誰も書かなかった簿記入門
番外編
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  日商簿記検定試験について


●各級の
受験者数と平均的な合格率 
 工会議所の簿記検定試験は、1級2級、3級、初級があり、2級3級は、2月・6月・11月の年3回、1級は、
6月と11月の年2回行われます。
  初級は、平成29年2月に実施された試験をもって終了した4級に代わってを創設されたもので、平成29年
4月から「実施から採点、合否判定を、インターネット上で行うネット試験方式で実施」されることとなった
ものです。
 受験者数は、平成28年11月実施の1級の試験では、
8,416名、平成29年6月実施の試験では、2級 43,589
名・3級80,025名
、4月から7月までの間に実施された初級は、1,230名です。
 各級の平均的な合格率は、
1級10%・2級20%~30%・3級30%~50%・初級50%となってい
ます。

各級の難易度

  初級は、「新たに簿記の基本原理および企業の日常業務における実践的な簿記の知識の習得に資する」
「簿記初学者向けの入門級」で、試験科目は、商業簿記のみです。
 3級は、「基本的な商業簿記を修得し、初歩的な実務がある程度でき、中小企業や個人商店の経理事務に役
立つ」
レベルで、試験科目は、商業簿記のみです。
 3級は、「職種にかかわらず評価する企業が多い」ため、「簿記入門レベル」の初級があるものの、最初に
受験する簿記資格として
、就職等に有利な資格である3級を選択する方がほとんどです。
 2級は、「高度な商業簿記・工業簿記を高校において修得」するレベルで、試験科目は、商業簿記と工業簿
記の2科目です。

 1級は
、「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、大学等で専門に学ぶ」レベル
で、試験科目は、商業簿記・
工業簿記会計学・原価計算の4科目です。
 2級から初級平均的な合格率が30%以上であるのに対し、1級は10%と他の級と比べ極端に低くなっ
ています。

 1級と2級では、この合格率の差である2倍以上の難易度の差があります。
1級は、2級の試験科目である商
業簿記と工業簿記に加え、
会計学と原価計算も極めて高度なレベルでの修得が必要です。
 特に原価計算が最も高いハードルとなります。他の試験科目が企業と外部とのお金の流れをベースにした
簿記から派生したものであるのに対し、
原価計算は、製造業内部での製造過程における製造原価の配分や集
計の計算であるため、それまでの簿記の延長線上では理解が難しいためです。
 また、1級は、4科目の総得点が70%以上かつ1科目ごとの得点が40%以上であることが必要なため、4科
目の全てについて一定以上の得点が
要求されます。
 1級合格者は、税理士試験の受験資格を得ることができるので、目安として1級に合格できるような人は、
税理士試験に合格できるような資質を持っているとも言えます。
 税理士試験の試験科目は、簿記論・財務諸表論と法人税等の税法3科目の5科目ですが、1科目ずつ受験でき、
各科目60点以上が合格基準で、合格した科目は生涯有効のため、じっくり取り組むことが出来ます。
 このため、試験科目の取りための出来る税理士試験に合格した人でも、一発合格が必要な1級に合格できな
かった人もいるぐらいです。
 
経理担当者として必要な級の目安
 新入社員として経理に配属されたばかりであったり、担当する経理業務が特定のものに限定されているので
あれば3級、先輩経理社員として
新入社員を指導したり、担当する経理業務が広範囲にわたるのあれば2級、経
理課長などの役職であれば
1級の取得目安にするとよいでしょう。