お茶に対する放射性物質の暫定規制値はありませんでした。分類としては「その他」に属し1kgあたり500ベクレルとなっています。これは国際基準で定められているものを日本人の食生活に合わせて算出したものです。それでは、この量の茶葉からお茶を淹れた場合に健康への影響はあるのでしょうか。
仮に製茶1kgあたり500ベクレルあったものとし、私たちがお茶として飲む場合の影響を計算してみましょう。
1日に飲用茶1リットル飲む場合、放射性物質のお茶浸出量は80分の1になるものとし、放射性セシウムの経口摂取した場合の実効線量係数は0.013とします。その結果、人体への影響は0.08125マイクロシーベルトと計算されます。
仮に毎日1リットルを1年間(365日)飲んだ場合でも、29.6563マイクロシーベルトです。
例えば、胸部X線集団検診1回0.3ミリシーベルト(=300マイクロシーベルト)の1/10であることがわかります。つまりそれを飲んでも何ら健康には影響ありません。1kgあたり500ベクレルという暫定基準値はとても厳しい値であり、計算結果からもわかるように私たちの安全を守るために決められた数値なのです。
日本人にとってお茶は欠かせないものです。お茶は一滴一滴。私たちはお茶の旨味と成分の恩恵を、最後の一滴まで無駄にせず毎日毎日飲んでいます。
(首都大学東京 健康福祉学部 放射線学科 大谷浩樹准教授)
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