くらしと浜松市政報告会  

2006年1月15日(日)午後1時半より4時  主催:日本共産党上島後援会

 第1部 小黒啓子(浜松市議)

 みなさん、お忙しいなか、時間を取って、お集まりいただきありがとうございます。 共産党の浜松市議団は、増員選挙で浜北と天竜から2人増えて、いま4人の正式会派として活動を始めました。ほんとうに2人か、4人かでは違うという、大きな力の違いを、いろいろな分野で力を発揮しています。

 最初にお話したいのは「行革」の問題です。
 4人になって最初の「市議団からこんにちわ」の1面に載っていますが、浜松の市政の特徴を一番あらわしている「行革」、浜松の「行財政改革推進会議」を北脇市長が置きまして、その会長にスズキの鈴木修氏を据えたわけですね。
 そのなかで、民間でできるものは民間でと、小泉首相が「小さな政府」と言うように、「小さな浜松」「入ってくる収入は一定限られるから」と、いま公けでおこなっているものをどんどん民間に移行していく方向で、一つは行革審が提案しています。

 そして併せて、「指定管理者制度」、むずかしい言葉ですけど、公けの施設、浜松では、美術館やアクトシテイなどを、民間でも応募をして決まってくれば、指定管理者者となって運営をしていくことができる。

 もう一つはアウトソーシング。650人分の民間委託をという新聞記事が出ましたが、市の職員の定年退職をしていく方を補充をしない、3年間で市職員の1割、650人を補充しないで民間に委託をしていこうと。
 どういう分野をというと、特に現業職です。現業職というのは、まずまっさきに清掃部門、それから学校の用務員の関係、それから学校給食の関係。そういうところの業務を民間委託していく動きが露わになっています。

 この「こんにちわ」の中に、学校給食の民間委託の拡大の動きが出ています。
 当初、合併するときに、いろいろなすりあわせをして、それぞれの地域でおこなっている学校給食を尊重していきますよ、現行の方式を維持しますよと言うのが、約束でした。 
 ところが、合併をしてまもなく、実はそうじゃないということが出てきました。
 学校給食について、浜松の入野・伊佐見の2つの小学校と、気賀・中川・舞阪と、5つの小学校と、中学は細江と舞阪の2つ、これを今年18年4月から民間委託するんだという記事が、ある日、突然新聞で報道され、地元の父母のみなさん、業者のみなさん、みんな驚きました。

 すぐ学校教育部の学校給食の担当の指導課の課長さんに、どうなっているんだということで来てもらいました。「なぜ細江や舞阪なのか」と理由を聞いたら、「職員が非常勤の臨時職員だけだ。どこが責任を持つか、責任が不明確である」と言うんです。
 実際には、入野や伊佐見は常勤が入っているんですが。
 学校給食法という法律で、子ども達の心身の発達に資すると、教育だよと定められているわけです。
 教育としておこなわないといけない、となっている学校教育を民間委託でやっていけるのかということが、一番の争点になっているのではないでしょうか。
 浜松では17年の4月から、大平台小学校で、試行、試して行なう、を始めまして、その結果がよければ、市内に広げていくとなっていました。ところが、まだ、その試行の結果も出ていない段階で、これが出されて、たいへんな状況になっているわけです。

 実は、8020万円という「債務負担行為」と言って議会を開く余裕がない場合の対処ができるんですが、この債務負担行為の報告が、12月議会に出てきたんですね。
 議案に対しては、私が反対討論をおこないましたが、第1に保護者や業者など関係者への説明がまったく不十分なまま強引に民間委託をすすめるやり方はおかしいこと、2つ目に、合併協議会で確認された調整方針とは違う、3つ目に、民間委託をしていく目的とされているコスト削減にはならない、4つ目に民間委託では、安全でおいしい給食の保障がないこと、その4つの理由で、共産党は反対討論をおこない、採決でも共産党だけが反対しました。
 細江の「読者ニュース」の中に「調理員さんから届いた手紙」が載せてあります。臨時の職員でも、ちゃんと給食をしています、一番弱いパートから切り捨てていくのは許せないというそういう手紙も届いています。
 
 それから学校用務員さんについても、具体的な数字があがってきています。
 アウトソーシングをどうやって実施していくのか、学校用務員さんは、全部で176人いるんです。最初は46人だったのが、2回目には70人になって、3回目に176人全員民間委託していくという、そういう恐ろしい数字が出されてきています。

 現業のみなさんのなかでも、事務職へ移りたいという方もいるということで、そこで仕事をしていた職員には、テストをしていただいて、事務職へ移行していくという道を開くと。でも、なかなか、現業をしていたみなさんが、事務職へ行って、そこで定着するのはむずかしいですね、道を絶つという方向でやられていると言っても、言い過ぎではないと思います。
 
 それから指定管理者制度ですが、すでに浜松城の管理、前は文化協会が管理していたんですが、遠鉄がとりました。昨年、清掃の朝の収集車で事故を起こして車に頭をまきこまれて亡くなった方が出た、その遠鉄アシストという派遣会社、それから「まつり会館」も遠鉄がとった。
 北部で高丘の水泳場、それと浜北のプールはヤマ発がとった。
 浜松城とホテルコンコルドをセットにして宿泊付きの観光コースをつくったり、浜松城の中に遠鉄の看板が出るようなおそれもあるのでないか、というようなことが心配だという話も聞こえてきます。
 
 そして、実際に浜松が合併して財政的にどうなっていくか。豊かになるのかという問題です。
 18年度予算作りで、周辺の旧11市町村にたいしては、すべてこれまでの1割カットでやりなさいという浜松市の財政方針で、もう悲鳴があがっています。
 天竜以北の北遠地域は、非常に過疎がすすんでいるので、人が少なくて、上がってくる税金が少ないんですね、そのかわり、国から「過疎交付金」を受けていたましたが、合併をしましたので、すべて一気にカットされました。
 そうすると浜松市があって今まで税収が出ていたところも他の周辺にふりわける面も出てきて、借金も2200億円ありますので、とても豊かな財政状態ではないなかで、どこに予算を使うかが、争点になってきます。

 そういう中で、市民の暮らしに直結する、合併してから一本化すると言っていた国民健康保険料とか介護保険料の18年度の数字が出てきました。

 その話に行く前に、平成18年度小泉内閣が、国民に対して税制改悪をしまして大増税をしました。これが、浜松市がどれくらい影響があるか、市民税課に直接行って聞いてきました。
 それによると、1つ目は、老年者控除の廃止です。申告をなさっているご本人が65才以上の老年者である場合、所得税では50万円、住民税では48万円という控除があったのが、廃止されました。所得で言うと、300万円以下の方は  税率ですので、50万円控除がなくなった場合、 万円税金が上がるというということですね。
 浜松市で、約3万人が、4億円の増税になります。

 2つ目は、やはり65才以上で所得が125万円までの方は、住民税が非課税だったんです。これが全廃されました。とりあえず、18年度は、そのうちの3分の1を対象にする。翌年度はもう3分の1、3年かけてゼロにしていく。これで1億円の増税。

 そして3つ目は、公的年金の控除が、140万円から120万円に減らされました。これで2億円の増税です。

 4つ目は、一番大きい影響ですが、定率減税が今年は半減、来年度は全廃される。この定率減税は、恒久的にこういう制度をやりましょうと出されたものですが、所得税では税額の20%、住民税では税額の15%が減額されていました。
 これは約35万人の納税義務者全員に、約18億から19億円の増税になります。
 微妙にこれらの制度がリンクしていますので、いちがいに数字を足して単純合計ということにはなりませんが。

 じゃあそういうことをふまえながら、浜松市の国民健康保険、国保は旧市町村毎に、料率がバラバラです。違っています。
 これを、まず平成19年4月の政令市移行予定までに、浜松以外の旧11市町村の料率を一つに統一します。

 もうひとつは、12市町村の算定方法を統一する。というのは、浜松以外の11市町村は、旧ただし書き方式を使っていました。浜松市は市民税所得割方式で、計算するやり方が違うんです。
 清水と静岡が合併した静岡市で大幅に国保料の値上げがあってたいへんな問題になりました。清水市が旧但し書き方式、静岡市が所得割方式だったのを清水市に合わせたため、静岡市の低所得者が大幅にはねあがった。

 もう一つは、平準化ということがあります。浜松市は市民税所得割方式で、応益割合と応能割合という二つがのがあります。
 応益割合というのは、1人ひとりいくら、1世帯いくらということ。表では均等割・平等割の部分です。
 応能は所得に応じて、ということです。表では所得割・資産割の部分です。
 それがいま浜松は応能割合が60%、応益割合が40%で平準化していません。
 応益割合が45%ないと平準化と言えない。平準化するとどうなるかというと、浜松は低所得者にたいして6割、4割軽減となっていますが、平準化しますと、7・5・2割軽減が使えるようになります。旧11市町村は、すでに平準化していて、7・5・2割減額がおこなわれています。

 じゃあ今年、18年度は、どうなるか。11市町村は据え置きです。浜松は、国保の所得割が386%から327%に、資産割が48%から45%に、運協で下げますと。その代わり、均等割23000円だったのが、1500円上がって、24500円になります。
 なんで、所得割・資産割を下げたかというと、はじめに説明した4つの税制改悪の影響で、みんな  が上がるんです。
 やっと応益割合が41%くらいになるんじゃないでしょうか。まだまだ平準化には追いつかない。資産を持っていなくて、所得が低くて、家族の多い被保険者には、たいへんな大幅値上げ、たいへんな影響になってきます。
 
 浜松の介護保険料、これは第2号被保険者、40才から64才までの方。その所得割を122%から115%に下げました。これも国保と同じ理由です。下げないと、収入が増えてしまう。
 ただし舞阪と細江は、介護の基金がゼロでした、値上げをしないとやっていけないという理由で介護保険料を上げてきました。
 
 次に、「国民健康保険料算定にかかる経過措置の内容」ですが、ここは、公的年金等控除がなくなった人には控除額4千円、老年者控除がなくなった人に控除額9千円を設けています。
 
 1人あたりの国保料が、12市町村、3年間でどう推移しているのかという表を、当局からとってみました。1人あたりですから、保険料全体を、加入者の人数で割った数字が出されています。
 15年度は浜松が7万9521円、18年度が8万3972円、値上げが2年続いたことで多くなっています。
 一人あたりの負担金額は、旧市町村で大きく違っています。一番安いところは佐久間町、5万0483円、一番高いのが浜北市、8万5318円、次が雄踏町、8万5228円。

 なんで佐久間なんかはこんな安くてやっていけるのということになりますが、決算委員会で、びっくりしたのは、佐久間は65才以上の高齢化率46%、それでいて病気している人が少ない。それはいいことなんですけど、そのために医療費を使う額が少ない。
 いちばんおおもとは、佐久間の中で、ヘルスとピア構想という大きな構想があります。病院と老人保健、、母子保健、こういうものを全部一体化して管理運営していく。佐久間病院のすぐ横に老人保健施設があって、その横に特養があります。
 保健師さんの数が、浜松より10倍以上多いです。浜松が  人、佐久間は  人です。
 浜松は健康診断を受ける率も低いですし、保健師さんの数は少ないし、母子保健にかかる額は増えたけど、成人保健・高齢者保健が、成人保健師さんがいなくなっちゃって、予算を使い切れなかった。
 浜松の国民健康保険課も、19年4月に計算方式を一本にするわけですが、18年度の早いうちにスタートしないと無理ですので、ここ早々のうちに、どっちかの計算方式になってきます。
 所得割方式は、課税所得金額から控除を引いて最後に所得税の所得割額に料率をかけます。
 旧ただし書き方式は、総所得の金額から基礎控除、33万円を差し引いて、料率をかけます。
 浜松はいま所得割方式で、11市町村は旧但し書き方式です。
 特徴というところを見ると、@ まず所得割方式の対象は納税者なので旧但し書き方式より少なくなります、A 住民税所得割自体が累進税率なので中間所得層(限度額ぎりぎりの)負担率が高くなります。
 旧ただし書き方式は、@ 市民税所得割方式と比べて多くなります、A 低所得者のみなさんの負担が重くなります。
 こういう大きな違いがあります。
 京都市は所得割方式だったんですが、17年度から旧但し書き方式にしました。なんでしたのか。所得割方式は国の税制が変わるたびに影響される。但し書き方式は税制がかわろうと影響されない。33万円を引くだけですから、払う人が多くなって収入が多くなる。政令市はほとんど所得割方式です。静岡市も旧ただし書き方式にしました。

 もうひとつ介護保険について、すこしお話させていただきます。
 昨年6月に介護保険法が大きく代わりました。まず、ホテルコストといって、@特養A老健、老人保健施設、B療養型の介護施設、湖東病院とか西山病院とか、この3つの施設に居住している人の居住費と食費が全額自己負担になったんです。
 療養型の場合、いままで13〜14万円の相場から 17〜18万円になった。
 特養は、いちばん低い所得のみなさんでも7万円から10万円になった。
 デイサービスやデイケアに自宅から通って食事をしている方も上がりました。多くの方に負担が増えています。

 合併によって、介護保険料はどうなるの、ということですが、18年度だけは1市多制度でバラバラです。それぞれの旧自治体が基金を持っているので。最終的に全部が一つになるのは22年です。
 介護保険は、基準の金額、これまで第3段階で、浜松市は3200円が3871円になります。19年度と20年度は、12市町村すべてこの金額になります。
 大幅な値上げになることは間違いありません。1円は微調整するそうですけど。

 介護保険の制度の説明をし出すと、終わらないので、別の機会をつくってくだされば、と思います。
 介護度1を細分化して、要支援も細分化して、そのなかで介護予防を使う人は介護サービスを使えなくなる。
 施設の方にしても大幅な変更です。これまで1回につきいくらだったのが、介護予防は1ヶ月いくらという算定で何回利用しても、それがいくらになるか、まだ決まっていませんが、事業者の皆さんが悲鳴をあげています。具体的な数字はまだ出ていません。
 筋トレとか利用料はいくらかかるのかも、まだです。
 10月からの変更に合わせて、自治体が補助金を出しているところがあります。東京の江戸川区とか、北海道の帯広とか、食費の値上げ分は全部出しますという自治体もありますので、浜松市も利用料の減免制度をつくるべきです。
 
 2月の一般質問も準備していますので、これまでお話ししたことも取り上げていきたいと思っています。

(2006/1/24up)


   

くらしと浜松市政報告会 2006年1月15日