第3回駿河梅花文学賞
梅花文学大賞
宮本苑生「へんしん」(詩集) 思潮社
こっちに おいで 私が 鳥肉を嫌いなわけ かあさんは 分かってくれない 三日に一度はあの店に連れていくの そこではね 痩せたおばあさんが しわしわの手で肉を切っている 時々 警戒するように せわしく首を動かすの おばあさん 鳥の化身だって 夜になると 仲間の首を絞めるんだって 今日も鋭い目でわたしを見たから 思わずかあさんの後ろにかくれたの すると 声だけやさしくして 「かわいい ほっぺだね」 だから 言ったの (私を捕まえてもむだよ どこにも 羽はないんだから) (すぐに生えるよ こっちにおいで) わたし トコトコ歩いて行った |
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