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22  vol.23 「ちゃっきり節」と白秋と
2021.10.28 Thu.
 昨年、静岡県の誇り「富士山」が世界文化遺産に登録されました。併せて静岡市の「三保の松原」も大逆転で構成資産に登録されました。また平成22年には近隣の「久能山東照宮」が国宝に指定されました。
 「三保の松原」(静岡市清水区)は約7キロの海岸線に5万4千本の松が生い茂り、羽衣伝説の舞台となった「羽衣の松」があります。駿河湾越しに見える富士山は圧巻で歌川広重の浮世絵にも描かれています。
 「久能山東照宮」(静岡市駿河区)は徳川家康を祀った最初の神社であります。家康の遺命により遺骸は久能山に埋葬され、徳川秀忠の命で造営された社殿は権現造の発祥とされています。
 さて静岡の民謡に北原白秋作詞による「ちゃっきり節」があります。新緑の茶畑の茶摘み風景を謡ったものですが、実はこれは地元の遊園地開園を記念して観光宣伝のPRソングとして作られたものでした。沿線の観光と風土産物を紹介していて、何と30番まであります。
 昭和2年、静岡鉄道から静岡を代表する詩を書いて欲しいと依頼された白秋は静岡に投宿しました。酒びたりの毎日で少しも詩を書いていませんでしたが、ある夜お座敷で芸者さんが空を見上げてふと洩らした一言「きゃあるが鳴くんで雨ずらよ」(蛙が鳴いているから明日は雨だろうね)という土地の訛りが入った言葉を聞くと、はたと膝を打って人が変わったように原稿に取り組んだそうです。後日談によると白秋は酒を隠れみのに土地の様子を探り、歌詞のネタを集めていたと云われています。
 もちろん「富士」「三保」「久能」も歌詞に謡われています。ちなみに「ちゃっきり」とはお茶を刈るハサミの音(チャキチャキ)とお茶をかけたものです。
 今年も「ちゃっきり節」の聞こえる季節となりました。冬場の天候に恵まれて、おいしい新茶が出来上がりました。当店自慢の「やぶ北深蒸し茶」をはじめ白銀屋の新茶をどうぞお楽しみください。


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