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    立教179年(平成28年)11月18日発行 第294号
    おかえり講話

平澤勇一先生 おかえり講話(要旨)

講師 平澤勇一先生
    (磐城平大教会長)

 2011年(平成23年)3月11日午後2時46分、史上最悪の東日本大震災が起きたことは、私達の記憶に深く焼き付けられている。
 通常の地震被害だけでなく、津波による被害は甚大であり、今も行方不明の方が大勢おり、さらには福島原発の放射能被害は、深刻な影響を与え続けている。
 そのような中、力強く復興の歩みを続けている、福島の磐城平大教会長平澤勇一先生のお話を聞かせて頂いた。
 福島県では、約20メートルの津波により、約3,900人が亡くなり、今も行方不明の方が大勢おられる。これによるもっとも大きな被害は、福島原発がやられた事で、現在、1日あたり原発停止に7,000人が作業され、除染作業として20,000人、インフラ整備として10,000人の、合計37,000人が働いてるという。
 日常の生活においては、福島産の食品は、全て放射線量を測っているが、風評被害は大きく、他県ではほとんど売れていない。大丈夫と口で言われても、納得できないことは、容易に想像がつく。目に見えないものに対しての安全、安心はとても難しい問題である。
 これから何年かかるか分からないが、実りの豊かな大地を取り戻すまで、戦いは続くであろう。
 今回の地震がもたらしたものは、甚大な被害だけでなく、信仰的にはとても深い思召を悟らせて頂けたと言われた。それは、生かされていることが当たり前ではない。また、火、水、風の御守護の有難さである。
 津波によって流されたが、南無天理王命と唱えて、不思議にも助かったこと。建物が倒壊したのにもかかわらず、家具の隙間の空間によって助かったこと。

おかえり講話 おかえり講話

 電気、水道、ガス、電話が使えなくなり、何もない大変さを味わい、やっと使えるようになった時の有難さ。実り豊かな福島が、食物の安全が確認され、安心して食べられる有難さ、等々。
 生活が一変し、今まで当たり前に生活していたことが、全て有難く感じられるようになったということである。
 福島には多くの人から励ましの手紙を頂き、皆が心から応援して下さっているのは、とても勇気が湧いてくるとのことであった。
 大勢のボランティアが来て下さり、その中で、特に天理教の災救隊は、とても喜ばれたという。自分達で道具、食料を全て持参し、一生懸命作業した後に、必ず「ありがとうございました」と言って去っていくのは、とても好感が持てるだけでなく、「かっこいい」との声が上がったということである。我々は「ありがとう」が合言葉であるが、その深い意味を理解して頂ければ、もっと有難い。
 また、言葉を使うことによって、人間の脳が作られ、脳が言葉を作っているのではないという事である。
 そこで、日頃から良い言葉を使っていれば、脳がそのように形成され、心が良くなる。相手に対して「素晴らしいね」「かっこいいね」「きれいだね」とか、「美味しいね」「うまいね」「最高だね」とか、「嬉しいね」「楽しいね」「有難いね」など、是非使って頂きたいとのことであった。
 講話は午後八時に終了し、大きな拍手の元、平澤先生を見送った。