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健康コラムHealth Column

健康コラム第4回 クモ膜下出血についての知識

脳卒中の中でも、最も死亡率が高く、恐れられているのが**「クモ膜下出血」**です。 「バットで後ろから殴られたような」と表現される、人生で経験したことのない突然の激しい頭痛が特徴です。

前回の「脳出血」が脳の「中」の細い血管が破れるのに対し、クモ膜下出血は脳の「表面」を走る太い血管にできたコブが破裂して起こります。

今回は、その原因となる「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」について、発症前に見つける方法や治療法を中心に解説します。

原因は「脳動脈瘤」の破裂

クモ膜下出血の原因の約8割以上は、**「脳動脈瘤」**と呼ばれる血管のコブの破裂です。 脳の血管の枝分かれする部分(分岐部)は、血流の衝突によって負荷がかかりやすく、壁が弱くなって風船のように膨らんでしまうことがあります。これが脳動脈瘤です。

動脈瘤ができても、破裂するまでは何の症状もありません。しかし、ある日突然、血圧の上昇などをきっかけに風船が弾けるように破裂すると、脳の表面を覆う「クモ膜」の下に出血が広がり、クモ膜下出血を引き起こします。

脳動脈瘤はどこにできやすい?

脳の底面には、左右の血管がリング状につながった「ウィリス動脈輪」という重要な血管のネットワークがあります。動脈瘤は、このリングの分岐点に好発します。

実は「数十人に一人」が持っている? MRI検査の重要性

「自分には関係ない」と思われるかもしれませんが、破裂していない「未破裂脳動脈瘤」を持っている人は、意外に多いことが分かっています。 統計によると、成人の約 2?4%、つまり**「50人?25人に一人」**の割合で未破裂脳動脈瘤が見つかると言われています。

恐ろしいのは、破裂するまで全く自覚症状がないことです。

だからこそ、破裂する前に見つけるための**「脳ドック」が非常に重要になります。特にMRI(MRA)検査**は、造影剤を使わずに脳の血管を鮮明に映し出すことができ、小さな動脈瘤を発見するのに中核的な役割を果たします。

見つかったらどうする? サイズと治療方針

もし脳ドックで未破裂脳動脈瘤が見つかった場合、すぐに手術が必要なのでしょうか? 答えは「No」です。全ての動脈瘤が破裂するわけではありません。

治療を行うかどうかの判断は、日本脳卒中学会などのガイドラインに基づき、慎重に行われます。

  • サイズ: 一般的に、5mm以上の大きさになると破裂率が高まるとされ、治療が検討されます。

  • 場所・形: 5mm未満でも、破裂しやすい場所にある場合や、形がいびつな場合(コブの上にさらにコブがあるなど)は治療を検討します。

  • 年齢・健康状態: 患者さんの年齢や体力、持病なども考慮します。

破裂のリスクが低いと判断された場合は、半年?1年に1回のMRI検査で大きさや形に変化がないかを経過観察します。

破裂を防ぐ2つの主な治療法

破裂のリスクが高いと判断された場合、予防的な治療が行われます。主に2つの方法があります。

1. 開頭クリッピング術(外科手術)

頭の骨の一部を開け、顕微鏡で見ながら脳の溝を分けて動脈瘤に到達し、コブの根元(ネック)を専用の金属クリップで挟んで血流を遮断する方法です。 歴史が長く確実性が高い治療法ですが、頭を開けるため体への負担は比較的大きくなります。

2. 血管内治療(コイル塞栓術・ステント治療)

足の付け根などの血管から細い管(カテーテル)を脳の動脈瘤まで進め、コブの中に柔らかいプラチナ製のコイルを詰め込んで破裂を防ぐ方法です。 最近では、動脈瘤の入り口を網目状の筒(ステント)で覆い、コブへの血流を減らして治癒させる新しい治療法も行われています。 頭を切らないため体への負担は少ないですが、動脈瘤の形や場所によっては適さない場合があります。

まとめ:転ばぬ先の杖「脳ドック」を

クモ膜下出血は、一度発症すると約半数の方が亡くなるか、重い後遺症を負ってしまう非常に怖い病気です。 しかし、原因となる脳動脈瘤は、MRI検査で破裂前に見つけることができます。

特に、血縁者にクモ膜下出血を起こした方がいる場合、動脈瘤ができやすい体質の可能性があります。40歳を過ぎたら、一度は脳ドックを受けることを強くお勧めします。 当院でも最新のMRI装置による脳ドックを行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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