白銀屋が茶の香にむせぶ駿府( 静岡市)の町に呱々の声を上げてから今年で百五十年の記念すべき年を迎えました。
創業の文久二年(1862)と申しますと徳川の政おとろえて、公武合体をはかる幕府の要望で既に有栖川宮様と婚約が整っていた仁孝天皇第八皇女和宮様を十四代将軍徳川家茂公へ臣籍降嫁させた明治維新前の歴史上有名な年でもあったのです。
白銀屋の屋号は茶商に相応しくない店名と思われる方が多いと思いますが徳川末期まで武家相手に刀剣の鍔を商っていたのでこの店名がつけられました。これは全国各地の旧城下町で白銀屋を名乗るお店はかって小店の様に刀剣の鍔を取り扱っていたお店で、以前大阪の白銀屋さんとご連絡を取り合った事がありました。
現在日本一の品質生産量を誇る静岡茶も当時は牧之原大茶園の開拓は未だしで安倍茶(安倍川上流で産する茶)を中心に全国各地へ出荷し、輸出のために横浜の外国商館へ茶の販売(これを浜出しと称した)をしておりましたが、商品横浜到着後外国商館が一方的に値段を仕切る著しく、不利な商売だった様です。
以来明治、大正、昭和、平成と四ツの時代をおいしい静岡茶の販売一筋にかけ抜けてまいりました。やぶ北種が開発されればこれを商品に取り入れ、三十数年前苦味渋味を抑えたマイルドな茶「深むし茶」が開発されればただちにこれを主力商品に取り入れました。深むし茶は昨年NHKの「ためしてガッテン」で放映され、その栄養素が高い評価を受けました。この様に常にお客様のニーズにお応えする様研究努力も積み重ねて参りました。
静岡茶の消費拡大にも叡知を注ぎ五代目は
○やぶ北種生みの親「杉山彦三郎記念賞」受賞
○静岡県茶業会議所「茶業功績者賞」受賞
○第三回全国茶審査技術競技大会優勝の栄誉を受けております。
六代目は茶審査技術競技道七段の段位を取得し、全茶連より茶の専門経営士と認定され「茶匠」の称号を授与されました。
今後一層より良いお茶の販売に努めたいと思います。白銀屋へ変わらぬお引き立てを心よりお願い申し上げます。(S・G)
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