税務職員の公務員としての態度について
 
 私は、△△△△さんの代理人として、△△さんが受けた更正処分ならびに『青色申告の取り消し処分』に関して意見を述べます。
 △△さんへの税務調査は、貴税務署職員のAA調査官とBB調査官が担当しました。しかし、このときの税務調査は、貴税務署にとって最も上級の官庁に当たる国税庁が出した『税務運営方針』の趣旨とはまったくかけ離れたものでした。
 『税務運営方針』の基本的な考え方は、「税務行政の使命は、税法を適正に執行し、租税収入を円滑にすることにあるが、申告納税制度の下における税務行政運営の課題は、納税者のすべてがこのような租税の意義を認識し、適正な申告と納税を行うことにより、自主的に納税義務を遂行するようにすることである。税務運営においては、この課題の達成を究極の目標として、その基盤を着実に築き上げていくことを基本としなければならない」とし、「そのためには、税務当局が納税者を援助し、指導することが必要であり、我々は、常に納税者と一体となって税務を運営していく心掛けを持たなければならない。
 納税者と一体となって税務を運営していくには、税務官庁を納税者にとって近づきやすいところにしなければならない。そのためには、納税者に対して親切な態度で接し、不便を掛けないように努めるとともに、納税者の苦情あるいは不満は積極的に解決に努めなければならない。また、納税者の主張に十分耳を傾け、いやしくも一方的であるという批判を受けることがないよう、細心の注意を払わなければならない。」と書いてありますが、AA、BB両調査官の態度からは、近づきやすいなどとはとんでもない。△△さんがテーブルの上に帳簿書類を置いて「見ていってください」とお願いしていることにはまったく耳をかさず、ただ、ただ、自分たちの都合を△△さんに押しつけるだけに終始したのです。そして、自分たちの言うことが聞き入れられないとわかると、調査を放棄して帰ってしまったのです。
 『税務運営方針』の納税者に対する応接の項目の中に、「イ、税務という仕事の性質上、納税者は、税務官庁をともすれば敷居の高いところと考えがちであるから、税務に従事する者としては、納税者のこのような心理をよく理解して、納税者に接することが必要である。

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 納税者に来署を求めたり、資料の提出を求めたりする場合においても、できるだけ納税者に迷惑を掛けないように注意する。」「ロ、納税者の主張には十分耳を傾けるとともに、法令や通達の内容等は分かりやすく説明し、また、納税者の利益となる事項を進んで知らせる心構えが大切である。」「ハ、税務行政に対する苦情あるいは批判については、職員のすべてが常に注意を払い、改めるべきものは速やかに改めるとともに、説明や回答を必要とする場合には、直ちに適切な説明や回答を行うよう配慮する。」とありますが、この二人の調査官の応接態度はいったいどういうことなのでしょうか。これが、私たちの税金で働いている公務員の職務執行のあり方かと思うと腹が立って腹が立って仕方がありません。
 島田民主商工会が毎年行っている貴税務署に対する申入れの時は、「『税務運営方針』を勉強している」との回答が得られていますが、本当でしょうか。1992年8月17日に行った税務署交渉で、当時総務課長だった山下義男氏は「『税務運営方針』は過去のもので、もうないと考えていい。若い税務署員は、そんなものがあることすら知らない」と言い放ちましたが、実際にはこちらの回答が正しかったのではないのでしょうか。だとしたら大問題です。
 権力をカサに着るという言葉がありますが、度が過ぎると職権濫用罪になります。『税務運営方針』を守らなければならないという法律はありませんが、国家公務員法第98条は、「職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」と規定しています。『税務運営方針』は、あなた方税務署員にとっては最高の上級庁に当たる国税庁自身が出したものです。その性格からすれば、直接の上司の命令よりも優先して遵守しなければならない規範のはずです。
 国家公務員法に照らせば、これを守らないような税務署員は、違法行為を繰り返すとんでもない非行職員ということになります。私は山田謙司署長がAA、BB両調査官にどのような職務上の命令を下し、どのような帰命報告を受けたのか、そしてそれをどう判断して更正処分や青色申告の取消処分を行ったのかは知り得る立場にありません。しかし、もし、AA、BB両調査官が事実をありのままに上司に報告しているとするなら、山田謙司署長もこの点では全く同罪ということにならざるを得ません。いやむしろ権限と責任が重い分だけ罪は重いと言わなければなりません。
 とにかく税務署には、そして税務署の署長をはじめとする管理職と職員のみなさんには、せめて自らが所属する国税庁の元締めが自ら出した指針である税務運営方針を誠実に遵守し、それに則って日々の税務行政の執行に当たることを切に望みたいと思います。これが守れないと言うのであれば、行政組織の一員とは認められません。最上級官庁の出した指針を守る気がないのであれば、たとえその末端とはいえ、国家権力を行使する官公署の一つとしては明らかに失格です。私たち納税者はそんな泥棒猫のような役所に税金を取られたくありません。このことはしっかりと名古屋国税局や『税務運営方針』を作った国税庁にも伝えて下さい。
 以上申し上げ、このような状況の下で出された、△△さんに対して行われた青色申告の取消処分は、即刻取り消されるべきだということを申し添え、私の意見陳述を終わらせていただきます。
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