[寸評]
フランス人女性作家がアメリカの片田舎を舞台に描いた超グロテスクなホラー。
序盤から恐怖場面の連続で、少しとばしすぎではと思っていたらなんと最後までその調子で行ってしまった。
とにかく理屈抜きで面白い。
そして思わず笑ってしまうほど気持ち悪い。
とにかく、おぞましく、血みどろで、全編を腐臭が漂い、ゴキブリが這い回る。
終盤はもうひとひねり欲しかったところだが、アメリカものに負けない恐怖娯楽作。
[寸評]
緑子シリーズの第3作。
残念ながら私は前2作とも未読だが、前半はそのハンディを感じないほど十分楽しめた。
快調なテンポで話は進み、語り口も小気味よく、登場人物たちのキャラクタも魅力的で実に面白い。
しかし捜査が進んでいくうちに全体が重く、複雑になっていき、大所帯の捜査本部で緑子だけが次々と新事実を突き止めていく展開が鼻についてくる。
後半はやはり前2作未読のためかこのシリーズの世界に入りきれなかったようです。
[寸評]
クーンツの翻訳ラッシュということで「ミスター・マーダー」に続いて読んでみました。
またまた追う者と追われる者が繰り広げる壮絶なスリルとアクションの連続本なのだが、「ミスター・マーダー」に比べると落ちる印象。
超常現象もちょっととびすぎの感じだし、神の如き力を持つ者にしてはやることがみみっちい。
終盤の盛り上がりも今ひとつ。
娯楽作としては2人の警官の関係も発展させてほしかったし、犬と人間の交流ももっと書き込んでほしかった。
[寸評]
少年時代に喧嘩を教えてもらうとか、訳も分からずの初体験の話とか、今までに何回か他の本で読んだり、映画やTVで観たりしたようなもので、取り立てて目新しいものはない。
時折出てくる喧嘩の場面以外は変化はあるものの比較的淡々と進む。
それでもこの本はかなり面白い。
中学、高校から20代初めくらいまでの男の不安定でかつ熱いさまよいが的確に描写されており、脇役も個性があって面白い人ばかり。
[寸評]
「不夜城」、「鎮魂歌」に続く作者の第3弾。
前2作の新宿と同様、地元からクレームが付かないかというくらい台湾の暗部を抉りだしている。
全編が激しい憎悪に彩られた作品で、これに加倉の肉親、血縁、愛への激しい渇望が加わる。
加倉の徐々に増幅していく狂気は異様に迫力があるが、終盤は完全に狂った感じで、殺せば片がつくってものでもなかろうに。
ただ、珍しくラストは救いがありほっとさせられる。
題材の野球そのものの描写が少ないのは少々残念でした。
[あらすじ]
アメリカ南部の田舎町ジャクソンヴィル。
退役兵のバーガーは、釣りに出かけた先の茨の木立の中で無惨に切り刻まれた若い娘の死体を発見する。
警察が捜査を開始するが、死体は続いて現れる。
まるで生きたまま食われたような怪奇な死体。
そして大きなゴキブリの異常発生。
事件を知った12歳のジェレミーとローリーは町全体を覆う異様な雰囲気に怖れを感じる。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
都内の公園で現職刑事が手足を切り取られ木に吊された姿で発見される。
今回で5件目。
辰巳署の警部補村上緑子はこの警察官殺害死体遺棄損壊事件の合同捜査本部付を任命される。
関係者の聞き込みから緑子は、被害者らが歌手の山崎留菜のファンクラブに入会していたこと、また1人は10年以上前の現職刑事による女子大生殺害時件とそれに伴い起きた誤認逮捕の件を調べていたことをつきとめる。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
カリフォルニア警察の男女ペア、ハリーとコニーはハンバーガーショップで昼食をとっていた。
そのとき店に入ってきた男が突然銃を乱射し始め、二人は男の手榴弾に手を焼きながらもようやく犯人を射殺する。
しかし恐怖の出来事はそこから始まっていた。
ホームレスの母と子、浮浪者の男、そしてハリーとコニーは、何か超自然的な力を持つ得体の知れない男に追われることに。
[採点] ☆☆☆
[あらすじ]
東京オリンピックも近い昭和30年代後半。
おれは中学3年で、番長グループにも属さず、かといって穏和な進学勉強派でもなく、友達の策次やアームと好きなことをして過ごしていた。
ある日学校の副番長と対決することになり、互角だったがグループの連中に集団でリンチを受ける。
そこで本物のやくざの叔父の「ゆうさん」に月謝を払って喧嘩を教えてもらうことに。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
日本のプロ野球をお払い箱になった投手の加倉は、台湾プロ野球で八百長に手を染めていた。
終盤に登板し予定通り敗戦となった試合後、依頼者と対立する黒道(やくざ)に八百長仲間と共に拉致され脅迫を受ける。
加倉の潔白を信じ兄のように慕っている張俊郎は警察行きを主張するが、組織ぐるみの八百長の露見をおそれる球団幹部から加倉は俊郎をうまく抑えるよう要請される。
[採点] ☆☆☆☆
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▲ 「緑子シリーズ」
警視庁の女刑事村上緑子を主人公にした作品群で、犯罪ミステリーであると同時に恋愛小説、性愛小説の面を色濃く持つ。
1作目「RIKO −女神(ヴィーナス)の永遠−」は横溝正史賞受賞作。
2作目は「聖母(マドンナ)の深き淵」。