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富士宮市の脳神経外科、外科、内科クリニック。加藤脳神経外科です。

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健康コラムHealth Column

健康コラム第10回 CTとMRIの違いとは?

1)CTとは?MRIとは?

CTMRIは検査装置の形がよく似ています。そのためこの2つの検査は混同されやすい傾向にあるのが実情です。今回の健康コラムでは簡単に2つの検査がどのように異なるのかを説明させていただきます。お時間のある方はどうぞお付き合い願います。
CTとは英語のComputed Tomography の略語です。日本語では断層撮影となります。X線発生装置を回転させながら撮影するので、このように呼ばれています。対するMRIは英語のMagnetic Resonance Imaging 日本語で磁気共鳴画像装置と呼ばれます。この2つは見ているものも撮影の仕方も根本から全く異なります。
大変大雑把な表現の仕方をすれば、CTは光を当てて後ろ生じる影を見るための装置で、MRIは身体の水分を磁石と電波で刺激して水の量に応じた信号を見るための装置ということになります。とは言えイメージをしにくいので分り易く説明をします。

2)CTについて

CTに限らずX線を利用した場合の原理は光を当てて後ろに出来た影を見ることで身体の内部を透視します。しかしただ光を当てても、光の部分と影の部分から輪郭が分かるのみで内部を透視したりは出来ません。なぜかというと光はエネルギーが低いので物体の表面で吸収されてしまうからです。そこで物体の中を通過できる光であるX線を用いることになります。X線を物体に当てると、物体の中で固いものに当たればX線は弱まり、物体の中の柔らかい部分に当たればX線はあまり弱まらずに物体から出てきます。物体の中の構造で出てくるX線の強さが異なるので、中を透視したような画像を得ることが出来るのです。XCTは物体の周りを回転しながら何枚もX線写真を撮ることで、立体的なX線写真を得ることが出来ます。現在のCTスキャンは原理こそこのように単純ですが、X線発生装置の回転速度の高速化(1回転0.5)X線検出器の高感度・高解像度化が進んだため、初期の装置が1枚あたり23分かかっっていた撮影を数秒~数十秒まで短縮しています。

CTのメリットは高速に撮影できる(数分)、骨の形が正確に描写される、出血に対する感度が高い、保険の点数がMRIより低い(自己負担で5000円くらい)、と高速なため手軽に検査を受けられるのが一番のメリットです。逆にデメリットはX線による被曝が普通のX線写真よりもかなり多いことが挙げられます。経過観察などで何度も同じ場所のCTを撮ると放射線障害がおこることもあります。ただし最近では低被曝でも高画質な撮影ができるCTスキャン装置が増えてきました。これから登場するCTスキャンはこのような低被爆型が主流ですので被曝を大きく抑えることが出来るようになりました。

3)MRIについて

MRIは磁気共鳴画像装置の略だと説明しましたが、イマイチピンと来ないと思います。

人間の体は70%が水分で出来ています。水単体はもちろん、脂肪、筋肉、タンパク質は全て水素原子を含んでいます。水素原子は身体の中に一律に分布しているわけではなくて、組織の種類によって分布に偏りがあります。この水素原子は一つ一つが小さな磁石のようなもので普段はバラバラの方向を向いて全体的にはプラスマイナス0の状態になっています。ここで人間の体を強力な磁石の中に入れると、磁石の磁場と同じ方向に水素原子の磁場が整列します。さらに電子レンジのように体に電磁波を当てることで、同じ向きを向いている水素原子の向きが変わります。向きの変わった水素原子は時間を掛けて元の向きに戻ろうとします。次に戻るときに最初の電磁波の周波数に共鳴して水素原子から電磁波が発生します。この現象を核磁気共鳴と言い、水素原子から出る電磁波を画像化したのがMRIです。細かくは説明しませんが、X軸、Y軸、Z軸の磁場を調整して、身体の特定の部位でのみ核磁気共鳴がおこるように電磁波の周波数を調整することで任意の画像を得られます。MRIの特徴は放射線被曝なしでCTよりも綺麗な画像を出すことが出来る代わりに、撮影時間がCTの何倍もかかるということです。CTは基本的に1検査あたり5分もあれば終了しますが、MRI1検査終わるまでに20分から1時間以上かかることもあります。その代わり多彩な画像をパルスシーケンスと呼ばれるプログラムを変えることで作り出せます。

シーケンス名

撮影時間

特徴

T1強調

短い

脂肪が白く見える

T2強調

長い

水が白く見える

FLAIR

長い

脳梗塞に有用

STIR

長い

脂肪の影響を排除

T2*強調

さらに長い

小さな血管を観察

DWI

ごく短い

脳梗塞に有用

MRA

さらに長い

血管を観察出来る

 
上記のようなパルスシーケンスを使い分けることで、目的に応じた画像を得ることが出来ますが、その都度撮像時間は延長するので、何が必要なのかを担当医師、撮影技師はしっかりと把握することが重要になります。また最近では技術の進歩により、マルチスライス法、パラレルイメージング法、3D撮影など高速化、高画質化が進んでいるので、大きな病院ではあまり時間がかからずに検査を行えるかもしれません。
CTと比べると、情報量が多い高画質な画像を得られ、造影剤を用いない血管撮影が可能であるMRIは大きなアドバンテージがあるように思えますが、撮影に際しての禁忌が多いので受ける際は注意をしなくてはいけません。
MRICTに対してのデメリットは時間がかかる以外にも、磁石の関係でトンネルが狭い、撮影の際に照射する電磁波が大きな音を出す、金属を付けていると引っ張られて最悪の場合離れなくなってしまう、ペースメーカー装着者は撮像できない、やけどの可能性がある。など多岐に渡ります。MRICTのように気軽には撮影できないことを理解していただくことが大切です。それでも得られる情報は多いので、医療現場では適宜使い分けていますので、安心して検査を受けて下さい。費用の面でもCTは保険無しで9000円に対して、MRI13300円と4割ほど負担が大きいです。

 

CT

MRI

検査費用

検査時間

造影剤安定性

手軽さ

検査出来る範囲

情報量の多さ

即応性

Kato Nuro Surgical Clinic加藤脳神経外科

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