大山田で採れた貝化石
三重博物館が主催する大山田服部川の化石/地層見学会に参加した。ここでは象の足跡化石が有名です。ワニの歯化石も採集されています。淡水湖の地層なのでタニシなどが採集できます。
マルドブガイ
採集現場での貝(ほとんどタニシ)の取り出しはほとんど不可能なため、石塊を何個か持ち帰り自宅で割ってみたところ、大きな二枚貝の半分が現れた。離れた小さな塊のほうに貝殻が付着し、大きな塊には貝殻の内側の面が少し膜を残している状態であった。
《@大きな塊を小さな塊に》
貝の存在はわかったものの周囲はまだたくさんの土の塊に囲まれておりこれを如何に取り除くかが最初の課題であった。まずはタガネとハンマーで始めたが思惑通りには割れず、不本意なところから割れ始める。しかも前記と同様に貝殻の内側と土の境界から。次に、発掘時に教えられたようにカッターナイフを使った(ここの地層は粘土質の土が固まったらしく、石などが含まれていないので、カッターの刃が入る)が、薄く削り取ることはできても、掘削するような作業はできず断念。次に行ったのが電動ドリルを買い求め、それを使って土に連続して穴を開け、穴に沿って割る方法である。ドリルを何本か折りながらも、これによりとりあえずは大きな塊を除くことはできた。その時点の状態は、1/3ほどの化石を残したベースとなる塊が一個、貝殻の内側と土との境界で離れた化石が着いたこぶし大の塊が数個である。
《Aこぶし大の塊を化石破片の周囲までの大きさに》
まずは、各化石を接着剤で固定し、次に、さらに土を除くためにどうするか。カッターでは細かい作業ができず、出張の機会に東急ハンズで何か適当なものを探してみたが見つからない。そこで気づいたのが子どもの頃使用した彫刻刀である。トライしてみるとこの土はまさに石膏の塊と同じような固さなのである。この気付きにより作業は大きく進み塊はどんどん小さくなった。
《B化石片の合体》
当初はAで終わるつもりだったが、もう一歩前進できることに気付いた。ベースとなる塊に化石破片を含んだ塊を再度接着剤で一体にし、完全に接着した後に土をさらに除いていけば、貝殻の表面が一体となって現れるはずである。この作業にも彫刻刀が最適だった。彫刻刀の刃は各種あり、場所に応じた使い分けができ、力の入れ具合も調整できる。細かい作業に移るとずいぶん時間を要したが、表面をほぼ完全に再現できた。採集箱に入るように、余分な土を除いて薄くしたのが写真の状態である。
《C後述》
表面の土を除くとき一緒に化石表面の膜も土に付着しほとんど除かれてしまった。一部残っているところから、化石の表面はタニシのような色をしていたことが判る。
ここまで大きく完全な形のマルドブガイはいろいろ調べてみてが今のところ私は知らない。これが本当にマルドブガイかどうかの確証もまだないですが。
ドブガイ
こんな名前を付けなくてもいいのに、と誰もが思うのではないだろうか。
この貝は貝殻の表面が土に付着し、内側が見えている状態で採集した。この時に閃いたのが石膏を使用した取り出し方法である。土についた状態で、水で溶かした石膏に沈めて固める。石膏側(貝殻の内側)をベースにして土を取り除いたのが左の写真である。
タニシ
化石に見えない。貝殻の中に土が充満しないのかどの貝も一様につぶれた状態である。色も一昔前のベニヤ板の模様の様で安っぽい感じである。化石サンプルを見せてもらったときにはどれも半分土に埋もれた状態のものばかりであった。私は全体を掘り出そうとした。接着材で固めながらも試みたが、半数以上は途中で壊れてしまう。写真のようにいくつかはおおよその形で取れた。壊さないためには半分埋もれた状態がよさそうである。たくさん取れるのであまりありがたみのない化石でもある。
咽頭歯
自分では見つけられなかったが、近くにいたおじさんが息子に与えてくれた。フナの咽頭歯と教えてくれた。写真は10倍に拡大したものです。
何かの骨?
1.5mm程度の骨らしきものが見つかった(写真は30倍拡大)。固くエナメル質なので、骨の一部だと思われる。背骨のようにも見えるが、よく判らない。