[寸評]
昨年、米英のミステリ関係賞を複数受賞した犯罪サスペンスの快作。
主人公は、幼少期につらい出来事に遭い、以来声を出すことができなくなった。
そんな彼が伯父に引き取られ解錠師となっていく少年期と、現在の犯罪現場での仕事が交互に語られていく。
この構成は個人的には少々煩わしかったが、特に解錠場面が念入りに描かれており、なかなかの緊張感。
恋人との交流など、人間としての主人公もしっかり描かれている。
[寸評]
横溝正史ミステリ大賞受賞作で、ベストテン選びにも上位に顔を出している作品だったが、本格が苦手の私としてはやはり乗り切れず。
仕掛けは2本で、驚きの終盤になるところ、序盤からもやもやして薄々感じていたことが、やはりそうか、ということに。
2本目も1本目の変形なので驚きは薄い。
学園ものによくある、高校生の語りなのに無理に大人びたような台詞とかも残念。
事件の真相も説明を読まされているような気分でした。
[寸評]
物事の本質を見極める力のある、若い佐方検事を主人公とした短編5編からなり、社会性、ミステリ度、ドラマ性などバランスのとれたサスペンス集。
中には結末から組み立てたような”つくり”を感じさせる展開の話もあるが、いずれの短編もなかなかの盛り上がりを見せる。
とりわけ佐方検事のキャラクタ設定が良く、見てくれは気にせず、正義を求めてあくまで組織の中で奮闘する姿は爽やかだ。
校正漏れが散見されたのは残念。
[寸評]
「MM9」シリーズといえる短編2編と中篇2編。
少々理屈っぽいところのあった「MM9」より、驚きの物語がほぼ一直線に話が進んで結末に至るので、かなり楽しめました。
女性自衛官とか巨大なゴリラ?にまたがる金髪娘とか、かなりおたくっぽいところもあるが、他の星から来た怪獣の姿をした神様とかSFとしても着想には感心。
最初の3編は青春怪獣もの、最後の1編はSF色の濃いアクション宇宙怪獣もので、いずれも面白い。
[寸評]
新宿鮫シリーズの番外短編集で30ページ弱が10編。
鮫島が新宿署に転属された頃のエピソードやシリーズ第9作「狼花」の後日談など、たいへんバラエティに富んだ内容。
語り手も上司の桃井や晶であったり、亀有の両津巡査まで登場したりと、本編ではできない遊びも盛り込まれている。
ただ短編としての簡潔な切れ味は期待したほどではなく、ともかく大好きな作品の傍系ストーリーが読めたことでとりあえず満足というところ。
[あらすじ]
初仕事に向かったマイクルは、途中でバイクが故障しヒッチハイクの末、呼び出しから2日で青のチームの前に姿を見せた。
彼らが待っていたのは金庫破りだ。
3時間後、彼らはフィラデルフィアの西の高級住宅地にある屋敷の裏手に到着。
まず裏口のドアを解錠し主寝室のクローゼットの中の扉の奥の壁金庫へ。
マイクルは金庫の前面に頬を押し付け、まず解錠番号から探り出していく。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
2月27日、土曜日。
藤野学院高校女子バスケットボール部は八王子女子と練習試合を行い、中心選手である網川緑の最後の得点で薄氷の勝利をおさめる。
冬の全国大会準優勝チームとしては大苦戦だ。
網川は唯我独尊の個人プレーを続け、キャプテンや監督の声を無視して、試合終了とともに体育館を後にする。
それを僕・男子バスケ部所属の椎名康は見ていた。
[採点] ☆☆☆
[あらすじ]
県警本部で行われた県下警察署長会議で米崎東警察署長の南場は胃痛で脂汗を浮かべていた。
演台では警察学校同期で今は本部刑事部長の職にある佐野が、連続犯罪事件が検挙されないのは所轄の指揮官の責任だと主張している。
米崎東警察署管内では1年半前から放火事件が連続し、すでに17件、死者も3人出ていた。
まるで南場を吊し上げる口調だった。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
4階建てのショッピングセンターが倒壊した瓦礫の山の上に、傷ついた怪獣が巨体を横たえていた。
60m以上の胴体に大きな翼。
ミサイルが命中し、巨体のあちこちで肉が露出し、「ガイバーン」と命名された怪獣9号はぐったりとなっている。
そのショッピングセンターの地下には自衛隊員と男子高校生が閉じ込められており、自衛隊もその後の攻撃をためらっていた。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
新宿署のマル暴担当の大森は暴力団と共存し、堂々とうまい汁を吸っている。
その大森が私に課の新人のことで脅しをかけてきた。
新人の名前は鮫島、キャリアの33歳、階級は警部だが本庁公安から懲罰人事で飛ばされてきたらしい。
鮫島は署の管轄区域をひとりで歩き回り、防犯課が身落としてきた、又は故意に見過ごしてきた被疑者を次々に検挙していった。
[採点] ☆☆☆★
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