日商簿記3級 勘定科目の解説

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当座預金(とうざよきん:資産)

当座預金はどのような預金か

 当座預金とうざよきん)は、会社や個人事業者が商品の仕入れ代金等の事業上の支払いをするための預

金です。

 当座預金口座の開設には、銀行との取引の実績、事業の状況など口座開設人の信用や必要性など銀行の

審査があり、必ずしも口座を開設できるとは限りません。

 当座預金は、決済を目的とする預金のため無利息で、その払い戻しは、小切手(こぎって)の振り出しによっ

て行います。

 また、手形てがた)を振り出した場合の決済や各種料金の口座振替払いもできます。

 普通預金のような通帳はありませんが、毎月銀行から、前月の当座預金の入出金と残高の状況を記載した

当座勘定照合表とうざかんじょうしょうごうひょう)が送られてくるので、取引を確認することができます。


小切手の仕組み

 当座預金口座を開設すると、銀行から小切手用紙が綴られた小切手帳の交付を受けることができます。

 小切手用紙に支払金額・振出日・振出人の記載等をして、相手に渡すことを振出(ふりだし)と言います。その

際小切手帳から小切手を切り離すことから、振出のことを「小切手を切る」と言うこともあります。


 小切手の受取人は、小切手に記載されている支払銀行に出向けばすぐに換金できますが、支払銀行が複数

であったり遠方であったりすると煩雑となります。

 そのため、通常は、小切手の取立てを自分の取引銀行に依頼し、預金口座に入金してもらいます。

 小切手の受取人による支払銀行での換金や取立ての依頼により、小切手が決済された時に、小切手に記載

された金額が振出人の当座預金口座から差し引かれます。

 小切手は、支払いに際しあらかじめ現金を用意する必要がなく、多額の現金を数える手間が不要で、運搬や

保管に伴う危険も少ないというメリットがあります。

 しかし、振出人が当座預金残高を超えて小切手を振り出したことにより、小切手の決済ができなかった場合

(このことを「不渡りふわたり」と言います)には、ペナルティがあります。

 小切手や手形が6ヵ月間に2回不渡になると、銀行は、振出人に対し2年間銀行取引停止処分とします。

 銀行取引停止処分は、事実上の倒産と受け止められ、事業の継続が困難になってしまうので注意が必要で

す。


当座預金口座の入出金の処理

 当座預金への入金は、当座預金(とうざよきん:資産)勘定の借方に記入し、小切手の振り出しや振り出した

手形の決済、各種料金の口座振替払いなど当座預金の引き出しは、当座預金勘定の貸方に記入します。

 小切手の受取人は、支払銀行での換金または取立ての依頼をせずに、受け取った小切手を他の支払いに

充てることもできます。

 このような場合、めぐりめぐって自分の振り出した小切手を受け取ることがあります。

 自分の振り出した小切手を受け取ったときは、小切手を振り出したときの仕訳「(貸方)当座預金」とは逆の仕

訳の当座預金勘定の借方に記入します。

 現金勘定のところで、他人振出小切手は通貨代用証券であるから現金として扱うと述べましたが、自分が振

り出した小切手はそれとは違いますので注意しましょう。

      

取引例 1  

 A商店から商品1,000円を仕入れ、小切手を振り出して支払った。 

           仕入1,000/当座預金1,000    

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取引例 2

 B商店より、掛売代金2,000円が当座預金に振り込まれた。

          当座預金2,000/売掛金2,000 

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取引例 3 

 水道料500円が、当座預金から引き落とされた。

          水道光熱費500/当座預金500 

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取引例 4 

 C商店に商品1,500円を販売し、現金500円と先にA商店に振り出した当店の小切手1,000円を受け取った。 

         現金        500/売上1,500

        当座預金 1,000/

       ! 自分が振り出した小切手は、現金として扱う他人振出小切手ではありません。