放課後はいつもの祓魔塾 1
「おっくむらくーん」
教室へ向かう廊下で燐は志摩に呼び止められた。勢い良く走ってきた志摩はとても上機嫌でスキップでもしそうな勢いだ。
「ん、何か用か?」
「あんな、奥村くんにちょっと聞きたいことがあんねん」
「?」
「あーでもちょっと恥ずかしなー」
志摩はにやにやと締りのない笑いを顔に浮かべながら身体をくねらせている。
「なんだ?何かお前今日気持ち悪いぞ」
怪訝な顔で燐は志摩を見た。勝呂は2人の間にさっと割り込むと志摩の脇を抱え上げ、無言で教室へ引きずっていった。
「???」
当惑する燐に子猫丸が声をかける。
「すんませんなあ、お手数おかけしますわ」
「つか、あれ何?どうしちゃったの志摩」
隣に座った勝呂に睨まれている志摩に視線を向けつつ、燐は子猫丸に尋ねた。
「ああ、志摩さんの悪い病気なんですわ。発作みたいなもんやけ、気にせんといて下さい」
「病気って大丈夫なのか」
勝呂がちらとこちらに視線を向けつつ言う。
「ま、いわゆる、恋の病ってやつや」
志摩は勝呂と燐とを交互に見つつ、勝呂に文句を言った。
「何で俺奥村くんに話しかけたらあかんの」
「お前は落ち着くまで私語禁止や!」
「そんな、殺生な」
志摩はへなへなと机に崩れ落ちた。
「文句言うなら俺らに面倒かけさせんようにし」
「面倒なんてかけさせてへんやん」
「あんなあ」
勝呂は志摩の胸倉を掴むと志摩を睨みつけた。
「毎度、毎度お前の尻拭いしてんの俺らやぞ」
「尻拭いなんて。ねえ、子猫はん」
「・・・・・・」
無言で子猫丸はため息をついた。
「どゆこと?」
きょとんと燐が尋ねる。
「志摩さん、特定のお人に熱を上げはると相手にしつこくしすぎるん。そいで嫌われるんがオチなんやけど」
「ストーカーか」
「ストーカーはひどいわあ、お兄さん」
「お兄さん?」
「お前んは、完全にストーカーや!」
勝呂が何故かあせったように怒鳴る。
「せやから、俺らが道外さんよう見張ってるんやないかい。中学ん時、何遍女の子の後着けて家まで押しかけてん、言うてみい」
「家まではよう行ってへんよ」
「それは俺らが途中で止めたったからやないか!」
「はは、せやったかなあ。でも、今日はおとなししてますよ。今日は」
「今日は、ってなんや」
「あー、思い出してもた」
志摩は机の上に突っ伏した。
「あ、落ち込んだ。浮き沈み激しいな」
「そうやねえ」
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