静岡はプラスチック模型=プラモデルの生産が盛んです。静岡県全体の出荷額は全国シェア92%を占め、特に静岡市だけで86%に及びます。これは市内に世界的に有名なT社の本社やB社の生産拠点、国内の主要模型メーカーが集中しているためです。精巧で高品質、その歴史の長さと圧倒的なシェアから「模型の世界首都」「模型の聖地」と呼ばれ世界中の模型ファンが集まる街として親しまれ、毎年5月の「静岡ホビーショー」には多くのモデラーが集結します。私も先代の影響で幼少より軍艦や戦車のプラモデルを作るのが大好きでした。
なぜ静岡に集中しているのでしょうか?そのルーツは徳川家康公に遡ります。徳川幕府が久能山東照宮や静岡浅間神社などの造営を行うために全国から優秀な宮大工、建具職人、彫刻師、漆塗り職人などを駿府に集めたことに始まります。その後職人の多くは駿府に定住し、江戸時代静岡県中部では豊かな自然に囲まれた地形を活かし漆器や下駄、木製家具などの木材加工の産業が発達しました。現在でも漆器、雛具、仏壇、木製家具など木漆産業が地場産業として根付いています。
戦前木漆産業で大量に排出される廃材の切れ端を再利用しようと木製模型の製造が始まりました。職人の匠がプラモデルの源流となる木製模型に受け継がれたのです。
戦後精密で簡単なプラモデルの登場により木製模型メーカーはプラスチック模型メーカーに転身を余儀なくされます。幸いにも徳川幕府の拠点として東海道、清水港を擁し、製茶業、水産加工業が発展していたためラベル印刷、金型成形の技術がありました。木製模型のノウハウも活かし、この時代を勝ち抜いて現在の地位を築いたのです。
静岡市では官民一体で「静岡市プラモデル化計画」として市内各所にプラモニュメントを設置し「ホビーの街」を目指しています。
今年も残り僅かとなりました。お茶の美味しい季節到来です。白銀屋銘茶を飲んで心も体も温かに良いお年をお迎えください。
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