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8  vol.36 「老舗の暖簾」
2021.10.16 Sat.
 「しにせ」とは一般に百年以上続く古い店を言いますが、明治時代以降使われるようになった当て字でした。
 江戸時代大坂では「まねる・にせる」ことを「仕似す」と言いました。これは親から子へ、子から孫へ家業をよく見て真似て守る、一時的な儲けに迷うこと無くお客様のご愛顧を得て永く続けるという意味で、若い時は暖簾の持つ重みと価値に気付かないもの、大きくするより続けることの方が難しいという先人の教えです。
 「のれん」は明代の中国から伝わり室町時代に堺の商人が用いたのが始まりで、元々は日よけ・塵よけだったモノが、屋号や商標により看板・広告の目的で使われるようになりました。暖簾には「チラリの効用」があります。明るい昼間は暖簾で見えない商店の内部を覗きたくなり、夜は暖簾越しに見える明かりがお客を誘います。
 老舗の暖簾=ブランドには「ブランド三機能」という効果があります。エルメスを一例にあげると、ご主人が「あっエルメスだ」と誰でも見てわかる→出所表示機能、「このバッグは頑丈なはずだ」と知っている→品質保証機能、「妻にも買ってやりたい」ともし思えば→宣伝広告機能となるのです。
茶店も「あっ新茶だ」→「この店のお茶は美味しい」→「よし妻に買って帰ろう」となり、そのお店はブランドになります。
 同様のモノに「前掛け」があります。これは室町時代「前垂」と呼ばれ女性が使うものでしたが、便利さから江戸中期以降、商家の男性も用いるようになりました。新人の奉公人が新しい前掛けをしたことから略して「新前」の言葉が生まれ、転じて「新米」となりました。
 当店も来年で数えの創業百六十年を迎えます。お客様に美味しいお茶をお届けすべく、老舗の名に恥じぬよう精進してまいります。どうぞ白銀屋の美味しい銘茶でよいお年をお迎えください。


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