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失敗繰り返す「キリギリス型」
イソップ物語の中に「アリとキリギリス」の寓話(ぐうわ)があるが、受験生にも「アリ型」と「キリギリス型」がいて、好対照をなしている。
「アリ型」は春からせっせと冬の入試に備える。毎日、予習・復習を欠かさず、授業も休まない。疑問点は必ず質問して、その日のうちに解決しておく。「今日できることを明日に延ばすな」を実践し、学習事項を一つ一つ確実に習得していくので、成績も確実に上昇する。合格可能性は極めて高い。
一方「キリギリス型」は、冬までは十分時間があると、1学期はのん気に構えている。予習はまずやらない。復習もその日の気分次第だ。「明日があるさ」というわけである。遅刻が多く、授業をサボることもある。授業中に居眠りをすることもたびたびある。成績は伸びないが、さして気に留めない。たいして勉強していないのだから当然だと思っている。
しかし、2学期になると、さすがにのんびりしてはいられず、そろそろまじめに勉強しようという気になる。ところが、授業を真剣に聞いてもさっぱりわからない。2学期の学習内容は1学期の基本事項を応用発展させたものだから、1学期の学習を怠れば、理解できないのは当然である。それで授業に出ることはやめ、参考書や問題集を買って、マイペースで自習するようになる。
だが、参考書や問題集はいわば一方通行で、生徒の学力に応じて教えたり質問に答えたりしてくれるわけではない。そこが生の授業と決定的に違う点である。だから、思うようには勉強がはかどらず、次第に焦ってくる。すると、もっと良いものはないかと思ってあれこれ買い求めるが、結局はどれも似たり寄ったりで、途中までやっては投げ出してしまう。
試験日が近づくと、わからないことがあまりにも多いのでますます焦り、切羽詰まって「先生、どうやって勉強すれば短期間で力がつきますか」と相談に来るが、学問に王道はない。時すでに遅しである。「せめて、あと3ヵ月あればなあ」というのが口癖になる。
「アリ型」は女子生徒に多く見られるが、最近の女子大生の急増は、女子の進学率の上昇とともに、その勤勉さにも原因がありそうだ。「キリギリス型」は毎年、同じ失敗のパターンを繰り返している。基本をおろそかにすると、あとでそのツケが回ってくる。
受験勉強は「終わり良ければすべて良し」ではあるが、そううまくいくとは限らない。やはり何事も「最初が肝心」なのだ。
現役でも浪人(予備校生)でも失敗する生徒は共通している。
結局
「落ちてみて 初めて気づく 受験生」
「2浪して さっぱり分からん 受験生」
「毎日の 地道な努力が 実を結ぶ」
のうち、どの言葉を実感するのか …… 。
それを分けるのは授業に対する考え方・取り組み方(姿勢)であり、毎日の生活習慣である。
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