日本共産党市議団小黒議員からの「消防無線のデジタル化の問題点」について(回答)
平成19年6月26日
【問1】について
Q: 現在のアナログ150MHz帯からデジタル260MHz帯に移行するとUHF帯に近づくため、通話距離が2分の1程度になってしまうのでは?
通話距離が短くなった分を中継局でカバーすることになると、多額の設置費がかかることになるのでは?
A: 一般的に周波数の帯域が高くなると、電波の伝播距離は短くなりますが、現在の実験データではアナログと遜色ないデータも出ており、ダイバーシティ方式の導入など今後メーカー側の技術開発により、150MHz帯アナログ無線と同等の能力が確保されると思われます。
中継局の設置については、設置が必要となる場合には既存施設への設備共用を行なうなどにより、整備費用の軽減を検討します。
【問2】について
Q: 中継局の使用は、大規模地震等で中継局が被災した場合、機能が果たせなくなり、災害に弱い消防無線になるのでは?
A: 中継局が被災した場合は、アナログ、デジタルどちらも機能を果たせなくなるのは同一だと考えられます。
また、中継局が必要となる場合には、既存施設の耐震性を確認したり、新たに建設するものにあっては、充分な耐震性能をもったものとします。
【問3】について
Q: 同一周波数でデジタルは、通話距離が3分の2程度になってしまうのでは?
A: 一般的には、アナログとデジタルで同一周波数の場合、デジタルの方が2、3割程度通話距離が短くなると言われておりますが、実証実験によれば、同一の伝播条件下ではアナログ無線よりも通話距離が長い結果なども出ています。
【問4】について
Q: 多チャンネル化のメリットは、司令センターが少人数では対応できないのでは?
A: 多チャンネル化のメリットは、大規模災害が発生した場合の非常時に使用チャンネルが増えるため当市にとっては非常に有効です。
なお、大規模災害発生時以外では全てのチャンネルを使用した運用はほとんど行なわないため、現行の職員数でも対応が可能です。
【問5】について
Q: デジタル化によってデータ通信ができても消防での利用はないのでは?
A: データ通信の活用方法については、消防庁等で、総合的に検討を行なっている最中であり、平成19年度中にはデジタル無線の共通仕様がまとまる見込みです。
【問6】について
Q: 特に山間部の消防では、直接波と反射波によるマルチパスによる同期の欠落がおき、通話できない現象がある。この点は、アナログ無線のほうが良好ではないか?
A: 一般的にアナログよりデジタルのほうがマルチパスの耐性には若干劣ると岩得れています。
しかし、ダイバーシティアンテナ等を採用するなど、メーカーの技術開発により、解消の手段が図られています。
【問7】について
Q: 回線が複雑なため、消費電力が多く、携帯無線機では、バッテリーの消耗が激しくなり、長時間の災害活動には不向きではないか?
A: アナログに比べデジタルでは、消費電力が大きくなると言われていますが、主に送信時の消費量が多いといわれています。
このため、メーカーでは、アナログと同等の使用時間を維持できるよう技術開発を進めています。
【問8】について
Q: 組織が同じ消防なのにデジタルの方式が二つあり、交信できない問題が発生しないか?
A: デジタルの方式としてSCPC方式とTDMA方式が存在し、機器の互換性はありません。
このため、平成19年3月の総務省消防庁の通知において、SCPC方式で一本化することが示されています。
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