ヒレナガハゼ   Vanderhorstia macropteryx 1994年11月 水深21m
三保で普通に見られるテッポウエビと共生するハゼである。ハゼは見張り役、エビは巣穴掘りをする。 エビの触覚がハゼの体に触れている。危険が近付くとハゼは体を震わせて、エビに危険を知らせる。これも 助け合いの例である。
私は賭事は一切やらないのだが、生態写真には賭けに似た要素がある。共生ハゼは警戒心が強く、 近付くと1、2mの所で巣穴に逃げ込んでしまうのが普通である。一旦巣穴に入ると、その回の潜水中 に穴から出てくることは少ない。しかしクリアーな写真を撮るためには近付かなければならない。逃げ られるとわかっていても、運良く近付ける確率が僅かでもあれば、やってみる価値はある。
雨が降っていたり、風が強く波があると、潜る気持ちが萎えてしまう。しかし、水中の状態は、 陸の気象とは直接関係はない。潜ってみなければわからない。迷う時である。潜って良かったと思う時 もあれば、やっぱり止めておけば良かったと思う時もある。
先週いたからといって、今日もいるとは限らない。約束をしたわけではないから。それでもいると 信じ、そのための準備をして潜る。当たればラッキーである。
こんなことをしていると、賭けをしていると思う。
1995年  ダイビングワールドフォトコンテスト入選
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