僕は高校入学当初から医学部志望で、具体的に志望校を決定したのは高2の秋ごろだったと思います。東大にした理由は、人材や設備や予算などあらゆる面で日本一であること、国立で学費が安いこと、等いろいろありますが、スポーツ選手がみなそうであるように、高いレベルに挑戦したいというのが一番大きかったと思います。
結果的に不合格となってしまいましたが、目標を東京医科歯科大に下げていたら高3の秋からのがんばりは無かったので、今考えればこれでよかったのかなあと思います。
簡単に成績の推移を述べると、高3の夏の時点では不安定だった東大模試の成績も、11月には実戦29位、オープン54位、プレ16位と安定し、センターも無難に乗り切りました。しかし、本番前の二週間、受験のストレスや合格しなければならないというプレッシャーからか発熱と下痢が続くことになってしまい、ほとんど勉強ができませんでした。慶応の入試も東大の入試もふらふらしながら受けることになってしまい、結局全力を出し切れなかったことが心残りです。僕のクラスでも第一志望の大学に合格できた人は少なく、未履修問題のため三月に学校に行ったときに、みんな悔しい思いをしているけど表に出さないようにしているのが分かり、余計につらかったです。逆にこれらいろいろなことがあり、精神的に成長できた一年だったと思います。
二年生までに受ける模試は、有名私立校がほとんど受験しないし、三科目しかないので順位や偏差値はあまりあてになりません。僕の高校の周辺にはSやKといった大手予備校は無く、僕も友達も某会等を利用して自力で勉強するしかありませんでした。そのため自分が全国的にどのくらいのレベルにあるのかは判断が難しいところです。大学の友達に聞くと、都会では小学生から週に4,5回塾に行くなんて当たり前、長い間努力を続けてきている人が多いです。そんな人たちと、僕たちのように中学まであまり本気で勉強していない人が同じ土俵で戦わなければいけないのですから、いかに効率よくやるかが重要だと思います。そこで僕の経験上のアドバイスを少し書いておきます。あくまで僕個人の考えなので、自分にあった勉強法を見つける上での参考程度にしてください。
まず東大などレベルの高い大学をめざす人は、理系ならば理科をがんばるのが一番だと思います。この学校では数学ばかりやっている人が多いですが、センターも二次試験も数学と理科の比率は変わりません。でも、同じ点数が取れるようになるのに数学は理科の三倍以上の時間が必要だと思います。その上、二次試験のレベルになると、数学で安定して点数が取れるのは非常に難しいですが、理科は数学のように小間まるごと0点というのはあまり無いので、ある程度の点数は確実に確保できるようになります。
二つ目に、なぜ有名私立の人が難関大学に合格できるかを考えると、才能の面で言えば僕たちとぜんぜん変わりません。違うのは勉強量だけです。彼らは高2は確実に高校範囲を終わらせて、高3は演習ばかりやっています。
はっきり言って、一通りただ範囲を終わらせただけでは、普通の人には入試問題は解けないと思います。やはりどれだけ演習を
つむかにかかっています。だから全教科(特に理科は)少なくとも高3の夏休みまでに終わらせて問題を解いていってほしいと思います。ここだけは絶対に学校のペースにあわせようとか考えないでください。高3の秋に範囲を終わらせるようでは、よほど才能がなければ間に合わせるのはきついと思います。(実際先取りしておくと本当に楽だし、同じ量勉強するならテストで悪い点を取ってから勉強するより、先に勉強して良い点を取ったほうが気分良いと思います。)
このとき大切なのは広く浅くやって繰り返すことです。ある一分野ごとに完壁にマスターしていこうと思うと、次の分野が終わるころには前の分野をかなり忘れてしまうと思います。適当にやって全範囲のイメージをつかんでから、問題をやって少しずつ全体の知識を深めていったほうが楽です。それに、この方法だとやった分だけすぐ結果に現れるのでモチベーションを保ちやすい上、長期記憶になって忘れにくくなると思います。これはすべての教科にあてはまるとおもうので、実践してみてほしいです。そのために直前期以外にも大学の過去問や模試、模試の過去問等をうまく活用してください。
そして最後に、センター試験を甘く見てはいけませんが、あまり重く考えすぎないようにしてください。はっきり言って二次試験の対策をしていれば、理系の人は家でやるのは国語と社会だけで十分です。特に東大では、足切りさえなければ、ほとんど二次試験のスタートラインは同じ、なぜならセンター試験での200点は、二次試験での数学一間とほぼ同じだからです。僕も国語の点数の上下は、最後はあまり考えないようにしていました。これも時間の効率の良さを考えると、二次試験対策をしたほうが私立の対策にもなり圧倒的に有利だからです。
よく基礎ができなければ応用はできないといわれますが、基礎ができても応用ができるとは限らないし、応用ができる人は基礎もできます。僕の周りにも非常に優秀なのに簡単なものばかり繰り返しやって、もったいないと思う人がいました。6,7割できるくらいの教材を使うのが一番効率よく実力を伸ばせると思います。ちょっと難しいかな、と思うくらいのものにどんどんチャレンジしてください。
受験の前にはなかなか分からないかもしれませんが、僕は受験が終わってはじめて結果だけがすべてじゃないということが分かってきました。確かに、程度の差こそあれ、誰でも努力しなければ志望校合格はありえないでしょう。しかし、十分な実力を身につけて模試でA判定がでても落ちる人は落ちるし、E判定なのに玉砕覚悟で受けても、受かる人は受かります。どの世界でも当たり前のことですが、努力がいつでも必ず結果に結びつくとは限りません。でも身につけた知織は結果に関わらず、自分のものになります。結果を恐れず、精一杯がんばってください。