KOFサイコソルジャーチームの麻宮アテナと椎拳崇の話。


*SNK話は6ページあります。まずは1ページ目。

数年前、筆者の家にあった格ゲーはスト2ストゼロシリーズとヴァンパイアシリーズばかりだった。両方ともカプコンだ。家にあった格ゲー4コマやアンソロもこの2つの物しかなかった。唯一の例外は小学生時代に弟が買ってきたスーファミソフトの餓狼伝説スペシャルである。

もうジジイが突如マッスルになったりデブが巨大化したりと弟のプレイを見ているだけでも楽しかった。特にお気に入りだったのがキムだ。当時は韓国人という設定は非常に珍しく、テコンドーなる未知の格闘技で戦う礼儀正しい若いパパさんというキャラ像が好きだった。

SNK関係では覚えている事がもう1つだけある。あの当時はKOF94が格闘ゲーム界で旋風を巻き起こしており、カプコン派だった筆者も名前だけはよく聞いていた。その時に立ち読みした本に彼らは載っていた。

ケンスウとアテナという名前のアジア系らしき男の子と女の子が、凄いお爺さんであるお師匠様を連れて格闘大会に出場する。年齢は18歳と17歳らしいがもう少し下に見える。格闘スタイルは超能力+中国拳法。普段は中国の山奥で修行しており正義と平和のために戦うサイコソルジャーである、と。

とにかく強烈に印象に残った。具体的に言うと「出るゲーム間違えて無いか?」という感じで違和感バリバリに。

いや2D格ゲーキャラはほぼ全員が超能力としか思えない動きをするし、当時既にカプコンにはベガもいた。しかしベガは言ったら何だがあ〜ゆ〜キャラなので格ゲーにいてもまあ良い。格ゲーキャラはほぼ全員が異能であるが、それでも「正義の味方の超能力少年少女キャラ」はアクションかRPGのキャラとしか思えなかったのだ。

もう1つの違和感は“サイコ”ソルジャーという肩書きだった。当時小学生だった筆者でもいい意味で使われない事は感づいていた。この人達の場合はサイキックとかSPIとか名乗るべきではないか?そんな疑問を持ったが、いつしかそれも忘れ去り9年経った。話は2003年に飛ぶ。

それは確か日本SF界のパイオニア星新一のできそこない博物館を読んでいたときのはずだ。いわゆるボツネタ集だが、その中にはこんなのがあった。

山奥で修行する超能力者の一団。しかし様子がおかしい。「こら。岩が50センチも上がっているぞ。もっと減らせ!」実は世の中に溶け込むのを目的とした超能力を無くすための修行。

私の脳裏には9年前の少年少女が思い浮かんだ。彼らは一体どんな修行をしているのだろう。まさか無くす為の修行はしていないだろうが、格闘大会用に能力を選別している可能性はある。もしくは持っている超能力自体が実戦向きではない説も取れるが、低い能力であったとしても、例えば「5秒先しか見られない未来予知」程度でもできれば有利なんてもんじゃない。

これは後の話だが、アテナに関してはどこかのサイトで「心臓を握りつぶせば簡単に勝てますが、彼女はやさしいのでそれをしないのです」なんて書かれていた。そこまで物騒ではなくても能力で相手の足と利き腕を使えなくさせれば勝てるだろう。でもそんな戦い方していたら二度と招待状は来なくなるだろう。なのである程度能力を抑えているのではないかと思ったのだ。

能力を抑えていると言ったらあれだが、格ゲーキャラなんか全員異能だ。もし本気で戦ったら毎回サムスピみたいに蘇生能力のある黒子でも用意しないといけないだろう。多分、急所攻撃はNGくらいの感覚で能力を抑えているんじゃないだろうか?

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そんな事を考えながら、せっかくなのでインターネットでKOFについて調べてみた。繰り返すが当時は2003年であった。「へえ〜、今でも続編作っているんだ。最新は去年の2002なのね。これが公式イラストか・・・」

最初に見た公式絵だから刷り込みの原理でそんなに酷くは見えなかったんだが、「KOFは美形キャラばかり参加させている」という批判が4年経った今でもにしっくり来ない。特に2002のオロチ勢に美を見出すのは難しい。ヴァネッサ辺りは美人だと思ったんだけど。

冗談抜きで’98買ってゲーム画面でオロチ勢を確認するまで彼らが人気キャラだとは信じられなかった。

他にもSNKが倒産して当時は泥沼状態とか何かもう色々と驚きだったが、とりあえずケンスウとアテナはレトロアクションゲーのキャラだったという話を聞いてやっと納得できた。出るゲームを間違えているどころが本当に別ゲームのキャラだったのか。

ちなみにレトロゲー出身という事でか4コマなどでは2人ともたまに年齢ネタで引き合いに出されるが、サイコソルジャーの初出は87年で怒が86年なので一応彼らはKOF最年長ではない。

しかしラルフ・クラークのような30代のオッサンが20年経っても30代と言い張るのは別に良いが、10代の男の子と女の子が20年経っても10代と言い張るのはやはり何か言われても仕方ないと思う。

余談だがPSで出たアドベンチャーはSF色が強いゲームらしいが、それではケンスウとアテナの生年がそれぞれ2001年と2002年らしい。これはまた豪快な。

話は元に戻して、個人的には20年経っても未だに恋愛関係に決着をつけていないのがどうかと思った。それでも例えば少女マンガみたいに2人とも恥ずかしがりやor鈍感でつかずはなれず友達以上恋人未満のじれったい関係を続けているならまだ解る。しかしケンスウがアテナに相当熱を上げているのにアテナはそれに気づかないというのは幾らなんでも不自然だ。

ファンの間ではアテナは実は性悪でケンスウはいざという時のキープというような感じになっているらしいが、個人的に言うならケンスウ側もそれに合わせているようにしか見えんぞ。不自然すぎる。

こういった恋愛ゲームめいた事はヴァネッサとラモンみたいなキャラがやるなら楽しく見守れるが、ケンスウとアテナでやられてもなあ。反応に困る。

ただこれらの事は簡単に説明できる。それは絶対にアテナがアイドルになってしまったせいだろう。アテナがアイドルだからこそケンスウをキープみたいな扱いをして、ケンスウも本気で進展させようとしているようには見えない行動を取るんだろう。

もし2人ともが初期設定の人知れず戦う超能力戦士のままだったなら、どんだけ2人が鈍くても’99から2000の時点でせめて何かしら進展はあっただろうに。というかそもそも超能力者同士でお互い鈍感って何よ。

そういえば’99辺りの4コマで「能力者同士なら(心を)読まれまい」と書いてあったものがあったが、珍しい設定だなあ。私が知っている話はテレパス同士でもお互い読み合えたがなあ。もしくは持っている能力の種類が人によって限定されているか。

でも能力者同士であると心を読めないのなら、アテナとケンスウが常軌を逸して、もうお前ら打ち合わせでもしてんのかレベルに鈍感な理由も解るかもしれない。

でもそれってどうだろうか。他の人の気持ちは全対戦相手からそこらへんの通行人に至るまで読めるのに、お互いの気持ちだけ解らないなんて却って不信感が募りそうだが。

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話は元に戻す。

だいたい人里離れた中国の山奥で超能力の修行をするハイティーンの男女2人だぞ?同人的に言うならお膳立てされすぎて逆に創作活動したくないレベルだよ。
 しかも’99の開始前の時点ではアテナはケンスウの為に髪を切り、EDでは命を助けてもらっている。そこまでやっても未だに「片思いの男の子とその思いに気づかない鈍感な女の子」関係を延々と続けるカップルなんて初めて見た。ある意味斬新だ。

筆者は娯楽界隈によくある何でもかんでもどれだけ無理があっても全て恋愛で物事を片付けようとする風潮は嫌いだ。しかし何事にも限度はあるもので、どれだけ不自然でも決して恋人関係にならない破局もしないというのもまた何だかなあ。この場合は恋愛で片付けた方が良いんじゃないか?


あとがき━━昔は2人の事を出るゲーム間違えているようにしか見えなかったが、今は「神話の世界の住人や改造人間達や宇宙人共よりはマシかな」と思っている。

真剣に疑問なんだがネスツ編のKOF開催理由が今でも理解できない。格闘家のエネルギーがジェネレーダーに云々って何だ?特に2000はクーラ達とハイデルンがいれば事足りるだろ!何で格闘大会開くんだよ。

(2007.03.24)

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