| HOME | backupに戻る | リンク元に戻る |
このページは、仮想三国志8のプレイ記が書かれています。ページ作者以外にはどうでもいいような背景については、 序を参照してください。
劉備は、平原の相でいる自分に不満を感じていた。 帝(後漢の献帝)におかれては董takuの暴虐により長安に遷都を強行され、今も勅すらままならない、と聞く。 尊皇の志あるものは次々と密告され、刑に付されているらしい。 さぞやおさびしいことであろう。漢の血をひく俺がこんなところで少利を喜び、報国の気持ちを忘れていいものだろうか。
董taku討伐にも共に従軍し今は相の仕事を輔けてもらっている、義弟の関羽に相談してみた。
「兄者、我ら7年前に桃園の誓いを契りし時、言ったはずではないですか、悪を討ち漢朝を助けると。
今こそその時なのです。さあ、こんなつまらぬ職など捨てて、天下のために立ち上がろうではありませんか。」
どうやら屏風の裏側で盗み聞きしていたらしい張飛が顔を出す。
「そうとも、そうだとも。
関兄ィ、よく儂の言いたかった気持ちを長兄に言ってくれた。
儂らにはこんな所は似合わん。法だ何だとこうるさいことぬかすヤツばかりで…。」
3兄弟の気持ちが同じなら何の迷う必要があろうか、劉備はすぐさま旅装に着替え、官庁に辞表を投げつけ、野に下った。 もちろん関羽、張飛も後に続いてくれたため、劉備は義勇軍を結成することにした。
放浪軍を結成した7月早々、劉備は北海など諸城を巡り、 これといった人物を見聞しては声を掛けて回った。
この結果、孫乾という者が誘いに応じ、放浪軍に参加してくれることになった。
途中立ち寄った長安城では宮城の外から内裏の屋根を見つめ、涙ながらにこう思った。
「帝よ、帝よ。いつか必ずあんたを助け出してみせるからなぁ。それまで元気でいてくれよ。」
また、関羽が、黄忠、向朗といった人材を、また張飛も古い顔なじみの簡youを連れてきた。
8月から劉備は、どうやら人材登用に関しては関羽達に任せても大丈夫の様子なので、 自分は資金の許す限り「酒宴」を開き人材交流に精を出すことに決めた。 金が尽きたら、今ひとつな「戦法」能力を伸ばすべく鍛錬に励んだ。
10月の元日の朝、劉備は根城にしている空き家の堂下で軍議を開いた。
「さて皆の衆、俺らは今からどう動くべきだろうね。」
「頭領」の問いを受け、「同志」の黄忠、孫乾らがひと通り意見を上申して後、張飛が進言してこう述べた。
「いきなり長安近郊に向かうには、ちと兵が足らんじゃろ。どっかで兵を集めんことにゃ話がすすまん。」
しばらく考え込むような様子であった関羽が、張飛の発言をきっかけにして顔を上げ、低いが良く通るその声に音を乗せた。
「我らは転地すべきです。行き先は北平、公孫san殿と話をしてみようではありませぬか。
それに幽州は名馬の産地。優秀な董taku騎馬軍に対抗するためにも、
いずれ軍馬を揃え、戦法を練らなければならず、賈人(商人)にも顔を通しておく必要があり申す。」
張飛もそれに相づちを打つ。
「公孫sanにゃ董taku連合軍のときに助太刀もしてやったし、ここらで借りを返してもらってもいいんじゃねえの?」
その借りで平原の相に推薦してもらった恩も忘れた、脳天気な張飛の発言に、言下に頭領が 「よっしゃ、決まりだ。吉と出るか凶と出るかはわからねえが、おいらの勘じゃ悪くないぜ。」と 叫びつつ、すでに外へ向かおうと体が動き出している。それらを見つめ、苦笑しながらも関羽は後を追った。
北平に着いて、劉備はさっそく公孫sanに面会を申し込んだ。 せっかく紹介してやった平原の職も放り出し流浪の身分に戻ったこの塾の下級生に対して、 嫌がるそぶりも見せずに話し合いに応じた公孫sanだったが、 「乱撃を張飛に習ったらどうか」などと話をはぐらかすばかりで、対董taku戦の話には乗ってこない。 まあ公孫sanも、周囲に袁紹というライバルや北方異民族をかかえ、さすがに北平太守という立場をおろそかにして、 手勢を長安などという遠方に差し向けるわけにはいかないのが当然であった。
公孫sanとの会談は不首尾に終わった劉備であったが、一応平原の相辞任のあいさつも済ませたかたちになり、 彼との親密度も少し上がったので良しとしよう、と生来楽天的であるその気質から、 すでに気持ちを切り替えて北平城内の見物に出かけた。
そういや関さんから賈人に顔を繋いでおけと言われていたっけ、と思い出し、何の気無しに商店を覗いてみる。 すると店先に関さんをちょっと細身にしたぐらいの背格好の後ろ姿があったので、 でけえ賈人もいるもんだ、北方の出かな?などと考えながら「馬を買いてえんだが、扱ってるかい?」と訪ねると、 男は振り返ってこう言った。
「私はこの店の者ではありません。ここの城主公孫sanに仕える者です。」
こちらを向いた男を見て、劉備はほほぉと唸った。いい男っぷりである。
思っていたよりも若く年の頃は張飛のちょい下ぐらいだろうか、いやとにかく、そいつが立っているだけで、
周囲に清涼な気が立つような雰囲気を醸し出している。
「おいら劉備って者だが、あんた名はなんてえの?おいら今義勇軍を集めて長安にいる帝をお救いしようと
考えてるんだが、あんたも参加してくれねえかい?」
あんまりにもいい男だったので、気がせいて不躾にも矢継ぎ早に思ってることを吐きだしてしまった劉備であったが、
男の方は落ち着いた様子で答えていった。
「私の名は趙雲と申します。私はすでに主を持つ身です。」
「趙雲さんかい、そいつは残念。ま、おいらはしばらくここ(北平)に留まっているつもりなんだ、太守とは昔馴染みでね。
たいていは酒家にいるから気軽に来てくんな。」
短い会話であったが、がっしりと目を合わせ、お互いそこから何らかのものを感じ取ったようである。
奥から店の者が出てきたので、劉備もそれ以上は口説いたりせず、ふたりとも意識はそれぞれ賈人との会話の方に移った。
劉備に催す宴会で顔見知りになった趙雲に、張飛が
「お前、騎馬術はなかなかの腕前って聞いたが、なんかコツみたいなものはあるのかい?」と尋ねる。
関羽も横にいて話を聞いているが、劉備は今日は外で飲んでいるらしくここにはいない。
「私は、幼い頃からずっと馬と一緒に暮らしてきましたから…。強いて言えば、馬と一体になる、という事でしょうか。」
「馬と一体になる?かーっ、わからん。一体どういう事じゃ。」
黙って聞いていた関羽が趙雲に問う。
「趙雲殿、馬と一体になるとは、馬の呼吸とこちらの呼吸を合わせるということであろうか?」
「その通りです。」
「呼吸を合わせる?スーハー、スーハー、と馬の息に合わせて儂も息をすればいいのか?」
「張飛、そうではない。馬には力を脚にためる瞬間とその力を前方に解き放つ瞬間がある。
その馬の動きに合わせこちらも体を動かすんだ。それでよろしいかな、趙雲殿?」
「その通りです。」ニッコリと趙雲が微笑んだ。
何かを自得したらしい関羽とまだ半信半疑の張飛だったが、ともかく「兵舎」に向かい、「戦法」の「訓練」を始めた。 関羽は伏兵などの戦術のために「撹乱」を、張飛はとにかく暴れられるように「乱撃」を、それぞれ「訓練」する。 するとどうしたことか、この2ヶ月余り上達しなかった「戦法」がいつもより上手くいくではないか。 「訓練」が終わった瞬間、何か天から楽の音が聞こえたような気がし、気が付くと二人共に「騎兵」を習得していたではないか。
| HOME | backupに戻る | リンク元に戻る |