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9  vol.35. 「やきぶた?」
2021.10.16 Sat.
 「やぶきた」とは明治四十一年(1908)に静岡の茶業研究家「杉山彦三郎」によって選抜された緑茶の品種名で当店の主力商品です。
 緑茶品種の全国シェア約75%、静岡県においては90%を占めます。全国どこにでも広汎に栽培でき(地域順応性)、育苗・栽培が容易なうえに、品質(味・香)も良好で収量も多いことから生産家に好まれて全国に広まりました。最も優れた品種として「全国にこれに勝る品種はなし」とされています。
 現在の品種改良技術をもってしても「やぶきた」に勝る品種は未だに作ることができません。数ある新品種も一長一短なのです。
 杉山彦三郎は茶畑を見ると一目散にお茶の木に取り付き、狂人と見違えられるほど熱心に品種研究をして「いたちの彦三郎」と呼ばれたそうです。自分で開墾した試験園(静岡市谷田)にあらゆる品種を植えて研究を重ね、ついに「丈夫で味も香も優秀な木」を発見しました。竹藪を開墾した試験園の北側に原樹があったことから「やぶきた」と名付けられました。しかし農林省に登録されたのは昭和になってからのことでした。
 杉山彦三郎は販売よりも研究に力を注ぐあまり全財産を失ってしまい死の床につくまで赤貧をしいられ、「やぶきた」の隆盛を見ることなく逝った悲運な先覚者でした。
 そこで日本茶業中央会は杉山彦三郎の不滅の功績を称え、昭和三十七年に「杉山彦三郎翁顕彰会」を創設し、駿府城公園内に銅像を建立して毎年八十八夜に記念式典を開き慰霊と併せて茶業功労者の表彰を行っております。(当店五代目は平成七年受賞)
ちなみに竹藪の南側には「やぶみなみ」も選抜されたそうです。
当店では「やぶ北」と表示しております。
 今年も新茶の季節となりました。やぶ北品種を摘採して深蒸し製法で仕上げた清涼感抜群、滋味濃厚な白銀屋自慢の「やぶ北深むし新茶」をどうぞご賞味ください。


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