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富士宮市の脳神経外科、外科、内科クリニック。加藤脳神経外科です。

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健康コラムHealth Column

健康コラム第5回 骨粗鬆症についての知識

1)骨粗鬆症とは

今回の健康コラムでは、骨粗鬆症についての知識をお届けします。皆様もこの病気については、テレビや新聞などで、ご覧になったことがあると思います。

骨の内部、海綿骨と呼ばれる部分は、縦横無尽に梁のような骨稜が張り巡らされています。蜂の巣のような骨梁が骨全体にかかる力を分散して、大きな衝撃にも耐えうる骨組織を構成しています。骨梁は家の梁と同じで、ちゃんとした本数が無いと強度が落ちて、少しの力で折れてしまうこともあります。骨の強度を保つために人間の体はどのような働きをしているのでしょうか?

人間の身体というのは変化が無いように見えても、常に新しい組織に置き換わっており、骨も例外ではありません。破骨細胞が骨を分解して、骨芽細胞が新しい骨に置き換えるというサイクルを常に行なっています。通常ならこのサイクルは一定しているので、骨の強度=密度が大きく変化することはありません。しかし骨の密度を下げてしまう様々な要因が、存在します。骨の材料が足りない、ホルモンバランスが崩れてしまう、負荷がかからず骨が退化してしまうなどの要因です。

これらの要因により骨の密度が20歳成人平均の70%以下まで下がってしまうことを、総じて骨粗しょう症と呼びます。この病気になると常に力のかかる椎体(腰骨)の圧迫骨折、大腿骨の股関節近位部の骨折。他にも手首や、肩などいろいろな部分で骨折を起こしやすくなってしまいます。特に股関節の骨折は、高齢者の方にとって寝たきりの原因にもなりやすいので注意が必要になります。

2)骨粗鬆症の原因

骨粗鬆症の要因としては、骨の材料が足りない、ホルモンバランスの崩れ、骨に対する負荷不足などがあります。

骨の材料であるカルシウムはイオンの形で血中を循環しています。カルシウムイオンは筋肉の動作や、神経系の伝達に必須のものであり、血中に十分な量が存在していなければなりません。カルシウムイオンは腎臓から体外に排泄されてしまうので、人間の身体は食物に含まれるカルシウムイオンを小腸から摂取してバランスを保っています。この小腸からの摂取が充分でない場合、血中のカルシウムイオン濃度を一定に保つために、骨のカルシウムを分解して血中にカルシウムイオンを放出してバランスを取ります。この状態が続くと、骨密度は低下します。大体1日に成人で800mg〜1000mgのカルシウム摂取が必要と言われています。

しかし、ただ単にカルシウムを摂取すれば、十分な量の血中カルシウム濃度を得られるというわけではありません。十分なビタミンDが無ければ、小腸からのカルシウム吸収効率が落ちるので、ビタミンDも必要になります。ビタミンDは皮膚が日光に当たることによって作られるので、十分の時間日光に当たることが必要になります。加えてビタミンDが不足すると、抹消筋肉の動きが悪くなるので、足のもつれ等、転倒のリスクも高まるので、骨粗鬆症による骨折リスクはますます大きくなってしまいます。ビタミンDは錠剤でも処方されるので、骨粗鬆症の治療にはこの錠剤が用いられます。

中年期以降の女性、特に閉経前後の方は、ホルモンバランスの変化による骨粗鬆症になってしまう例が特に多いので、気をつける必要があります。女性ホルモンであるエストロゲンは、卵巣の働きと密接な関係があり、閉経前後で分泌量が大きく減少してしまいます。エストロゲンが減少すると、骨破壊と、骨形成が同時に亢進します。相対的に骨破壊の働きが強くなることで骨粗鬆症になります。しかし骨形成も亢進しているので、十分なカルシウムとビタミンDを摂取していれば、症状が改善される可能性は高いです。また高齢者の方は骨の新陳代謝が年齢とともに低下することで骨密度は低下します。年齢と比較して極端に低い場合には経過を観察して、場合によっては治療が必要になることもあります。

その他の原因としては、副腎皮質剤大量投与による骨粗鬆症や、副腎ホルモンカルシトニンの分泌異常、運動不足により骨に適切な負荷がかかっていないような事が考えられます。骨に限らずに筋肉などでも負荷がかかっていないと徐々に肉体は衰えてしまいます。週に2回程度は定期的に体を動かして適切な負荷をかけ続けることが骨粗鬆症予防に大変有効な手段となります。

3)骨粗鬆症の検査

骨粗鬆症の検査としては、骨塩定量分析装置と呼ばれる装置を使用します。大体4ヶ月に一度くらいの頻度で骨密度の経過を観察します。骨塩定量分析装置にはいくつか方式があり、精度や保険点数に差があるのですが、主に使用されているのがDEXA法とQUS法になります。DEXA法は精度が良く、複数部位の骨密度を計測出来ます。しかしX線を使用するので若干の被曝があり、検査費用も1回1000〜1500円くらいかかってしまいます。QUS法は若干精度が落ちますが、超音波を使用するため被曝がなく、費用も250円くらいと安価に検査を行えるのが特徴です。当院では安価に検査を行えるQUS法を使用した、GEヘルスケア製のEXP-1000AUを導入しておりますので、当院にて簡単に骨粗鬆症の経過観察、投薬治療を行えます。

4)骨粗鬆症の治療

骨粗鬆症の治療としては骨の破壊を抑えるビスホスホネート製剤とビタミンDの小腸での吸収効率を高める、活性型ビタミンD3製剤が主に用いられます。ビスホスホネート製剤には週に一回、月に一回など服用しやすい形態のものもあります。また閉経後の骨粗鬆症には選択的エストロゲン調整役SERMやビタミンK製剤も用いられます。投薬と同時に運動や食生活の改善も加えて指導されます。治療の効果を判定するために定期的(4ヶ月ごと)に骨密度の検査を行います。

患者様の状況によって治療方法は異なりますので、気になる方はかかりつけのお医者様に一度相談してみることをお勧めします。

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