2006年9月議会    代表質問      小黒啓子

 日本共産党浜松市議団を代表いたしまして先の通告に従い、順次質問をいたします。

 質問の第1は北脇市長に市政に対する基本姿勢についてうかがいます。
 
 市長は市政運営の基本理念を「民主主義の実践としての市政」とし、「市民一人ひとりがどれだけ浜松市を自分たちのものと感じられるかかどうか、言い換えれば浜松市がどれだけ自分たちの考えで動いていると感じられるかが重要になり、まさに民主主義が実践されている市こそ、真に市民が満足する市となるでしょう。」と話されています。

 それは何より、法を守り、法に基づいた市政を行なうことから始まるものであります。だからこそ市民からの信頼を得て市政が支障なく執り行われると信じるものであります。

 そこで、法令を遵守するということについて、浜松市立こざわたり保育園の違法建築問題に対する市長の認識をお伺いいたします。

 我が会派の指摘により、浜松市立こざわたり保育園が都市計画法第53条違反であることが明らかになり、行政みずからが法に反する行為を行っていたという前代未聞の事実が明るみに出ました。

 この違法建築問題で市長に対して「違法建築物である 浜松市こざわたり保育園の設置運営についての申し入れ」を行い、速やかに是正措置を取り公立保育園のまま運営を継続するようによう申し入れました。

 市長からの回答は、違法建築物と認めながらも、2年先までこの状態を放置するというものですが、これでは法を守る立場にある行政としての責任を放棄するもので、あまりにも無責任な対応であり問題ではないでしょうか。

 この違法建築にたいする認識、また速やかに適法化を図ることは当然のことと思いますが、これらに対する市長のお考えを伺います。
 
 次に市職員の健康管理について、超過勤務の実態に即して質問します。

 労働安全衛生法の第1条にはこの法律の目的が次のように記載されています。

 「この法律は労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危険防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講じる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保すると伴に快適な職場環境の形成を促進することを目的とする」としています。

 このことから労働安全衛生法は、労働基準法と一体的に運用されるべきものです。

 さて、長時間、長期間の過重労働がもたらす疲労の蓄積は、脳や心臓疾患の形となって現れます。そのため厚生労働省はこの過重労働による健康被害を防ぐためには、時間外・休日労働の削減を事業所に対して求めているところです。

 ところが本市職員の労働時間の管理は前時代的な出勤簿管理であり、超過勤務については、未だに個表管理になっています。

 これでは正確な労働時間の管理はできていないと考えられます。

 また、「月45時間」「年間360時間」を超えると過労死の危険があることから、超過勤務を月45時間以下になるよう指導するのは当然のことであります。

 職員組合の機関紙「情報」によれば、人事課の17年度の「一人当たり平均超過勤務時間数」は502時間、「個人最高超過勤務時間数」は1、052時間「超勤360時間を超えた職員数」11人でした。

 このような実態について労働安全衛生法、労働基準法、厚生労働省通達などに照らして市長はどのような認識をお持ちでしょうか。

 さらにこの実態は「労働安全衛生法」の目的である、「快適な職場環境の形成」と合致するものでしょうか。

 また、職員の労働時間については、ICカード等を用いて正確な時間管理に努めるべきと考えますがどのように対応されていくつもりか伺います。

 3点目の質問は教育委員会のあり方について伺います。

 今年5月に政府の規制改革・民間開放推進会議(議長はオリックス会長の宮内義彦氏がされている)は文部科学省との公開討論の席上「地方自治法第180条の教育委員会の義務規定(必置義務)について「硬直化した文部行政の上意下達システムになっている」「政治的中立などという抽象論では存在理由にならない」と激しく教育委員会不要論を唱えています。

 市長は中央教育審議会の委員になられ、全国市長会からの意見も反映をされていると思いますが、端的に教育委員会のあり方について市長の見解を伺います。
 
 次に質問の2として、政令指定都市への移行が市民生活にとって何をもたらすとお考えか市長に伺います。

 昨年7月に12市町村が合併をし、至上命令である平成19年4月の政令指定都市への移行に合わせてすべてが動いています。

 合併から1年が経過しましたが、さまざまな制度が基本的には旧浜松に合わせられ、一市多制度を唱えながらも、なかなか12市町村の一体感は醸成されず、市民生活に直結した公共料金の一本化に向けての調整は始まったばかり、地域の格差がもっと広がっていくのではないかと言う不安が周辺地域から聞こえてきます。

 そして、合併から二年と立たない状況で政令市に移行しようとしています。

 政令市になれば都市としての格が上がり、県並の権限と豊かな財政力をもつといわれておりますが本当に市民にとって政令市になることでくらしがよくなり、満足できる行政サービスが受けられるか疑問です。

 豊かになるというのであれば具体的に市民に示していただきたいと思います。
 
 まず、1点目は財政問題です。

 財政問題の1つ目として、昨年10月に県と交わされた基本協定書にある@法令に基づく移譲事務923事務、事務処理特例条例による事務406事務、県単独助成事業65事業合計1394事務と多くの事務事業が移譲されますがそれらにかかる経費をどの程度見込んでいますか。

 また、それらについて見合う財源措置がされるのか合わせて伺います。
 
 2つ目は国県道にかかる県債償還金について伺います。

 本市より一足先に政令市になった静岡市では、過去7年間分の約97億円が移管されました。
 堺市では過去の借金全額の約460億円が移管されています。
 本市が県から移管される県債はいったい、いくらになるのでしょうか。
 
 2点目の質問は政令市移行後の自主財源確保についてお尋ねします。

 全国の政令市の財政状況は公債費比率や、経常収支比率などの財政指標をみても決して良好とはいえません。

 本市においては自主財源を確保し、安定した財政運営をする上でも法人市民税の法人税割りについて不均一課税とし能力に応じた法人市民税の負担をすべきと考えますがいかがでしょうか。

 それらに関連しまして以下3つの内容についてお伺いします。

 1つ目は現在の政令市で不均一課税を用いている市が14市ありますが、この現状をどう認識されているでしょうか。

 2つ目は本市における法人市民税法人税割の税率12,3%を不均一課税とし一定能力以上いわゆる大企業といわれる法人に対しては制限税率の14,7%を採用するお考えはないか伺います。

 3つ目は不均一課税にした場合どの程度の増収が見込めるのでしょうかお伺いします。

 3点目として政令市移行後の組織編制について伺います。

 各地域協議会に諮問された「政令指定都市移行時の組織(案)について」の答申が8月に出されています。

 ワンストップ、地域完結型の体制を望む声が多く、区役所機能の充実が求められているところです。

 そこで、予算編成、区長決裁権、人事権をどのように付与されていかれるのか市長にお尋ねします。

 また、政令市移行に関連して、浜北、天竜、引佐の教育事務所が廃止されることにともない、教育に関する部署の設置を区に配置して欲しいという声があがっており、教育に対する市民の関心は高く、政令市移行後の教育分野への期待も高まっているところです。

 今回の組織編制では生涯学習の図書館、美術館、博物館などの分野が、教育委員会から生活文化部へと市長部局に移行されました。

 青少年の育成はこども家庭部の次世代育成課に、そして公民館事業は各区の区民生活部の区振興課に移っています。

 従来、社会教育関連部門は、それぞれ縦、横の関係が求められる事もあり、子どもから高齢者まですべての人々の生涯に渡る教育・学習について生涯学習部がそのとりまとめをし、教育委員会にその席をおいていましたが、今回の移行について教育長はどのような認識をお持ちか伺います。

 質問の3として、行政経営計画について市長にお伺いします。

 行財政改革推進審議会の答申を受け、今年3月に「新行政経営計画」がしめされました。

平成18年度から21年度までの4年間で約144億円の削減をするようになっています。

 その手法は、市民に直結する仕事を民間委託し、市民サービスを後退させ、補助金を削り、職員の大幅削減によって進められようとしています。

 地方自治体はその法の定めにより、地域住民の福祉の増進を図ることを目的としています。民間企業の手法をそのまま行政に置き換えて、住民の福祉の向上がありうるでしょうか。

 行革審の答申は「不名誉なゆで蛙にならないために」から始まり、市民は「おねだりから自立」しろといい、最後は委員からのコメントとして、「税金を大切につかってくれる国はないか、いっそ家も会社も火星に移そうか」とまで本市の税金の使われ方を嘆いている方がみえました。

 その一方で、「審議会においてよくわからない点があり、今でも自信がない部分があるが、これらに対して答申はかなり具体的に断定的な結論を出している場合がありとても心配している。浜松市はこの答申を主体的に検討し、無理なものは無理として十分に説明責任を果たしていって欲しい」というコメントも出されているところです。

 さて、1点目の質問は民営化・民間委託の問題で3つに渡ってお尋ねします。

 1つ目は子どもの成長発達を保障する分野で、コスト・効率優先の民営化や民間委託はやめるべきではないでしょうか。

 特に横浜市や大東市などで民営化に対して違法判決が出されている状況で、市立保育園のこれ以上の民営化はすべきでないと考えますがいかがでしょうか。

 2つ目に教育現場で混乱を生じている学校用務員の民間委託はやめるべきと考えますがいかがでしょうか。

 本年度から2人体制の学校用務員が1人体制になり、その代わりに正規職員がいなくなった学校へは100万円、パート職員がいなくなった学校へは50万円が予算付けられましたが、人間1人分の穴埋めとしていくら現金が配分されてもその代わりにはなりません。

 現場の状況をしっかり把握され学校用務員の民間委託はすべきでないと考えます。

 3つ目は図書館業務への民間委託や指定管理者制度の導入の問題です。

 4つの拠点図書館の管理部門のみを正規職員に残し、窓口は民間委託していく、また、地区図書館については「指定管理者制度」を導入して民間業者に委ねられることになっています。

 利用者の秘密は守られるか、資料の収集や提供の自立性は確保できるのか、手間隙のかかるサービスが切り捨てられないか、運営への市民参加とチェック機能はどう確保されるのか、など等多くの不安がある図書館の民間委託や「指定管理者制度」には、なじまないと考えますが見解をおしめしください。

 2点目の質問は行政経営計画に記載されています、市民サービスの後退する事業について市長のお考えを伺います。

 1つ目は高齢者や障害者に支給されていますバス・タクシー券などの交付事業は継続すべきと考えますがいかがですか。

 6月議会での回答は、事業費が増加している高齢者福祉策について、有効性、必要性、効率性などあらゆる角度から検討をする必要があるとの答弁でした。

 この制度はどの角度から検討しても、このまま継続する必要があると考えますがいかがでしょうか。

 2つ目は合併浄化槽補金制度を統合する問題です。

 統合案では従来の負担がより一層増える地域が出てきます。一つの例として天竜・春野・佐久間地域では6〜7人槽では現在の補助額57万8千円が48万6千円と9万2千円も引き下げられることになります。

 6月議会でも検討を進めるという回答が出されていますが、出された回答が従来とあまりにもかけ離れた補助額であることから関連地域住民から不安の声が聞かれています。

 これまで通り現行制度を維持されるお考えはありませんか。
 
 行政経営計画の3点目は職員の定員適正化について伺います。

 今回示されました計画では5年間で650人を削減する計画になっています。

 公務員が携わっていた業務を民間に委託する場合、サービスの低下や、事故の危険性、安定的なサービスになるか、倒産の心配はないか、公平・公正なサービスが提供されるかなど、市民サービスへの影響がどうなるのかの検証をし、慎重に検討する必要があります。

 今回の計画では市民サービスに支障をきたすと考えますがいかがでしょうか。
 
 さて、最後の質問になりました。質問の4として誰もが安心して住み続けられる浜松市政の実現に向けて、子育て支援、高齢者支援、障害者支援の3点について市長、並びに田中助役にうかがいます。

 まず1点目は子育て支援策の充実に向けて市長にお伺いします。

 1つ目は乳幼児医療費助成制度について現在の小学校就学前から小学校卒業までに拡大するお考えはありませんか。

 子育て世代の主要な要求の1番は「保育料・幼稚園の費用負担の軽減」2番目は「乳幼児医療費の無料化」です。子育てを応援する本市としては拡大の方向を考えることが必要と思いますがいかがでしょうか。

 2つ目は今年の10月から出産育児一時金が30万円から35万円に拡大されます。それにともない医療機関での受領委任払い方式にすべきと考えますがいかがでしょうか。

 本市では8割までの貸付制度があり、年々制度の利用者が増えています。

 医療機関によって費用は異なりますが、通常でも約40万円から50万円かかる現状から受領委任払いにすることで少子化対策の一環になってくると考えます。

 3つ目は住吉にあります「青少年の家」を全面改築し、青少年健全育成のセンターとしてその機能の充実を図ることが求められていますがいかがでしょうか。

 昨年の2月議会でも同様の質問が出されていますが回答では現施設の耐震改修、大規模改造をされるとのことでしたが、築後37年、かなりの老朽化が進んでいることからも全面的な改築が必要ではないでしょうか。

 4つ目には「認定こども園」について田中助役にお尋ねします。

 正式には「就学前の子どもに関する教育・保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が今年の10月から施行されます。この「認定こども園」は保育のあり方をどう変えていくのか関係者からはさまざまな問題が提起されております。

 問題の1つとして現在の保育所や幼稚園には施設の基準や、保育・教育の内容について要領や指針が定められていますが、「認定こども園」は施設設備、教育・保育の内容は国の基準を「参酌」した条例で認められ法律上に明記されていません。

 職員配置基準についてもあいまいです。

 今求められることは、現存しているそれぞれの施設が本来の機能を発揮できるように人的、財政的措置を拡大して、現行の保育制度を充実させることではないでしょうか。

 「認定こども園」の導入についてどのようにお考えか伺います。
 
 2点目として高齢者施策の充実に向けて順次、市長に伺います。

 8月25日付けの静岡新聞では「三重の負担増、高齢者悲鳴」という見出しで県内各自治体に苦情が寄せられ、混乱をきたしている記事が掲載されました。

 地方税法の改正に伴い、住民税の負担が大幅に増え、それに関連して国保料や介護保険料も値上がりし、高齢者のくらしを圧迫しています。

 本市においても同様の状況が生まれているわけですが現状をどのように認識されているか先ず初めに伺います。

 そして、本市における高齢者への増税額はどの程度になっているかお尋ねします。

 2つ目に現状でも、税控除など適用できるものがあれば住民税の申告をし、減税される場合があると思いますが高齢者に対しどのように周知されているでしょうか。

 住民税非課税か課税かでは介護保険料などにも大きく影響してきます。少しでも負担を減らすことができるよう丁寧にお知らせすることが必要ではないでしょうか。

 3つ目には介護保険法の改悪により10月より、要支援1、2要介護1の軽度の認定を受けている高齢者は介護用ベッドが保険適用から外され使えなくなります。

 ベッドがあるからこそ自分で起きてトイレにもいける、ベッドがなくなったら一人で起き上がることができないと利用者から不安の声が寄せられています。

 自費で借りるには月額3000円以上もかかることからレンタル費用の一部を助成する措置をとっている自治体もあります。

 本市においてもそのような独自策を講じるべきと考えますがいかがでしょうか。

 3点目は障害者施策の充実に向けて順次質問します。

 初めに障害者自立支援法が実施され、小規模授産所の運営も大変厳しくなり、障害者には今年4月から原則1割の応益負担が導入されています。

 利用者負担がふえたことに伴い、過半数の都道府県で障害者の施設退所、サービスの利用中断、手控えが起こっていることが厚生労働省の調査で明らかになりました。

 本市では障害者自立支援法の実施によって、どのような状況がおきているか実態の把握と市長の認識を伺います。

 2つ目として、10月からの本格実施を踏まえ、障害者の負担を少しでも軽減できるよう、独自の支援策をとる自治体が全国に広がっています。

 本市でも独自の負担軽減策や、支援策を講じるべきと考えますがいかがでしょうか。

 3つ目に市町村が主体的に実施する地域生活支援事業では従来のサービス水準を維持し利用料についても無料で行なわれていた事業については現行どおりとし、手話通訳者の派遣事業なども無料にすべきと考えますがいかがでしょうか。

 4つ目にサービスの支給基準について伺います。

 障害区分判定によりサービスが受けられる内容や量が決まってきますが、従来受けられていたサービスが継続して受けられるような基準を作っていただきたいと考えますがいかがでしょうか。

 5つ目には現在市有地を無償貸与している小規模授産所がありますが、自立支援法で運営状況が非常に厳しくなる状況から、今後も同様の措置をとるべきと考えますがいかがでしょうか。

 以上で1回目の質問を終わります。

 (2006・9・17up)

               

浜松市議会代表質問 2006年9月12日(火)