ラジオ・シャック

3バンド5級スーパー通信型受信機の製作

(画像をクリックすると拡大して見ることができます。)



5球スーパの運用
1967年頃に自作した3バンド5級スーパーをもう一度作り直しました。当時はメインダイヤルもバーニアダイヤルでしたが,その後ミツミの微動ダイヤルに置き換え,更にBFOは水晶発振へと改造を重ね,パネルもシャーシーも穴だらけ状態になっていたものをずっとそのままに物置に保管していましたが,一念発起して,最初に製作した頃の状態で作り直すことにしました。
当時は電源部分を別のシャーシーにしてケーブルで繋いでいましたが,今回は本体のシャーシーに組み入れて設置しやすいようにしてみました。
完成時に若干のハム音が気になりましたので,出力トランスの位置をシャーシーの上から内部に移した結果,少しは改善されましたが,余分な穴が残ってしまいました。
回路図,外観図は下記のドキュメントをご覧ください。外観図の詳細を見る場合はPDFのツールバーで拡大してご覧ください。
当初はAVC回路をDAVCとしていましたが,後で普通のAVCに変更(2009/6/11)し,更にAVC回路に検波管(6AV6)の片方の二極管部をゲートとして接続し,AVC回路が正電圧になるのを防止するようにしてみました(2011/6/12)。但し,今のところゲートの効果の程は不明です。
回路図(PDF 138kB)        外観図(PDF 168kB)


前面パネル
受信機の前面パネルです。Sメータ,微動ダイヤル,バーニアダイヤル,取っ手,ツマミはそのまま流用しました。モード切替をトグルスイッチからロータリースイッチへ変更したことやトグルスイッチの配置など,レイアウトを若干変えましたが,当時の雰囲気を残しています。
パネルの文字表示には以前からインスタントレタリングなどがありますが,今回はパソコンで表示文字をタトゥーラベルに印刷して貼り付けてみました。このラベルは,ちょうど昔駄菓子屋で売られていた「写し絵」のようなものです。透明の背景が一緒に張り付いてしまうのがデザイン的な難点です。


ダイヤル
メインダイヤルの文字盤を拡大した様子です。以前は微動ダイヤルに付属していた書き込み式の文字盤をそのまま使っていましたが,当時は周波数を校正する為の測定器などもなく,正確に周波数を目盛ることができなかったので,書き込みはあきらめていました。
今回はパソコンという強い味方ができ,インターネットで公開されているコイルの資料から周波数−バリコン角度のデータが得られたので,Jww−CADを使って文字盤を作りました。これを白色の粘着フィルムラベルに印刷し,オリジナルと同じ形に自作した0.5mmアルミ板のパネルに貼り付けて組み立てました。また,オリジナルにはありませんが,内部照明のためにパイロットランプを左右に配したため,同じ0.5mmのアルミ板で扇形の化粧パネルを内部前側に取り付けています。
一応トラッキング調整をしましたが,はっきり言って目盛りの精度は良くありません。特に短波帯では目盛りのずれが大きいです。


背面
今回は木製のケースも作りました。これは以前,CQ Ham Radio 臨時増刊「アマチュア無線ハンドブック」(1967−7)に掲載された“これからの流行→デラックスタイプ”と題したオールバンドSSBトランシーバの製作記事で,木製の頑丈そうなケースを見かけたことを思い出し,それをヒントに作ってみたものです。
背面はごらんのとおり,ベニア板で覆いを付けてみました。


内部構造(1)
受信機の内部構造の様子です。シャーシーの後ろ側にはアンテナ,アース端子とこれに並列なM型接栓があります。また,スピーカは外付けのため,8オーム,4オームの出力端子があります。8オーム出力は前面パネルにあるヘッドフォンジャックで連動切替になっています。


内部構造(2)
真空管,コイル,バリコンなど主要部品の配置はご覧のとおりです。BFOとSメータの部分を除けば,ごく普通の5級スーパー受信機です。真空管のラインナップは6BE6 − 6BD6 − 6AV6 − 6AR5 − 5M−K9とこれまたごくありふれたものです。
BFOは最初の頃はトリオのBFOコイルを使っていましたが,その後水晶発振の回路(6C4の無調整発振回路)に改造した後,BFOコイルは行方不明になってしまいました。SSBの受信には水晶発振のほうが聞きやすいのですが,今回の再製作では敢えて元の方式に戻すことにしました。
これに必要なBFOコイルを入手したかったのですが,どこにも売っていないようなので,ラジオ工房の内尾さんから分けていただいた片割れのIFTを改造してBFOコイルとしました。今回は6AV6によるハートレー発振回路としました。コイルの改造方法についてはこのページの回路図でご覧ください。
電源トランスはSELの5級スーパー用NK−65E,バリコンはアルプスの標準的な430pFのもの,コイル,IFTもそのまま使っています。IFTはトリオのT−6,コイルはラジオ工房の公開資料から類推してトリオのLC−3型と思われます。


内部の配線
受信機内部の配線の様子です。CR類はほとんど新品に交換しましたが,一部のセラミックのパスコンやマイカコンは古い部品をそのまま使っています。黄色の線が捩ってあるのはBFOの発振出力を第二検波のグリッドで注入するための小容量コンデンサの代わりです。
局部発振コイルは短波の高いバンドでトリマコンデンサのネジ穴がバカになってしまったので,代用品のトリマコンを装着してあります。また,同じバンドのハーフターンコイルが調整中に切れてしまったので,自分で巻き直しました。更に,短波の低いバンドのパディングコン(0.003μFのマイカ)も配線作業中にリード線が根元から切れてしまったので,0.001μFのマイカを3パラにしてあります。巻きなおしたコイルは,どうしてもトラッキングがとれなかったのでオリジナルより1ターン減らしました。


5球スーパの調整
今回はいくつかの計測器や試験器を利用することができたので,受信機の調整がスムーズにできました。
特にテストオシレータはトラッキング調整や,ダイヤルの目盛り定めに重宝しました。右の写真はその調整しているところです。画面にはありませんが,テストオシレータのモニタ出力を周波数カウンタに繋いで観測しながら調整しています。
Sメータは出力が校正されたSSGがないため,指示値はいいかげんです。高さ14メートルのHF5バンド垂直アンテナとアースを接続して,地元のNHK第一放送(882kHz)がS9オーバになるよう調整してあります。
なお,当シャックの計測器については〔計測器〕のページをご覧ください。
 
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