WJ版封神演義とスターオーシャン2&BSを強引に一纏めにして語ってみる。


*このコラムは旧エニックス製ゲーム・スターオーシャンシリーズをご存知で無いと半分くらい意味不明だと思います。不親切で申し訳ありません。


筆者はWJ版封神演義は完結してから単行本を一週間で一気に読んだクチである。一気読みして一番印象に残ったキャラは何といっても十二仙が1人、太乙真人だ。

世の中頭良い奴・・・いや、具体的に手に技術を持った奴が生き残るとあそこまで体現したキャラも珍しい。掛け値なしに彼がいなければ話が成り立たない。

封神演義がアドベンチャーかRPG系のゲームだったとしたら、太乙真人が封神されたらゲームがドン詰まってクリア不可能になってしまうだろう。別に彼は主役級ユニットでも無いのにも関わらずだ。

何でも変化できる終盤の楊ゼンや胡喜媚でもってしても、太乙の代替は不可能なのではないか?テニプリで無我の境地やゲームでの技習得でもデータテニスを使うことは不可能なように。伏儀クラスになれば何でも出来るだろうが、伏儀が出せるまでいけばもうゲームクリアも同然だろう。

ただし太乙は宝貝開発の技術だけで十二仙に昇仙したそうだし、彼がいても聞仲戦の役に立たなかったろうが。
 というより基本的に後方支援の太乙がラボを離れる事ができるくらい戦線に余裕があるなら十二仙のうち十仙もわざわざ最前線行きにはならないだろう。もっと仙道は大勢いるらしいから、そいつら使えば良い(原作では太乙も思いっきり戦っていたが)

だから封神される可能性は低いだろうが、でも封神がアドベンチャーゲームになったらいそうだなあ。太乙を十二仙だからって無理やり前線に突っ込んで封神させてドン詰まりになるプレイヤー。

話は変わるが聞仲戦で道行天尊は戦闘に参加していたにも拘らず封神されなかったので、てっきり何か役に立つのかと思ったらセン玉に赤ちゃん扱いされてるだけだった。一何だったのだろう。

そう思って少し読み返してみたが、道行はおそらく十二仙の追憶係として生き残ったのだろうか。
 太乙1人で崑崙2や那咤の修理と十二仙の追憶をやっていたら忙しすぎて本気で死にそうであるから。仲間の追憶をした直後にミイラになったら確実にあの世行きだろう。そして花畑で他の十二仙に追い返されるんだろう。

しかし12人もいて後方支援系が太乙1人って組織の幹部として何かおかしく無いか?まあ原作では全員戦っているけど。

結論としては、主役でもボス系でもライバルクラスのキャラでもないのに、そして同僚はほぼ全員が中途退場しているのにも関わらず、掛け値なしにいなくなると話が成立しなくなる太乙は凄いキャラだ。ある意味でとても仙人らしい仙人だと思う。

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さて太乙はスターオーシャンセカンドストリー&ブルースフィアにでてくるアシュトン・アンカースにそっくりとよく言われる。

確かに外見はよく似ている。特に太乙の後ろの布とアシュトンの背中の竜とか髪型とか、意外と身長高そうなところとか。よく知らないが声も同じだそうだ。

しかし私は思うことがある。外見ではなくキャラ性で言うなら太乙は絶対にアシュトンではなくプリシス・F・ノイマンだろう。 なんたってプリシスは「天才発明美少女」であり、エクスペルを銀河連邦加入させた功績者である掛け値なしの天才科学者だから。

天才科学者なのはレオン・D・S・ゲーステもそうだけど。しかし彼は紋章術の権威だから、機械工学関係である太乙はプリシス系だろう。

ただプリシスは外見は胡喜媚なんだよね。性格は太乙も胡喜媚も底抜けに明るいから似たようなものとして。本当にプリシスは太乙と胡喜媚を足して2で割ったようなキャラであろう。

筆者はWJ版封神演義とSO2・SOBSは同時期にハマッていた。なのでブルースフィアのアンソロでのプリシスとレナ・ランフォードが森の中で幻覚に囚われてしまうネタは全面的に突っ込みを入れたくなったものだ。

内容はかなり凄いもので

プリシスとレナが森の中に入ったら森の主様の怒りを買ってしまい「お前達は殺し合いをしろ。どちらか生き残ったほうだけを森から出してやる」と言われてしまう。そうするとレナ(幻覚)がプリシスを殺そうとしてしまい、彼女もそれを受け入れようと・・・。

もう筆者は読みながら心の中で力一杯叫びたくなった。「プリシス!貴方だけは死んじゃ駄目!皆この惑星から出られないから。レナがいなくても回復系はノエルがいるから」

それにしても幻覚とはいえ公式アンソロでやる内容か、よくメーカーチェック通ったなオイ。
 注:ジャンプ系のアンソロは無認可だが、ゲーム系のアンソロは基本的に公認出版物である事が多い。見分け方は公式のタイトルやロゴが使われているか否かだ。今度チェックしてみると良い。ジャンプ系などのアンソロでは公式ロゴやタイトルが使われていないはずだから。

 あとは常識的に考えてホモ同人やエロ同人が公式であるわけ無え。

筆者の言い分が酷いと思われるだろうが、当時封神で十二仙全滅とその後の太乙の働きを見ていたのでこれが本音として出てくる。

実際SOBSは宇宙を救った12人の勇者が揃いもそろって未開惑星に不時着する話だ。そしていくら勇者達は各界のスペシャリストが揃っているといえども、さすがに宇宙船を直せるのはプリシス1人であるからねえ。そのせいかは知らないが彼女は今作の主人公的存在だ。レナは前作の主人公だがBSでは後半参戦組であるし。

ちなみにSOBSではプリシスは自分で造った宇宙船に乗ってその未開惑星にやってきたそうだ。自分で作った宇宙船とは一体どうしたことだろう。プリシスが企画・設計して技術者達に作らせたのだろうか。

しかし太乙真人が如き働きをする彼女だったなら、夏休みの工作よろしく自分1人で宇宙船を造り上げてしまいそうである。

実際問題。地球に留学中である未開惑星人の17,8歳のお嬢さんに、そんなプロジェクトを発動できる権限があるとは思えない。

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尚、本当は「太乙はアシュトンとプリシスの子供みたいだ」という方向に話しを持っていこうと思ったが、WJ封神とSOBSの設定から言ってシャレにならないっぽいので止めた。

例えば「アシュプリが子供を育て切れなくてどこかの星に捨ててしまった。その星はジョカによる何十回目かの歴史が紡がれている最中であり時期は殷周革命より溯ること数千年。2人は最後の良心で息子を仙人界に預けるのだった」とか。もちろんそんなアシュプリ嫌だし、筆者はどちらかと言ったらクロプリかレオプリ派だから。

これだと太乙がエクスペル人になってしまうなあ。でもWJ封神は世界観があの調子なので宇宙人がいても別に構わないような。
 WJ封神の始祖たちはSO世界で言ったらどこの星の出身だろう。エクスペルは未開惑星(故にプリシスとその父は出色の天才)だから無しとしても、あの世界にはネーデみたいに発展しすぎで滅んだ先進惑星が本当にあるからねえ。

じゃあジョカと伏儀はチサトとノエルだろうか。自分で書いといてなんだが嫌だ。

ちなみにSOBSのED後、12人の光の勇者達はしばらく宇宙旅行を楽しむ事となる。RPGキャラのお約束で冒険中は年取らないので後3,4回は墜落して冒険して欲しい。彼らは原作封神の十二仙に匹敵か凌駕するくらいのお役立ちな人達なので是非そうしてください。ただし宇宙船を修理できるプリシスが死んだら墜落した星に留まって始祖化しかね無いので注意。

さて12人もいると「仲間同士でもこのキャラ同士は交流無いだろうなあ」と思えてくる人達が出てくる。例えば太乙と文殊は弟子同士が兄弟だがどんな会話するか解らん。

SOでいうならエルネストとプリシスだ。4コママンガ「まるごとスターオーシャン!」56Pタイトル「しがらみナシ」でエルネストが大声で「プリシスの所に(SOS信号を出してくれ)!」というネタがあったが、筆者の中でどうもエルネストとプリシスが繋がらなかった。(だからこそ「しがらみナシ」で「消去法」なんだが)

一応この2人もSO2では愛情度を上げてやればペアEDが出るんだが(未見)どんな会話するのか想像できない。オヤジとロリだからなあ・・・。

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さて聞仲戦の時の普賢真人の声は、実は太乙にも聞こえていた可能性があるという説がある。

かなりキツい話だが、十二仙にだけ聞こえる声という事は太乙にも聞こえていた可能性は充分にある。あの普賢の声の範囲の問題だ。あの時は太乙だけかなり遠くにいたから。

自分以外の同僚全てが命を落とす覚悟で聞仲に挑むという事を、全く手の届かない遠くから聞く太乙の心境や如何に。きっと一旦修理の手を止めて悲しみ雲中子から訝しまれていただろう。そして道行が帰ってきてくれたときは非常に嬉しかったろう・・・。

などと書いてみたがそれは本心ではない。繰り返すが筆者は封神演義は完結後に単行本を一週間で一気読みしたクチだ。当然十二仙全滅の数日後には封神台解放のシーンを読んだ。そしてその数日前には封神台は十二仙が造ったという記述も読んでいる。

悪いが封神台のからくりは十二仙は既に知っていたんじゃないか。いやそう思うとすると感動が激減するのは百も承知だが。 封神計画自体は極々一部のトップだけが知っている極秘計画であり、十二仙がその全容を把握していたとはとても考えがたい。

それでも彼らだって崑崙最高幹部だ。計画の一抹、例えば封神台の本当のシステム程度の情報は知らされていたのではないだろうか。だって造った本人達なんだもの。それに「封神は死ではない」とは第一話にはっきり書かれているし。

他にも十二仙は玉虚宮の改修工事も行ったという。彼らは大工さんか?もっと下っ端に作らせたら良いのに。

こう書くと感動を削ぐだろうが、でもそう思わないと十二仙全滅後に太乙が普通にイキイキしていたのがねえ。既に1年近く経っていて、道行は生きていたとはいえ微妙だ。

仮に太乙が封神台システムを知らなかったとして。太乙は「自分が悲しみにくれていたら皆前に進めない、自分は働かねばならない」と思い、悲しみは心の奥底に押し込んで働いたという考え方も出来る。その方がカッコ良いし、太乙は宇宙神なのだからそれくらい大人であってもおかしくないと思うのだ。

でもやっぱり太乙は、十二仙は封神台のシステムくらい知っていたんじゃないかな?十二仙は宇宙神とか菩薩とかの集まりなんだから少々達観してても悪く無いだろう。

筆者はただいま完訳の封神演義を読んでいる最中である。しかし西遊記や他の本においての十二仙(特に文殊・普賢・慈航・太乙)の扱いを知れば知るほど、ただのお気楽な仙人達とはどうにも思えなくなってくるのだ。特にこの4仙は日本でも広く信仰されているらしいもの。


あとがき━━上記で>しかし12人もいて後方支援系が太乙1人って組織の幹部として何かおかしく無いか?まあ原作では全員戦っているけど。と書いたが、本来は十二仙クラスの大物が殺戮行為を行うのはおかしいんだよなあ。さすがは時代考証・宗教考証完全無視の荒唐無稽小説。だがそれが魅力(というよりまともに考証したら殷周革命以外の部分の物語が成立しない)

(2006.11.20)

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