緊急呼びかけです!
司法修習生に対する給付制存続を求める行動に参加を!
日時:7月24日 午後1時から 3時半まで
場所:アゴラ静岡 7階 大会議室(静岡銀行呉服町支店内)
入場は無料です
詳しくは pdfファイルをご覧下さい!!!
今年11月1日、司法修習生に対する給与の支払が打ち切られ、必要な者には生活費を貸し付ける「貸与制」に切り替えられます。法律家の資格は、自己負担で取せよというのです。そうなれば、未来の法律家は、経済力のある家庭の子女によって占められることになりかねません。
連合,労福協,ろうきん,生協,全労済,静岡7団体が行ったクレサラ運動は、「借りた者が悪い」という偏見との闘いでした。
法律家が司法の場を拠り所に、強者の論理では捉えきれない「被害」の構造を明らかにして、世の「常識」を変えてきました。司法は、出自に関係なく優秀な人材を養成し、多様な社会的背景をもつ者を取り込むことができなければ市民のための力となりません。貸与制の導入は、これとは逆の方向に法律家の質を変え、ひいては社会的・経済的弱者の人権擁護を後退させてしまうのではないでしょうか。私たちは、このことを強く懸念しています。法律家に限らず、専門職の養成には時間と費用がかかります。それが自己負担となれば、貧しい者には努力するチャンスもなく、若い優れた才能を埋没させ、社会に大きな閉塞感をもたらします。反対に、人材育成のための社会的投資を拡充する方向性を示し、貧しくとも努力次第で専門的職業に就くことのできる可能性を開くことによって、若者が将来に希望を持つことができ、社会が活性化するのではないでしょうか。給費制は、若い優れた才能に対する社会的投資だと思います。
司法修習生に対する給費制ですら廃止されてしまうのであれば、すべて専門職の資格取得は自己負担で、という方向に向かわざるを得ません。ひいては、奨学金制度の縮小・廃止にもつながりかねません。いま必要なのは、若者に対する人材育成のための重点投資であり、社会がその方向性をしっかりと打ち出すことが必要です。
また司法制度改革の中で法科大学院が創設されてから6年、新たな法曹養成制度は成果をあげる一方、さまざまな課題、問題が指摘されています。
まず、かつては年間500人程度であった司法試験合格者を法科大学院設置後、段階的に増員し、ことしは3千人程度にすることが閣議決定されていました。しかし、弁護士に対する需要が増員に追いつかず、新人弁護士の就職難が表面化する中で、増員はペースダウンを余儀なくされ、昨年の新司法試験の合格者は2043人、ことしの合格者も同程度にとどまるのではないかといわれています。
法科大学院が設置される際には、修了生の7割か8割は法曹になれるという触れ込みであったが、今や合格率は2割程度にまで下がっています。人材活用および教育の両面で大きな国家的、社会的損失が生じています。
また、法科大学院で学ぶことに伴う経済的負担も半端ではありません日弁連が昨年行ったアンケート調査の結果では、司法修習生の約53%が奨学金や教育ローンなどの負債を抱えており、その平均額は約320万円、最高で1200万円になることが明らかになりました。
このような中で、本年度の合格者から従来、修習生に支給されていた給与が廃止されようとしているのです。これは、2004年に裁判所法が改正されたことに伴うもので、給与の支給に代えて、必要な者に月額23万円の修習資金が貸与されることになっている。給費制が廃止される理由は、法曹人口の大幅拡大に伴う財政上の問題でです。司法制度改革の中で弁護士に対する社会的需要が飛躍的に増大することも前提とされていました。
今、給費制が廃止されようとしている中で、現状をあらためて振り返ってみると、年間3千人の合格者の確保が実現していないだけではなく、2千人程度の合格者に対してさえ法曹としての活動の場を十分提供できていないという現実があるのです。
従来、新人弁護士は、希望すれば弁護士事務所にいわゆる「イソ弁」(俗称・居候弁護士の意)として勤務することができた。しかし、就職難で「イソ弁」の給与が年々下がっているだけではなく、給料をもらわず先輩の弁護士事務所の軒先を借りる「ノキ弁」、自宅やアパートで弁護士登録をする「タク弁」などが出始めています。
このまま給費制が廃止されると多い人で1200万平均320万円の負債を抱えている修習生は、別に修習資金の貸与を受けることなどを余儀なくされるので、約半数の弁護士は約600万円,多い人は1500万円の負債を抱えたまま就職難にさらされます。
このような状態の中で、果たして手間暇のかかる儲らない事件や人権擁護活動などに正面から向き合うことができるでしょうか。また、裕福な家庭の子女だけが法曹を目指すようになり、弁護士の多様性が損なわれるのではないでしょうかか。優秀な人材が司法の世界にそっぽを向き始めるという現象も既に現実のものとなっています。
給費制維持の問題は、ひとり修習生だけの問題ではなく、日本の司法の将来に暗い影を落としかねない問題であり、国民の権利擁護に深くかかわる問題でもあります。
今や、法曹人口、法曹養成のあり方などの諸問題を見直すべき時期にきており、給費制の問題もこれらの問題と合わせて多角的に検討されるべきだと思います。
(了)