| HOME | backupに戻る | リンク元に戻る |
このページは、仮想三国志8のプレイ記が書かれています。ページ作者以外にはどうでもいいような背景については、 序を参照してください。
それは突然のことであった。
趙文は何事が起きたかと思った。飛び起きて部屋から外の景色を見ると、なんと天地が闇に覆われつつあった。 どこかで遠くで鳴っているかすかな機械音と共に、山が、田畑が、町が、闇の中に飲み込まれて行く。
しかし人々は何が起きているか全く気づかないでいる。気づいているのは趙文だけである。
趙文はふと気づいた。先程から聞こえるこの不快な機械音は、どこか遠くで鳴っているのではなく、 自分の頭の中の奥底から湧き上がってきていることに。
趙文(28r5)「チッ、あちらの世界で何かがあったな。」
急ぎ隠し持っていた時間旅行者用通信機を耳にはめると、すでに緊急待避指示が流されていた。
28r5は趙文の体から分離し、時間機に飛び込み崩壊する世界からの脱出を図った。
上空に舞い上がった28r5は、その世界の最後の景色を振り返り見た。 全てが消えていく、地上から闇のように見えたそれは、時間機の中からは銀色に光る川のように見えた。 そして、山や田畑や町、人々と同じように「関姫」も「趙文」も幾多の勇壮なる部将たちも、 銀の川の一滴となったように見え、そしてすぐに見分けがつかなくなった。
28r5が現代に戻り、時間局パラレルワールドシステム管理課の職員に説明を求めると、相手はこう言った。
「貴方が時間旅行に出てからこちらでは2年の歳月が流れました。
この間に貴方の乗っていった時間機は旧式となり、こちらで基本システムの更新が行われることになったため、
未対応時間機での旅行者は全て呼び戻されることとなったのです。」
「これは新しいシステム上やむを得ない措置でした。新しく配備された機器がプログラムのスリム化のため、
貴方の時間機のような旧式のものに連動させるのを、上(上位者)が止めてしまったんです。
誠に申し訳ありません。」
時間旅行を途中で強制的に解除された28r5は、一時憤懣やるかたなし、という体であったが、 自分でどうこうしようのあることでもなく、しばらくは次の時間機を買う気にもなれず、 別の余暇を探すしかなかった。
| HOME | backupに戻る | リンク元に戻る |