[寸評]
小さい子供のいる男やもめの家を1,2年ほどで渡り歩いている奇妙な女の行状と、女子大生が恋人の振る舞いに疑惑を抱き・・・という話が交互に綴られていく。
”ウエスタン”というのは「シェーン」のような流れ者の西部劇をもじっているのかな。
ともかくこの捉えどころのない不思議な女性のさすらい話が実に面白い。
終盤、その奇妙な行動の理由が明かされるのだが、納得できるかは、母親には絶対なれない男の私には微妙でした。
[寸評]
20〜25ページの短編9編で、いずれも猫が出てくるが、猫が主役の動物ものではない。
9話それぞれ、恋愛がらみ、職場がらみ、親子がらみ、不倫話等々、物語も設定も登場人物も、実に多彩な人間模様が楽しめる本だが、これといって印象に残るような話も特にない。
冒頭の一編を除き、かすかな情愛、かすかな熱情、かすかな危険な香りという味付け。
”犬”でなくて”猫”というところも特に効いていないのは残念でした。
[寸評]
イギリスの権威ある女性文学賞「オレンジ賞」の受賞作。
作品中、不思議な物語が二つ綴られる。
ひとつは作品名にある、”トラの嫁”と呼ばれたろうあの女性とトラの物語、もうひとつは祖父が語る不死身の男との賭けの物語。
架空の土地を舞台に現在と過去を自在に行き来する物語は、豊かな創作力と表現力を十分に感じさせるが、娯楽性を最重視する我がホームページの尺度ではこんな採点に。
サクサクとは読み進められず。
[寸評]
私立探偵マット・スカダーシリーズ、前作「すべては死にゆく」から6年近く。
作者も70歳を過ぎたが、思いもかけず新作が、それも期待以上の作品としてスカダー復活。
シリーズの流れからは「八百万の死にざま」の次に時期に当たる。
ストーリーはまさにミステリの教科書的な流れで、序盤からしっかりと読み手を引きつけながら、ダレることなく結末へと向かう。
ハードボイルドらしい台詞回しも楽しく、かつ懐かしくミステリを堪能しました。
[寸評]
よんどころない事情から飼い猫を手放すことにした主人公が、猫と共に引き取り手を求めて旅をするロードノベルっぽい作品。
その事情は3軒目あたりで薄々明かされるが、これが相当に切ない。
猫のナナが語り手となる部分も多いファンタジーであり軽い作品だが、サトルの性格そのもの、嫌みのない素直な物語で、泣けます。
うまく映画にすれば観客の涙を誘ってヒットするのでは。
しかしカバーの絵はちょっと雰囲気を壊しているね。
[あらすじ]
トラック運転手の望月は妻をがんで亡くし、小学4年を筆頭に3人の子供が残された。
近所に住む妻の母親が子供たちの面倒を見てくれているが、義母は足腰が悪い。
よく行く定食屋「いろは」食堂に、愛嬌のある顔をした広美という女が勤めていた。
ある夜勤の日、いろは食堂から自宅に夕食を届けてもらうことにして翌朝帰宅すると、広美が泊まっていて、子供たちとすっかり仲良くなっていた。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
美那は仔猫を助けてひとり住まいのアパートへ連れ帰った。
夜中の1時、駅からアパートへの道の途中、母猫と四匹の子猫が住みついていた空き地で、黒いジャージ上下の男女二人組が猫たちを段ボールに詰め込んでいた。
声をかけると彼らは車で走り去った。
ハッピーと名付けた猫は人懐っこく、朝出かけるとき美那はすぐ部屋に戻りたくなった。
夜、外で遊んでいても落ち着かない。
[採点] ☆☆☆
[あらすじ]
女医のナタリアは、隣国の村の孤児たちに三種混合とポリオのワクチンを接種する慈善活動のボランティアとして、車で国境を越える前の最後のサービスエリアにいた。
ポケベルの着信通知を受け祖母に連絡すると、旅先にあった祖父が隣国の辺鄙な街の診療所で亡くなったという。
祖父はナタリアに会いに行くと言って家を出たそうだ。
祖父はなぜ嘘をついてそこまで旅をしたのか。
[採点] ☆☆☆
[あらすじ]
私立探偵マット・スカダーは、AA(アルコール自主治療会)の集会で、同じ小学校に通っていたジャック・エラリーと再会する。
スカダーは禁酒してようやく3か月、一方ジャックは16か月を経過していた。
ジャックは禁酒の十二のステップの9番目、過去に自分が傷つけた相手に埋め合わせをすることに努めていた。
スカダーの禁酒が1年に近付いたころ、ジャックが何者かに撃ち殺される。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
5年前、その猫はサトルの飼い猫になった。
その猫は駐車場に停めてあるサトルの車のボンネットを寝場所にしていてサトルと顔馴染みになった。
ある夜、車にはねられた猫をサトルが助けて以来、雄猫なのにナナと名付けられ、サトルの部屋に住むことに。
そして5年後、30歳になったサトルは会社を辞め、引き取り手を求めて、ナナと共に車で旅立つ。
まずは幼馴染みの幸介のところだ。
[採点] ☆☆☆☆
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