2008年6月議会               2008年5月22日                
 反対討論                          小黒啓子                           
報第18号 専決処分の承認について

 浜北市、天竜市、舞阪町、雄踏町、細江町、引佐町、三ヶ日町、春野町、佐久間町、水窪町及び龍山村の編入に伴う浜松市国民健康保険条例の適用の経過措置に関する条例の一部改正について

 日本共産党浜松市議団を代表いたしまして、報第18号 専決処分の承認についての 浜北市、・・・・・・・・について、反対の立場から討論します。
 この専決処分の理由は、去る2月議会に提案された国保条例の一部改正の中で、旧11市町村の資産割の料率を100分の15とすべきところを、100分の25と誤記したままで議会に提案したことが議決後に判明したことから、今回必要な手続きをとるというものであります。
 
 実務的には、すでに正しい料率で広報され、実際の賦課は8月であることから幸いなことに市民が不利益を被ることは避けられましたが、問題は今回の専決処分が果たして地方自治法に規定されている専決処分の要件に該当するのか極めて疑問であるということです。

 周知のように、旧地方自治法179条では、専決処分ができるのは「長において、必要な時期までに議決又は決定を得るための議会を召集する時間的暇がないと認めるとき」としていましたが、平成18年9月に地方自治法が「特に緊急を要するため議会を召集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」と改定され、平成19年4月1日から施行されています。

 この背景には、第28次地方制度調査会において、地方自治制度のあり方が検討され、平成17年12月に、地方の自主性・自立性の拡大のあり方、議会制度のあり方に関する答申が出されたことにあります。

 その中の「議会制度の見直し」では、『専決処分は議会の権限に属する事項を、長がやむを得ない場合に代わって行う制度であることに鑑み、その運用に当たって制度の趣旨を逸脱することがないような手当てがなされるべきである。このため、「議会を召集する暇がないと認めるとき」の要件を見直し、制度本来の趣旨に即した要件の明確化を図るべきである』とし、当該事件が急施を要し、議会を召集していてはその時期を失する場合、と、専決処分の用件が明確化されました。

 これらの経緯からみても、専決処分は、法で示すような極めて切迫した事態であり、議会を召集する時間的余裕がないことが明らかでなければならず、今回の場合この要件に該当するとはいえません。本来ならば、条例改正案を議会に提出し議会の議決を得る。これが地方自治法の本旨に基づく行政のやり方ではないでしょうか。

 今回のように安易に専決処分を認めることは、改定された自治法の趣旨にも反し、議会自らが、その権限を軽んじていくことにつながることから、今回の条例の一部改正については、専決で正すのではなく、条例の一部改正として議案を上程して、正規の手続きを踏むことで修正すべきです。

 議会の自主性・自立性を拡大し、議会改革を率先して行っている議員の皆さんに賢明なご判断をお願いし討論とします。

(2008/5/28up)

   

専決処分の承認について 反対討論