茶室建築由来記 茶室の由来
茶室の解体
ところが、今年こそは今年こそはと思っているうちに、いつのまにか4年近い歳日が経ってしまいました。定信師が
「早く持って行かねえと腐っちまうぞ。」
そんな冗談を言われたのも、その頃のことです。事ここに至っては、再建はともかく、一日も早く解体にとりかからぬ訳にはいきません。
そこで、なんとか大工さんや植木屋さんに都合をつけてもらって解体作業を始めたのは平成9年5月7日、解体後のすべての部材を大中寺に運び込むことができたのはそれから19日後の26日のことでした。
「ところで解体した跡地はどうするんですか。」
とその時私が定信師に尋ねますとただひと言、
「菜園にしたいんだよ。」
という返事がかえってきました。それは、よく考えてみれば、当然すぎるほど当然な返事だったのかもしれませんが、私がそのひと言を聞いたとたんに、
(なるほど、茶室を移して野菜を育てる か!)
ちょっと虚を突かれたような感じでそう思ったのは、それも一つの徹底した放下かもしれない、つまりは茶室を建てるのと同じことなのかもしれない−−そんな考えがちらっと頭をかすめたからでした。
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