アテナとケンスウ、それぞれの事について。麻宮アテナと椎拳崇の話その2


ここからはしばらくアテナの話をする。

私の中のアテナは超能力戦士の女の子のままで止まっていたが、9年ぶりに調べてみると彼女の設定は凄い事になっていた。何でも中国の山奥で人知れず修行する超能力戦士日本の女子高生美少女アイドル。・・・無理だ!絶対無理だ!アテナの設定考えた奴ァ何考えてんだオイ。

2003の戦闘コスを初めて見たときはひっくり返るかと思った。ここまでくるとケンスウはキープというよりも、こんなのをあと5年も続けたらもうケンスウ以外にもらってくれる人いなくなるんじゃないか?

いや今時「もらってくれる」なんていう言い方しないだろうが彼女はレトロゲーキャラだし、うん。

真面目な話。アテナはSNKの元祖ヒロインでKOF古株組だから皆あれをみても「なかった事にしてください」「偽者です」と嘆いてもらえる訳だが、もしいきなり2003の調子で新規キャラとして投入してたら果たして受け入れられただろうか。まだミニョンの方がマシだ。

さすがにXI以降はマシになっているようで何より。

しかしかつてネット上のSNKは「KOFスタッフはオリキャラ主役の京&庵ばかり大切にしている」という質の悪い同人サークルのような評価だったが、アテナの設定を見ると本当にそう思った。

他に酷いと思ったのはタクマの設定だ。私は龍虎の拳は餓狼SPでのゲスト出演したリョウしか知らないので、KOFでコミカル担当になっている事自体は腹の立ちようが無いんだが・・・。

タクマは昔幼い子供2人を捨てたも同然の状態だったのよね?しかし再会してからは幸せに暮らして’94の時点ではメキシコに支部まで出していたのに一体何をやったか知らないがいつの間にやら極貧暮らしに舞い戻り。しかもかつて子供達にあんな生活を強いたにも関わらずKOFにおけるタクマのキャラ性はいわゆる迷惑オヤジだ。
 ギャグキャラと割り切っても人としてどうかと思った。よっぽどオールドユーザーを敵に回す気持ちが無いとこんな設定書けんし、新規ユーザーにも果たしてこんな奴がウケるのか?

SNK倒産からしばらくの間はいわゆる暗黒期だったらしく、キャラどころかゲーム自体が酷い状態だったそうだ。私は最悪の時期にファンになったんだなあ。逆に考えればだんだんマシになっていく姿を見られるのだから良かったといえるのかもしれない。

アテナの話に戻るが、そもそも彼女は元祖ヒロインなのでさまざまな場面で出番自体は多い訳よ。半分くらいはあくまで別人のご先祖様のような気もするけど。
 これはやはりアテナはSNKのアイドルという位置づけなんだろう。成功しているかどうかは知らないけれど。

しかし肝心の彼女のホームグラウンドであるサイコソルジャーチームにおける彼女の存在はどんどん微妙になっていく。そもそもネスツ編以降サイコソルジャーチームは男性陣主体で話が進んでいるからなあ。これはアテナはSNKのアイドルではあるがサイコTの主人公はケンスウであるという事か?

しかしケンスウが龍の気があるならアテナは鳳凰の気があるのではと思うのは私だけだろうか。何よあのXIのリーダー超必殺技。まんまフェニックスの力じゃないか。

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ここからはケンスウの話だ。彼は2003では修行のために一回欠場。XIで無事復活したケンスウであるがネスツ編以降なんだか彼は大変な事になっている。

超能力の喪失と復活。そして龍の気・・・。今後ここら辺の設定に決着を付けてくれるのかどうか解らないが、これらの事と同時進行でアテナのアイドル化に拍車か掛っているのを鑑みるにつけやはりサイコソルジャーチームとしてのメインはケンスウに移っているのだろう。

サイコソルジャーとしてはアテナもケンスウも同格なんだから、主役がケンスウに移ってもそりゃ問題は無いだろうが。その点はオリジナルキャラが悉く派手な設定のラルクラよりはマシかも知らんが。

何かなあ。ケンスウとアテナは最早別々の道を歩んでいるなあ。いつかはまた2人の道が1つになる日は来るだろうが、それが具体的に何時なのかは皆目見当が付かない状態だ。タイミング外しちゃってる感じ。

それにしてもサイコソルジャーチームはメインストーリーとは全然関係の無い所で自分たち独自のドラマを繰り広げている印象だ。それの良し悪しの判断はおのおのに任せますが。

あちこちで言われているが、終いにゃ宇宙ステーションで秘密結社のボスと戦い地球を救うという格闘大会としてありえねえストーリーのインフレを引き起こしたネスツ編。そこまでやった3年間を全否定しかねない、現状で最大の設定インフレキャラがケンスウである。

ここら辺の事は一応今でもなかった事にはなっていないようだが、果たして決着を付けてくれるのだろうか。個人的には描ききってほしいが真正面から取り組んだらKOFのストーリーが狂いかねない気もする。

しかし今まで散々暴走キャラを見てきただけに、そこまで強い力を一回欠場して修行したらあっさり制御できたというのはある意味斬新なパターンだ。しかも敵がそれを認めているし。ジャンプのバトルマンガでこんな展開やったら叩かれるだろうに。

さてユーザーには超能力無い方が強かったと言われる彼。ちなみに筆者自身はFEだったらコアゲーマーを自負しているし、あの超長いDQ7を裏ダンジョンその2まで2週もプレイしたが、格ゲーはド下手な上にPS版しかプレイしていないので強さの違いはあまりよく解らなかった。

でも彼は超能力を無くしたのだから、普通に考えるならば弱くなっているはずである。それでも彼はKOFに出場し、そしてきちんと立ち回れるのだ。能力の無くなったケンスウも決して凡人ではなく、拳法家としても高いレベルにあるのだろう。

これが超能力メインの戦闘スタイルであるアテナの超能力がなくなっていたら彼女試合で殺されないか?いやこれは暗黒期のアイドルアテナを念頭に置いた発言だった。彼女だって拳法家であった(過去形)そしてSNKが復活しつつある今、彼女は拳法家に戻っていくのだろう(未来形)

アテナは超能力がなくなったとしても、KOFで勝てるかどうかはともかくとして自分の身くらいは守れるだろう。

そういえばケンスウはレトロゲーキャラという事なんだろうが、かつてのプロフィールにおいて大切なもの:早見優のデビューアルバムだった事があった(2000まで)
 早見優はねーだろ。選挙権持っている筆者でもかつて早見優がアイドルだったなんで知らなかったぞ。さすがに無理があると判断されたのか2001からはなくなっている。ちなみにXIからはデルピエロのサインボールに変更されていた。まあそうだろうなあ。

2001といえば、あの頃は倒産直後だったのだから仕方ないかもだがケンスウの勝利台詞に噴飯物のフレーズがあった。例えば対韓国チームの「正義、正義言うてる奴が、ホンマ、一番あやしいで!」

キムもメイもお前にだけは言われたく無いだろうな。いや真面目な話、救世を謳う超能力戦士が正義否定したら誰が正義を主張すればいいんだよ。あんたはキムやグリフォンよりも正義面強いキャラじゃないか!

もう1つ。対龍虎の拳チーム。「龍や虎やいうても所詮は獣やからな 人間様には勝たれへんで!」

いや、リョウとロバートはお互いに相手が龍だ虎だと主張してるだけ!昔本当に変身していたお前だけには言われたく無いだろ!

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ここからはファン創作におけるケンスウとアテナの話をする。

彼らは如何にも少年少女キャラに見えるがその実18歳を超えている。そのせいかどうかは知らんが2人とも男性向けや女性向け創作ではかなり出番が多いようだが、ここでは一身上の都合により扱わない。筆者はエログロ駄目なんだ・・・。

一般向け創作の彼らはプラトニックな少女マンガワールドを繰り広げている話が多い気がする。こればっかり読んでいるとなんでこの2人は未だに公式カップルではないのか不思議になってくるくらいだ。ケンスウとアテナはちょっとレトロなラブコメがよく似合うと思う(このコーナーではあと何回レトロという言葉を使うだろうか)

2人の仲が公式と違い親密な創作においてでも、少女マンガの世界と同じくらい多いのが不遇・薄幸設定だ。解り易く言うなら、

監禁された少女と排除された少年の物語。中国の山奥の道場で出会った彼らの心には初めて光が差し込んだ。もう2度と彼らの心を暗闇が支配する事は無いだろう。

みたいな、もっと切実な理由で親密な設定だ。こう書くとオタきめぇ、腐女子イテェと思われるかもしれないが、普通の社会に生きる超能力者という設定をまともに取り扱おうとするとどうしてもこうなり易いので仕方の無い部分ではある。

筆者はSFが好きだが超能力モノには明るくないどころか敬遠すらしている。超能力モノといったらまず不幸設定がオプションでついてくるので読んでいて良い気分にはなれないからだ。筆者はエログロは駄目なのだが、この手の話は人間の汚い部分を見せ付けられるようなメンタル面でのグロが多い気がする。

もちろん普通のグロもある。超能力者側が力を暴走させて相手の頭を弾け飛ばしたり身体を内部から破壊させたりする話で、ケンスウの同人等でも稀に見かける。幾ら頑丈なKOFの皆さんでもそんな技使われたら絶対に死にます。格闘大会に出場するのはどうか止めてもらえませんかと言いたくなる。

ようはこの手のキャラにおいては不幸設定はオプションと言って良い。もちろん特殊能力を持った人物が主人公でも全く迫害されず、地球の存亡が掛った事件を解決してその子もハッピー地球もハッピーというシリアスハードSFもあるので絶対とは言わないが。

KOFでも包は薄幸設定だし、ケンスウはどんな育ち方したか解らないし、アテナも・・・。麻宮家の両親は何を考えて高校生の娘を中国の山奥に修行しに行かせているんだ。やっかい払いと思われても無理ないわ。

ただ個人的な話を述べるなら、やっぱり不幸設定は見ていて辛い。アテナはまあともかくとして、ケンスウが何とか不幸にならない設定が無いものかと調べてみたらこんなのがあった。

ケンスウは中国人である。日本において不思議な術を使う者と言ったら忍者や修験者や陰陽師だろうが、中国なら仙人や道士の分野であろう。

つまりケンスウは幼い頃から本物の仙術が使える道士様として道教の廟の中で暮らしながら崇められていたという創作を見つけた。元斎翁は仙人と言われている。仙人と言ったら道教だ。これなら不幸設定にならないで済む!

同じ不思議な力を持つ男の子でも、普通に超能力モノといったら不幸設定が付いて回るが、中華文化圏で仙術を使う道士様だったら何か崇められそうな気がする(偏見?)

話は元に戻して個人的にはちょっとレトロでも幸せを絵に描いたような少女マンガの方が好みかな。でも例え不幸な育ちだったとしても是非2人で幸せつかんでほしいと思っている。

ちなみに筆者もここはひとつ2人が幸せカップルになる話でも創作しようと思い立ちプロットを組もうとしたが、途中で破棄した。

従来の凝り性とSF好きが災いして、超能力者同士の恋人達はどんな会話をするだろうかと考察したらどんどん別人になってしまったのだ。デスノの終盤のライトとニア以上に周囲からは計り知れない関係を築いてしまった。ちなみにライトとニアはお互いの手の内の読み合い頭脳戦という内容らしいが、はっきり言ってエスパー同士の会話にしか見えなくて毎週ついていくのがやっとだったっけ。

少女マンガで「つないだ手から相手の思いが伝わってくる」みたいな場面がよくあるが、この場合は比喩でなく本気で気持ちが伝わるんだろうから。このように本来は読んでてこそばゆくなるはずのシーンもサイキッカー同士だったら薄ら寒くなるんだろう。

やっぱり超能力者という設定を真正面から取り入れようとしたらまず間違いなく変な方向に話が進んでしまうだろう。


あとがき━━ケンスウとアテナの事は好きというよりも「筆者の小学生時代の記憶の中にあった、正義の味方のサイキッカー少年少女」という個人的ノスタルジックなキャラである。だから今でもシリーズが続いているのは嬉しいんだが、・・・ケンスウの設定インフレは結構嬉しくも不安だ、でもアテナは・・・アテナは・・・。

わりと倒産後のSNKに好意的・中立的なサイトですらアテナに関してはフォローし切れないっぷりが文面から伝わってくる。

普通キャラが痛い言動をしたらそのキャラ自身を叩くんだろうが、アテナの場合はもはや同名の別人扱いで「かつてのアテナよ今何処」といった調子だ。既に嘆きの域である。別に彼女のファンサイトですらない場所でもこうなんだという現状は、下手に叩かれるよりも末期的だろう。

ちなみに筆者自身も2003辺りの彼女はノスタルジック云々抜きで椅子から転げ落ちるかと思った。格ゲーじゃねえどころか正義のヒロインキャラですらねえ!

ケンスウの扱いはある意味アテナとは逆だなあ。彼女は清純派で性格の良いお嬢さんがあんな調子になっているので嘆かれているが、彼は単なる2Pもしくはお笑い担当から株を上げているのだから。

それにしても普通好きなキャラが強化されたら喜ぶべきだろうが、ケンスウの設定は明らかにインフレだから素直には喜べない。ロンの台詞を信用するならネスツ編の3年間を全否定するんだぞ?ジャンプだったらロクな事にならないよ。

でもケンスウが能力の事で悩んだり、’99のEDでアテナを助け2000のEDで包を助けた辺りは好きだ。彼はもう子供っぽい男の子ではなくて青年と言って良いだろう。女性や子供を助ける事ができる一人前の男性のポジションだから。

この言い方も古いし少なくともアテナは絶対守ってもらう系キャラじゃないけどさ。レトロゲーキャラだから、昔の人だから。うん。

(2007.03.24)

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