◎02年2月



[あらすじ]

 イギリスはウィルトシャー州にある村の教会のオーティス・ジョイ牧師は、若く、ハンサムで、人当たりも良く、説教上手でおまけに独身。 村人の評判は高く協会はいつも満員だが、教会の金に手をつけていることを国教会の主教に知られ、彼を殺してしまう。 オーティスは主教を自殺に見せかけ、相変わらず村人の尊敬を集めているが、疑いの目を向ける者もいた。

[採点] ☆☆☆★

[寸評]

 罰当たりな牧師を主人公にした悪漢小説で、いかにもイギリスらしい皮肉とユーモアに満ちた作品。 細かく言えば穴も結構あるような物語だが、純朴だが噂好きな片田舎の村人たちの描写も面白く、2つの顔を持つ主人公の魅力もあって終始気楽に楽しめる。 執拗に彼の正体を暴こうという者も登場させ、適度な緊張を加えるのも忘れていない。 いかにも巨匠が楽しんで書いたと思わせるミステリーで、最後まで退屈させられることはない。



[あらすじ]

  34才、女房子供持ちの駒井健一郎は商社に勤めていたが、事業失敗の責任を押しつけられて子会社にとばされ、結局辞職。 職安通いの毎日だ。 そこに現れたのが高校時代何かにつけてライバルだった天知達彦。 新聞社を辞めた彼は故郷の静岡県で衆院選に出るので共に戦ってほしいと健一郎に頼む。 2人は故郷に戻り、手探りで活動を開始する。

[採点] ☆☆☆

[寸評]

 政治はずぶの素人だが、意欲は誰にも負けないという青年(政治レベルでは)たちの奮闘ぶりを描いた選挙小説。 メインの選挙のイロハから、恋あり、不正追及あり、家族問題、友情、裏切りといろんな要素を詰め込んであるのだが、何かどれも中途半端で、はっきり政治小説か青春小説かカラーを明確にしたほうが良かったのでは。 立候補する天知達彦の魅力が今ひとつ伝わらず、また読み手としてこのようなラストは歓迎しませんね。



[あらすじ]

 クラブの用心棒をしている白人ハップには、恋人ブレットと、親友でゲイの黒人レナードがいる。 ブレットの娘ティリーは家を出て売春婦をしていたが、ブレットのもとを訪れた2人組から、売春の元締めに虐待されていることを知る。 2人組は元締めの金をごまかし逃げる最中。 ハップ、レナード、ブレットの3人は武器を調達し、オクラホマへティリー救出に向かう。

[採点] ☆☆☆★

[寸評]

 白人と黒人のコンビがジョークを連発しながら活躍するシリーズものの第4弾。 このページでも
「罪深き誘惑のマンボ」を載せています。 前半は絶好調で、下品で強烈なジョークと同じく下品で強烈なキャラクターが次々に登場し圧倒される。 一方後半はショットガンで皆殺し!という感じに殺戮場面も多く、次々に状況が変わりテンポが速すぎるほどで、もう少し書き込んで欲しかった。 それにしても「ボトムズ」と同じ作者とは思えない多芸ぶり(?)です。



[あらすじ]

  サラ金に追われ、勤め先の工務店の親方を口論の末に殴って車を勝手に持ち出した38才の伊達秀吉は、自殺しようにも死にきれない。 その時、勝手に車に乗り込んできた伝助という名の少年。 少年の家が豪邸と見てとるや、刑務所時代に先輩に教わった手口で身代金を獲ろうとさっそく少年の家に電話をかける。 その子が暴力団組長の息子とも知らずに。

[採点] ☆☆☆☆

[寸評]

 これは結構拾いものの面白さ。 比較的展開は速目だが、全体に何かほんわか、のんびりしたムードが漂っている。 この雰囲気は特に誘拐される伝助の素直なキャラクターによるところが大きい。 いい味出しているという感じだ。 やくざや警察官など登場人物も多く、それぞれ型にはまったキャラながら、巧く描き分けられている。 はっきりコメディーにもなりきれていない、やや中途半端なところは惜しいが、十分楽しめる作品。



[あらすじ]

 36才のフランス人女性エリーズは、爆弾テロに巻き込まれ、以後目も見えず口もきけず、左手以外手足を動かすこともできない。 それでも2年前、見事に殺人事件を解決し有名になった。 介護人のイヴェットとやってきたのは冬のスキーリゾート。 そこで彼女のファンと自称する者から不可解なプレゼントが。 その頃麓の町では女性惨殺事件が起きていた。

[採点] ☆☆★

[寸評]

 自由の利かないヒロインに次々と危険が迫るわけだが、読み終えるのに苦労しました。 前半、介護人がいない時に限って怪しい男がエリーズに接触してくるのだが、これを何度も繰り返すので、あぁまたかとうんざり。 派手なアクション場面も盲目の彼女の視点(?)で語られるので、なにがどうなっているのか様子も分からず。 終盤本当に意外な展開を見せるのだが、驚きはあっても面白くはない。 前作「森の死神」は面白いらしいが遠慮しましょう。


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