< 瀬戸内寂聴語録の一部 >
● 人生晴れる日もあれば曇る日もあります。
良いこともだけど、悪いことも長くは続かないの。これを「無常」といいます。
物事は全て移り変わっていく。それを「無常」といいます。 諸行無常
● ワハハとホロリで心スッキリ
嫁と姑はどうせ初めから仲が悪いんです。「この人は私の好きな亭主を生んでくれた人だから、私に
会うまで育ててくれたんだから」と思うと姑も良く見えてくるし、嫁だって「家のバカ息子が連れき
たんだからしょうがないな。あの子を産んだのは私なんだから」と思えば許せるんですよね。
● そうやって笑うといいのよ。一日に何度も笑うことを見つけてワハハと笑うと血の巡りもよく
なって気分も明るくなるわね。そうすると病気もあまり寄り付かなくなる。病気というのはやっぱり
湿っぽい顔をしていると寄り付きますよね。だからなるべく元気でいましょう。
● あんまり簡単に別れないほうがいいですよ。別れて男を変えても変えてもだんだん悪くなります。
そして最後は尼さんになります。(爆笑)
● 人間は生れたときから孤独なんですよ。一人で生れて一人で死ぬのね。
● 人間というのは欲を言えばきりがないんですよ。
●小さい家に住んでいたら大きい家に住みたい、大きい家に住んでいたらいい家具が欲しい、とかね。
いつまでたってもきりがない。そんなにお金があったって着物があったって、宝石を買ったって、
モノというにはそれだけのものなんですよ。つまらないの。
恋人だって一人で十分でしょう?亭主も一人で十分ね。
● 自分が死ぬより愛する人が死ぬのは辛いですよね。だけど人間は「忘れる」ということを仏さま
からいただくのです。そうやって皆、乗り越えていくんですね。
● 亭主だってもう20年も30年も付き合ったら、皆好きじゃないでしょう、本音を吐けば。
向こうもそう、女房と畳は新しいほうがいいと思っている。それを辛抱してくれているんだから、
こっちも辛抱しなきゃいけないのね。
● 皆さんがよい宗教か悪い宗教か見わける方法はたった一つ。お金を取るか取らないかですね。
金儲けするのは絶対だめなの。
※ 出家について
死んだらどうなるのかってよく聞かれるけど、そんなこと分からない。だってまだ死んでないんだ
ものね。でも分からなくたっていいじゃありませんか。いろいろ予定を立てたってその通りになら
ないことが多いでしょう。だから先のことをくよくよ思い煩うことないですよ。
もう仏様に任せておけばいいんです。
※ 修行について
私達は死ぬまで可能性があるんです。死ぬまで自分を変革することができるんですね。
だから年を取るということは、枯れてしまうことではないんですね。自分の中にどんな可能性が残って
いるか、それを引き出すことが「生きること」ですから。
※ 釈迦について
とにかく「自分は元気だ」とか「幸せだ」とか、そんなふうに思うことね。
そうすると病気が逃げていくんですよ。病気というのは陰気なことを考えていると、底を住みよく
思ってくるんですね。だからなるべく元気でいましょう。
※ 巡礼について
息子が連れてきた嫁さん、気に入らないと思ったらやることなすこと全部きにいらないでしょう?
覚えがあるでしょう、貴方たち。そういうのはいけないの。あなたたちがそう思ったら向こうもそう
思っているんだからね。もっといいところはないかなって、そういうふうに見ましょう。
※ 無常について
子供のできが悪い。それはあんたの子だからできが悪い。そう思えば腹たたないでしょう。それで
ニコニコしていれば長生きしますよね。原因があって結果があるんだから、そう思ってイライラしない
ことですね。
※ 彼岸・六波羅蜜について
笑いましょう。それでいいんです。それが人を幸せにするんですね。
泣いたら美人という人がいるわね。でもそれはよっぽどの美人でないと。我々は泣いたらお多福に
なるの。 なるべくなら笑った顔がかわいくみえますから、笑っていましょう。
※ 愛について
愛するということは、相手が何をして欲しいのかを考えること。自分の好きなものは相手も好き、
そうじゃないの。間違いの多くは、自分がしたいことを相手に押し付けてそれで自分は愛したと思って
いるんですね。それが分かれば人間関係はスッとうまくいくんです。
※ 老いについて
亭主の浮気も責めてばかりいないで「私の好く人を好く」とおもえばいいのよ。
誰にも見返られない亭主を持ったって嬉しくないじゃない?
そういうふうに視点を変えるといいのね。自分が明るくなるように視点を変えること。
※ 死と墓について
この世で精いっぱい生きることが大切なの。我々はね。
私は精一杯この世で切に生ききったならば、いつ死んでもいいし、後のことなんかは仏様任せで浄土
へ行こうと地獄へ落とされようと文句は言わない。今一生懸命に生きることが私の生き方だと思って
いるんですよ。たとえどんなに立派なお墓を建てたってね。
※ 祈りについて
普通の奥さんになれるということはひとつの誇りなんですよ。
人に奉仕するということは、とても美しい尊い行為なんです。私なんかは専業主婦になれなかった
から、こんな坊主になっちゃった。
※ 定命について
いくら髪を染めてもパックしても年は隠せない。それはもう諦めましょうよ。
歳月というものは逆さまには流れないですよね。60歳が嫌だから30歳になりたいって、それは無理
でしょう? やがて死んでいく、それはもう逃れられないことなんです。
※ 生きる喜び
自分の幸せだけを考えているだけでは本当の幸せではないんですね。
今、一緒に地球上に生きている全ての人びとが、一人残らず幸せにならなければ、真の生きる喜びと
いうのは得られないのだとこの頃考えます。
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