な食事で、ご自身の血圧管理を行うことをお勧めします。
血管に圧力がかかって硬くなるのが動脈硬化ですが、動脈硬化が進むと脆くなった血管の壁の隙間にコレステロールが入り込みます。血管壁に付着したコレステロールを処理するために白血球もそこに入り込んでマクロファージ(貪食細胞)とよばれる細胞へと変化します。この過程が繰り返し起こって、マクロファージの死骸によってプラークとよばれる塊が血管の壁の中に形成されます。プラークが何かの刺激で破れたり、破裂したりすると血小板が集まって塊を作ります。これを血栓と呼びますが、血栓が剥がれてしまうと、心臓や脳の血管に流れていって詰まってしまいます。動脈硬化をおこした血管は血栓を溶かす力が弱いため血栓の詰まるリスクはさらに大きくなります。
前項にも書きましたが、動脈硬化の起こる前に適切な対策を取ることがリスクを減らすのに一番大切なことです。高血圧、高脂血症、そして糖尿病の方はさらにリスクが高まります。日々の血圧チェックそして、年に一度は健康な方でもしっかりと健康診断を受けることで、リスクを抑えることが出来ます。
10年後の健康は現在の生活習慣病にかかっているということを忘れずに生活しましょう。
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