ウツボとアカシマシラヒゲエビ    Gymnothorax kidako  and Lysmata amboinensis
1993年5月 水深19m
アカシマシラヒゲエビはクリーニングするエビとして良く知られている。魚に付いた寄生虫等を取り除く。 魚は掃除してもらい、アカシマシラヒゲエビは餌を得ることができる。助け合いの例である。
この写真には、少し思い入れがある。図鑑やダイビング雑誌にこのような写真を見る度、到底素人には撮れない 写真と思っていた。そんな時このアカシマシラヒゲエビが三保にいることを知り、しかもウツボがクリーニングに訪れている と聞いた。そこでダメでもともと、とにかく潜ったらこのポイントに行って30分でも40分でも粘ってみようと決めた。
ネンブツダイやキタマクラは頻繁にやって来たが、ウツボはエビのそばまで来ることはあっても、クリーニングは 始まらなかった。運良くエビがウツボに乗り移ったのを見て近付くと離れてしまう。そういうことを何度も経験した後、ようや くこれを撮ることができた。
エビやウツボが警戒しないようやや距離を置いて待つ。エビがウツボに乗り移ろうとする気配がしたところで身構 える。いよいよ乗り移る行動が見えたと同時にサッと身を乗り出し、乗り移った瞬間にシャッターを切る。エビやウツボに考え る余裕を与えないのである。撮り終わって身を引く時にはエビもウツボも離れていた。この時初めてシャッターを押す指に確か な手応えを感じた。この写真を撮った頃を境に生態的写真に夢中になっていったように思う。