今年は雨天が続き、お茶摘みが例年より遅れ、農家の方はお茶摘みをどうにか間に合わせての参加でした。又、参加者も不都合の方が生じ、総勢13名での巡拝となりました。

西明寺にて
西明寺にて

 今回は、栃木・茨城・千葉の3県にある12ケ寺の霊場で、5月23日(火)から26日(金)の3泊4日の長旅でした。車中で御詠歌の練習をしている間に都内の渋滞をすぎ、石灰採掘の山の中を進み、桐の花かどうかなどと話しているうちに、今回最初の満願寺(第17番)に着きました。鐘に合わせて三拝後、般若心経、延命十句、観音経、満願寺の御詠歌をお唱えし、三拝してお参りが終わります。
 大谷寺(第19番)、西明寺(第20番)、楽法寺(第24番)、清滝寺(第26番)では、他の巡拝団と相前後し、お唱え中は、お参りを待ったり、待っていただいたりの巡拝でした。
 西明寺で他の団参が見守る中、御詠歌をお唱えした為、「お唱えに力が入った」と言う共感の笑いに、「他の人が聴いていようがいまいが、普段通り一生懸命お唱えしましょう」とのお(さと)しの一言に皆納得。

車中にて御詠歌の練習 満願寺にて
車中にて御詠歌の練習 満願寺にて
日光東照宮にて
日光東照宮にて

 大谷寺(第19番)は、「大谷石の岩の中に建物が建っている」と言う車中での説明でしたが、実際に来てみてその意味、岩壁の迫力が判り、お参りに来てよかったとの声がありました。佐竹寺(第22番)等は立派な伽藍に驚嘆したものの、人気の無いことに一抹の寂しさを感じ、又日輪寺(第21番)に着くまでは、山の中を長時間バスにゆられ、やっと到着しましたが、私たちわずかな参拝者にもかかわらず、和尚さんにお待ちいただいたのには感動し、霊場を守ることの大変さも感じました。
 又、何十年ぶりかの日光東照宮の拝観に、修学旅行時の思い出がよみがえったかと思います。そして袋田の滝は、趣のある流れで記憶に残る滝でした。

大谷寺にて 袋田の滝にて
岩壁の迫力に感激した大谷寺にて 袋田の滝にて

 宿泊先の夕食もなごやかで、第一日目は大島さんのバラ栽培の話に盛り上がり、帰宅したら皆んなでバラを見に行くことを約束し,二日目は「蝦蟇(がま)の油売り」の品の良い熱演を楽しみました。
 三日目の袋田温泉の「思い出浪漫館」はきれいで、親切な感じの良い旅館でした。夕食の時戦後生まれの石田さんが「スキップ」を披露したところ、大正・昭和初期生まれ方々が、少々あやしげなステップで負けじとスキップしたのには、皆びっくりし、思わず笑いが出るほどうけました。最後は歌に合わせて炭鉱節のふりで踊り、楽しい一時を過ごしました。

「蝦蟇の油売り」の熱演 皆で炭鉱節を踊りました
「蝦蟇の油売り」の熱演を楽しみました 皆で炭鉱節を踊りました

 四日目の最後の千葉寺(第29番)のお参りが終了した時は、覚悟していた雨にも巡拝中は不思議と降られず、無事にお参りができたことを皆で喜び合い、明るい内に帰宅できました。
 今年秋に第三回目の坂東巡拝をし、満願を達成する予定です。

坂東33観音霊場巡拝によせて(短歌・文)

切り立てる山肌すべて石灰とう辺り一帯粉吹ける如 於満願寺
生い立てる桂に千手観音彫りしとう中禅寺そも立木観音 於中禅寺
紺碧に澄む中禅寺湖に映さる男体山の姿美し
形よき男体山が見下ろすは中禅寺湖の深き鎮もり
鬼怒川のふれあい橋に朝をぶらりこの温泉郷に好感もてり 於鬼怒川温泉郷
本尊におわす千手観音、弘法大師作、大谷石にて 於大谷寺
大谷石の壁像前に阿弥陀さま釈迦、薬師尊自ずと低頭
宿借の大木椎から石段の長きを終えて朱塗りの本堂 於薬法寺
鳴声とは似ても似つかぬ美しき孔雀の容姿(色彩)に暫し見とれぬ
早朝を筑波神社に友と二人古き歴史にふれて巡れり 於筑波温泉
巨岩の壁伝いて落つる白瀑は不動にも見ゆ袋田の滝 於袋田の滝
大銀杏ここに苦節の800年根は物語る千葉寺の変遷 於千葉寺
今回は方丈さまも連れ立てる旅にてあれば心安けき
秋山美智子

         袋田温泉「思い出浪漫館」の朝

朝の散歩をしていると
子供のころに聞いた
あの カジカの鳴く声が 私には
とっても懐かしく思いました。

又 少し歩いて 橋の上から川を眺めていると
魚が スイスイと 気持ちよさそうに
およいでいるではありませんか
魚の名前はわからないが
その時 久子さんが 「あれは 御詠歌の人達だ」 と
私は なるほど と うなずき
爽やかな 気持ちのいい朝を迎える事ができました。

又 これも御詠歌のおかげと感謝しています。

                     岩田トシヱ