[寸評]
潔く痛快な剣の戦いが、わずか250ページをあっという間に駆け抜けた感じ。
とびっきりのチャンバラ劇に、妖術、幻術の類まで駆使して徹底的に楽しませてくれる。
幕間の沢庵和尚との交流も面白く、女忍者まで登場させサービス精神も旺盛だ。
物語が短すぎて、七星剣のうち、凄さが描き足りない者があったのはたいへん残念。
七星剣は倒れたが、まだまだ物語が続く要素は残されているので、是非とも続編を期待したい。
[寸評]
ハップとレナードのまさに懲りないコンビによるシリーズ第5作。
トラブルに巻き込まれっぱなしの2人が、またまたとんでもないトラブルにはまりこみ、震えが止まらないほど怯えながらも立ち向かっていく。
ストーリーそのものはちょっと乱暴に進み、無理矢理まとめたような印象もあるが、とにかく"濃い"人物が次々に登場し十二分に楽しめる。
全編を下品なジョークで覆い、笑い飛ばしてしまうが、実は非常にヒューマンかつ凄惨な物語。
[寸評]
「安政五年の大脱走」で気持ちの良い時代劇を披露した作者の青春もの。
1985年、TV「夕やけニャンニャン」の時代。
この物語を存分に楽しむには若干の同時代性も必要だが、その資格のない読者にも十分面白い。
話の展開はいわばお約束に沿ったものではあるが、野球を題材にするとパターン通りでもそれなりに熱くなってしまうのが不思議だ。
気軽な娯楽作であり、ハードカバーより文庫本のほうが似合うと思いますが。
[寸評]
「ブルー・ベル」が素晴らしかった探偵バークシリーズの第12作。
早々にパンジイが殺されてしまうが、本書の中でももう少しバークとの交流を描いて欲しかった。
片目を失い、犬の復讐を誓うバークの心情が本書だけでは十分伝わってこない。
中では、少年の頃精神病院を共にしたルーンとのエピソードが一番の読みどころ。
バークの"妻"になるカンボジア人ジェムも面白いキャラクタだが、後半はその天衣無縫ぶりも少々鼻につく。
[寸評]
評判の良い作品だが、私には合わなかったようで。
この兄弟、特に弟が語る、所々に出てくる蘊蓄がどうにも不自然で、読む気がしぼんだ感じ。
そんな小難しいこと、普通すんなりしゃべれるか、というような内容が青年の口から度々出てくるし、また放火現場の暗号にしても凝りすぎでしょ。
ただ、兄弟が幼い頃のエピソードなどはとてもいい味でそれは評価できる。
主人公たちが"いい人"なのは分かるが、好感は持てませんでした。
[あらすじ]
十七世紀前半、江戸幕府の初期。
槇十四郎正方は、修行で寺を巡りながら、父の仇樋沼潔斎を求めて旅を続けていた。
十四郎は幕臣土井利勝の甥にあたる。
その伯父から駿河大納言の命を守ることを命じられる。
駿河大納言は三代将軍家光の弟。
十四郎の敵は、将軍の剣道師範でもある柳生家に仕える七星剣と呼ばれる恐ろしく腕の立つ刺客たち。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
白人のハップと相棒の黒人レナード。
レナードはゲイだ。
2人は鳥肉工場の警備員をしているが、ハップは仕事帰りに職場の駐車場で女を襲っていた男を発見。
恐ろしく手強いやつだったが、なんとか警察に引き渡す。
危うく一命をとりとめた被害者はなんと工場の経営者の娘だった。
ハップは10万ドルと1か月の休暇を貰い、レナードと船旅へ出ることに。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
岡村は都立小金井公園高校野球部のキャプテン。
徹底的な勉学管理型の校長のおかげで運動部はろくな活動をしておらず、野球部も通算成績0勝7敗。
岡村のいる2年で一番成績の悪いF組に転校生がやってきた。
沢渡俊一。
中学時代の同級生、野球部のエースピッチャーで、推薦で名門高校に入学したはず。
事情を聞くと、肘を壊し転校してきたという。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
ニューヨークの探偵バークは、身代金の受け渡し役を頼まれる。
10年前に行方不明になった男の子。
ロシア系アメリカ人の両親のもとに突然誘拐犯から連絡が。
取引場所で、金と引き換えだったはずの少年がバークに発砲。
飛び出した相棒のマスチフ犬パンジイは敵に食らいついたが撃たれて死ぬ。
死地を彷徨いようやく生還したバークは復讐を誓う。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
私は遺伝子情報を扱う企業に勤めている。
2才下の弟"春"は、母がレイプされた末にできた子供だった。
春は「性的なるもの」に憎しみに近い嫌悪を抱いている。
彼は、公共施設などに落書きされたものを消す落書き消し専門業をしていた。
私の会社が放火にあった。
ボヤで消し止められたが、春は、頻発する放火と落書きについてルールを発見したと言う。
[採点] ☆☆☆
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