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■2002年年末から03年年始にかけて読んだ本■

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年末年始にかけて何冊か本を読みました。そのうち、プログラム関係とパソコン関係の本を除く一般的な文庫本や新書 について簡単な感想を挙げてみました。特に、今年T55Aの模型を作ろうと考えているため、 中東(という言い方は多分に帝国主義的)やアフガニスタンについての書籍を中心に読み倒しました。

各本の感想について述べる前に、一言。 諸外国に関する記述が、右寄りやら左寄りやら、ルポータージュやら学術研究やら、こうも好きなように主張できて 実際に発行できる日本という国は、民主主義国家であり、安全な国なのだということ実感します。

■アフガン山岳戦従軍記

[小学館文庫:惠谷 治]
アフガンのムジャヒディンに関するルポタージュ。体系的に語られてはいないが、アフガニスタンに住む人々の気質を 具体的に表記してあって嘘がないことがわかります。

■英語は絶対、勉強するな!

[サンマーク文庫:鄭 讃容(チョン・チャンヨン)]
英語のネイティブスピーカーになるためには、小学校卒業までになんとかしないと、あとはここに挙げられている勉強法をするヒマ なんぞ大抵はない。ただし、電車で長距離通勤している方は読んでみても良いかも。

韓国人が書いた英語の勉強法ということで、興味を惹かれました。韓国でも日本と同等またはそれ以上に受験英語の弊害が きつく、10年英文法を勉強してもまっとうな英会話ができない韓国人がほとんどでTOEICなんか役に立たない、 という現状があるらしいです。(日本も同じですね。)そこで、筆者が海外で英語とドイツ語を身につけた際に用いた学習法を 体系化してまとめたのがこの本らしいです。話は、筆者とレッスンを受ける女子学生との会話という形で進みます。 10年ぐらい前、大学時代に聞いた覚えのある統一教会の方の口上にそっくりな煽り文が適度にちりばめられていて、 とてもこうばしい香りが漂ってくるいい文です。機会あれば、勉強法の方だけ試してみます。 (70万部を突破した本らしいので、これでしばらくすると日韓に70万人のネイティブスピーカーが出現する計算になります。)

■大人の参考書 3分間でわかる「中東問題」

[青春文庫:大人の参考書編纂委員会]
別名、3分間で誤解する中東問題。そもそもイスラム問題が3分間でわかるはずがないです。 もし部外者の我々が3分間でわかるくらいなら、あんなに戦争が起きるはずがありません。 著者名を「委員会」として責任の所在をぼかしているところがまたイヤらしいところです。

アメリカ(ブッシュ)の真の狙いが、中東地域の石油利権の確保にある、ということを指摘、批判している部分は評価できます。 ついでに、だぶついた国内の兵器弾薬を在庫一掃セールで掃かす時期に来た、ということにも触れられていればなお良かったはずです。 その他、イスラエル建国に絡む英米の理不尽な対応について触れている点も評価します。 しかし、イラクのフセイン大統領を悪の枢軸(エビル・アクシズ)と断定し、一貫して「正義対悪」という二元論をもって 論じているため、結局結論ではアメリカの片棒を担いでいるに過ぎません。 つまり要約すると、「アラブの言い分もわかりますが我々の安全を脅かす悪者は叩くべきです。」 になります。そんなことは散々テレビから流れてきている、小学校の学級会で締めに使われるもっともらしいまとめはいりません。

■「謝罪外交」を越えて アジア再考

[小学館文庫:深田祐介・古森義久]
謝罪外交はもう止めよ、意味がないから、というのが論旨。特に大陸中国に関する情報が豊富な本。

アジアは中国と韓国だけではない、ということを再認識させられました。この他にも同様の書籍は読んだことがありましたが、 納得できたのは初めてです。簡単に言うと、天皇陛下(これの是非は別にして)が謝罪しても謝罪が足りないのなら、 一体誰が謝罪すれば許してくれるのか、否はじめから中国には許す気は全くない、ということです (ちなみに総理大臣の公式謝罪は4人)。 ODA(一体中国のどこが西側発展途上国なんだ?この国連常任理事国が)を引き出すための方便に過ぎない、 外交という策略だと断じています。また、これらの謝罪に関して、中国国内ではその事実がいっさい報道されていないそうです。
一方、大陸中国の国としての不健全さも列記され、(北朝鮮が”地上の楽園”でなかったのと同様) 中国の現実も浮き彫りされています。大陸中国に持っていた淡い幻想や郷愁もこれを読めば微塵に砕け散ることでしょう。

■ビンラディンの論理

[小学館文庫:中田 考]
9・11について、イスラム側からの視点で書かれた日本で唯一の一般書籍。 著者は日本人になっているけれど、イスラム教徒なんじゃないの?と勘ぐるほどに、 これでもかとイスラム教徒側の主張で押し通した本です。 ただし、表題はビンラディンの論理となっているものの、実際はほとんどの部分が一般的なイスラム教徒の持っている、 正義の不履行に対する憤り(真っ当な憤り)について述べられています。その他、イスラム過激派と”呼ばれる”ネットワークの 出自や行動に関しても詳細に書かれているため資料的にも価値があると思います。

と聞くと胡散臭く感じられるかもしれませんが、マスメディア上で語られている情報は100%非イスラム的思考から生み出された 論旨なので、ハッキリ言ってアメリカの味方しかしていません。日本は、国家としてアメリカ側につかなくてはやられてしまうので 仕方ありませんが、一個人の見識は〜民主的国家に所属する国民の特権で〜誰にも縛られなくてもかまわないので、 双方の言い分を正しくできるだけ元通りに聞いて、判断することができます。 そこらへんが中国や旧韓国と違う日本の美点です。国民全体が一つの主張に沸き立つ国家があります。その国家が行ってきた教育に、 私は教員として嫌悪を覚えます。フェアではないからです。同様にして戦後日教組が主導して行った社会科教育にも嫌悪します。

本題の戻って、アメリカは一にも二にも石油メジャーの利権を守り通すことが目的です。 しかしそれは決してアメリカが口外することはない本音の部分で、表向きは、悪魔のアクシズが度を超えた不正を働いているので アメリカがこれを成敗する、ということになっています。
一方イスラム側の主張は表も裏もありません。欧米(主に過去のイギリス、現代のアメリカ)が行っているダブルスタンダード を止めよ、です。その主張を通すための手段にどんな武力も辞さないとするかどうかが違うだけです。 また、主たる原因を貧困のせいにするのは間違いで、ビンラディンは富豪ですし、その他のイスラム組織の長も大学教授出身など インテリ層が多いらしいのです。特に書き留めておきたいのは、 テロの原因を貧困のせいにする主張は多くの場合、イスラム国家の支配者の主張であって、 貧困解決のためと称してODAなど経済援助が行われても実際にはほとんどが支配者のファミリー企業に落ち、 本当に届くべき人々まで援助が届いていない場合が多いという点です。これに関してもイスラームの民衆は憤りを感じているようです。 そしてこれら不正は軍部独裁国家が多いアラブ圏の多くの国家でまかり通っているのです。 ODAを見直すことは正しい道であるように思われます。そしてNPOへの援助を増やすべきだとも。

この書籍ではあまり詳しく語られてはいませんが、イスラム教は基本的に「イスラム圏以外に住む非イスラム人」に対して 寛容です。有名な「客人をもてなす」行為にイスラムも非イスラムもありません。 彼らがまず許せないのは、「イスラムの告白したにもかかわらずイスラムの決まりを守らない人」です。 イスラームの民衆には、自国の支配者が、自分の利権を守るために教えに反した行いをしているが、 武力によってそれを押し通している、と映っているのでしょうか。

■備考

全体主義国家の主張は、もっと疑って聞くべきだ。

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